彼が嫉妬してくれない…「ただの鈍感」or「好きじゃない」男の本音は?

文:三松真由美 イラスト:犬養ヒロ — 2019.9.5
現在大量発生中のレスなひとびと、いわゆる「レスびと」の相談内容を、TVや雑誌など多くの媒体で活躍中の、恋人・夫婦仲相談所所長の三松真由美さんにうかがいます。セックスレス、恋愛レスと、レスにもいろいろある。今回は、嫉妬してくれない彼氏に不満なアラサー女子。嫉妬=愛の量と思い込む彼女に、三松先生は何と説く?

【レスなひとびと】vol. 45

穂実(28歳)嫉妬心レスの彼氏にやきもき。嫉妬=愛の量 じゃないのか。

ヒトシと過ごす土曜の夜。ヒトシは対戦型ゲームにはまり、スマホから目を離さない。穂実はピアノ弾き語りのイケメンの動画に投げ銭しながら騒いでいる。どこにでもあるカップルの風景。

気づけば2時間以上、二人はネットの中の世界に興じていることに気づく。

「ヒトシくん、そろそろ二人で遊ぼうよ。コーラ飲む?」

「今いいとこ。キララちゃんが制服を戦闘服に着替えたとこなんだ!!」

意味がわからないが、まあいい。付き合うときに、お互いの趣味を認めようって誓ったから。穂実はひとりでコーラを飲みながらポテチをかじる。つまらん。二人でいてもまったく面白くない。

穂実が動画のイケメンに熱をあげても、スマホ画面にキスしてもヒトシは知らん顔。仲良しの瑠莉のカレシは、そんなことしようもんならヤキモチ焼いてキレるらしい。

「ヒトシってもしかしたら、私のことそんな好きじゃないのか?」

疑問と不安が合い交じる。

結局その日は明け方までスマホで遊び、エッチなし。穂実は首をかしげながらも眠りについた。「エッチしたかったな…」

翌週、瑠莉に協力してもらい、ヒトシが自分のことを好きかどうか測定することにした。瑠莉の男友達ヤッピーと穂実が一緒にいるところをヒトシに見せつけるという作戦。ヤッピーは高校時代お笑いサークルに入っていたお調子者系。

適役だ。ヒトシが夜食を食べに必ず行く牛丼店がある通りでヤッピーと待ち合わせブラブラする。

「ヤッピー、ごめんね。変な役させちゃって。焼き肉おごるからね」

「いいっていいって。けっこドキドキするわあ。カレシさん、怒るかなあ」

と雑談してると、来た! よくまあ、毎晩牛丼食えるよな、と別の点で突っ込みたくなる。見つかりやすいところに二人で寄り添うように並んでみる。

「あれ? 穂実?」

成功。ばっちり見つけてくれた。

「なんでこんな時間にここにいんの。職場と逆方向じゃね?」

「あ、うん。ちょっとヤッピーと……」

ヒトシはヤッピーの顔をチラ見してひと言。

「あ、なんか大事な話してるみたいっすね。じゃあ、オレ、牛丼行くからごゆっくり! ほなまた!」

穂実とヤッピー、無言で立ちすくむこと40秒。

悲しいのか、バカみたいなのかわからない奇妙な感情がこみ上げてくる。

「エ、エ、エーン」

3歳児みたいに泣き出してしまった。ヤッピーはオロオロして背中をさする。

「あそこで、こいつ誰、って言ってほしかったのに、ヒトシのバカ……」

ヤッピーが牛丼屋にヒトシを呼びに行こうとすると穂実は止めた。

「やめて! もういい! あんなヤツ別れる。私のことよりゲームの中の制服女子が大事なのよ」

穂実はますます大きな声で泣く。

ヤッピーが瑠莉にLINEする。

「作戦失敗。すぐ来て、この状況まとめてくれよ……」


【三松さんからのコメント】

いますよ。乙女心を汲み取れない天然男性。恋愛スキルがある男性であれば、「彼女がどうしてほしいか」を5パターンくらい即刻想像できます。臨機応変に乙女心がズッキュンする言葉や行動に現します。

恋愛スキルは、たくさんの女性と関わって磨かれるものと、生まれつき持っているものとがあるのです。後者は超お得ですが、女性から見ると鼻につくジゴロ(死語か……)に見えたりもします。周りにひとりくらいいませんか。生まれたときから恋愛勝者か、お前は、の男性。

ヒトシくんは悪気はない、恋愛スキル未成熟なタイプかと。おそらくスキルを上げようとも思わない。しかし、そんなとこがいいという女性もたくさん存在します。恋愛ベタなかわゆさにキュンする女性であれば最高の組み合わせです。大人になっていない子うさぎに見えたりする。ああ、か・わ・ゆ・い。

ツンデレが好きというひともいるでしょ! しかし穂実さんは違う。

嫉妬して欲しい、かまって欲しい、意識して欲しい、抱いて欲しい。

彼の態度が自分への愛の量と信じ込むタイプなので、別れたほうがあとあと楽です。恋愛ベタ男性と寄り添えるのは、ちっこいことにいらつかない東京ドーム規模の心の広さを持つ女性です。

「ヤキモチやかれないくらいで泣くな! 俺の視界から離れるなと言う束縛男といっぺん付き合ってみろ。嫉妬心で愛情を図るべからず」

三松 真由美 
恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。日本性科学会会員。ED診療ガイドライン作成委員。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。

恋人・夫婦仲相談所のオフィシャルサイト令和バージョン!!
http://fufunaka.com/

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