ハマりすぎると…男が別れを意識した「女のマイブーム」
【レスなひとびと】vol. 40
沙和(26歳)運気レスで開運アイテムにはまるも彼氏逃す!
パッとしない毎日にヤキモキしていた。個人の会計事務所の事務をしている沙和は今の人生にちっとも満足していない。職場には怒ってばかりのパワハラ上司二人。数値入力やレシート処理の仕事は退屈。お茶入れや掃除の雑用ばかりで、こんなことしていていいのかと投げやりになってきた。
専門学校時代から付き合っている信太とのデートもマンネリ化していておもしろくない。
「運気落ちてるわあ。開運しなくちゃね」
ネットで開運リサーチをしてとりあえず気になるものを全部試してみることに。週末は神社とパワースポット巡りだ。彼氏はいるが、運気があがればもっといい彼氏が現れるかもしれないと欲が出た。
恋に効くと先輩にすすめられた東京大神宮にもお参りする。女子に人気の結守と恋愛成就の鈴をゲット。スマホに届くデイリーの占いもチェック。ラッキーカラーは毎日身に着ける。黄色のスカーフ、青いスマホケース。ストーンが心を浄化すると聞き、水晶やオニキスを部屋の隅に置く。
しかし度が過ぎた。信太の部屋にも八角形の鏡を置いたり、象の置物を玄関に飾ったり。
「沙和、連休どこ行く?」
「袋田の滝。ねえ、滝巡りをしよう。いろんな滝に行きたいな。滝はすべてを浄化してくれるパワースポットよ。来年はお金貯めてセドナにも行こうね。アリゾナの……」
信太の顔が引きつる。
「沙和……やりすぎだよ。フツーにネットで観光地探そうよ。最新デートスポットでいいじゃないか。今度の土曜は渋谷のVR行こうよ」
信太が気持ちを切り替えて、沙和の肩に頭を乗せて、ブラウスのボタンを外し始める。
「ん?」
ブラジャーの中から紙に包んだ塩が。
「ねえ、ノブくんも、お塩はいつも身につけようね。邪悪なものから守ってくれるよ」
沙和が、信太のズボンを下ろし、股間にその塩を塗り始めた。
「おい!! 何すんだ」
「お塩塗って、清めてからエッチするの。二人で運気があがるよ」
信太は、あわててパンツをあげる。
「悪いけど、やってらんない。沙和、今日は帰って。沙和がこんなめんどくさいヤツになるなんて思わなかった」
安心しきっていた彼氏からまさかの冷酷氷対応。帰り道、沙和は神さまにあやまる。
「もっといい彼氏ができるように神さまにお願いしたからだ。バチが当たった。神さま、ごめんなさい」
反省はしたものの、開運生活はやめることができない。引くに引けないラッキーカラーチョイス。信太は戻ってくるのか。はたまた、神さまが新しい彼氏を空から落としてくれるのか。にわかスピ女子の運気は上がるのか。
最近は、風水情報も取り入れ、金魚二匹が泳ぐ水槽を部屋の南側に設置するのであった。
【三松さんからのコメント】
気持ちを鎮める。いいことが起こると信じる。ラッキーアイテムやパワースポットを信じて、ポジティブ思考になるのはとってもいいことですね。
「どうせ、私にはいいことなんか起こらない」と思い込むひとは、小さないいことを見逃してしまいます。まさに沙和さんは、ノブくんという彼氏がいるのに、欲こいて行動している。ということは、彼氏の存在に感謝してないってことです。「もっといい男いないかな」と願う時点で関係性が崩れている。アウト!
仕事もそうです。自分の仕事に誇りを持っていない! イヤイヤやってないか? そりゃ、神さまはあきれますよ。
開運のために意欲的に動くことは、生きるチカラがみなぎるのでよいでしょう。でもね、頼り過ぎちゃダメですよ。開運祈願と、リアル自分磨きはセットで行わないと意味がない。仕事だって恋愛だって、どうすればステップアップできるかの核の部分を考えないと。
「開運行動上等! すがすがしい場所に身を置き、パワーもらえる石を身につける。でもまず清めるのは自分の生ぬるい心だ。仕事がある、彼氏がいることに感謝せよ」
三松 真由美
恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。日本性科学会会員。ED診療ガイドライン作成委員。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。
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