付き合っていくうちに…男がサバサバ塩対応になりやすい理由

文:三松真由美 イラスト:犬養ヒロ — 2019.7.18
現在大量発生中のレスなひとびと、いわゆる「レスびと」の相談内容を、TVや雑誌など多くの媒体で活躍中の、恋人・夫婦仲相談所所長の三松真由美さんにうかがいます。セックスレス、恋愛レスと、レスにもいろいろある。今回は、無自覚な塩対応のあまり、彼女にフラれてしまったアラサー男子。三松先生が交際がうまくいく秘訣を伝授します!

【レスなひとびと】vol. 38

ゲント(31歳) ケンカレスな彼女と超仲良しと思い込んでたのは自分だけー

38genko

朝の地下鉄半蔵門線の車内はいつだって混み合っている。ある朝、隣に立っていたポニーテール女性の様子がモゾモゾとおかしいことに気づいた。

あっ。

「おじさん、痴漢は犯罪だよ」

ゲントがオヤジの手首をグギっと掴む。

その時助けた女性が今の彼女の加奈江だ。お礼の食事に誘われたのをきっかけにデートを重ね、ゲントから告白した。いつも笑顔の可憐な彼女。もう付き合って2年。

「ゲント、彼女とは順調なのかよ」

会社の同僚で三茶在住の幸樹が話しかけてきた。家も職場も同じの幸樹とは週3で三茶の磯丸水産呑み。

「超順調ーケンカしたことないもん。仲良しこよし。安定してるね」

「ならいい。この前の週末、加奈ちゃん似の子、ブクロ駅前で見たんだ。ポニーテールっての? かわいい髪型の。ゲントじゃない男と歩いてたから、あれ? と思ってさ」

先週末は誘われたが、ジムに行きたくて断った。だからと言って他の男と? 

加奈江にかぎって、まさかね。

「俺、帰るわ!」

店を出てすぐに加奈に電話をかける。プルルルル。すぐに出た。

「ゲントくんから電話なんて珍しいね。いつも夜は連絡とれないのに」

「そうだっけ。それより土曜、加奈江、誰といた? 男と会ってた? ブクロ行った?」

カマをかける。

「見たんだ」

まさかの反応。幸樹が言っていたことは本当だった。

「どういうこと? ケンカなんかしてないよな」

「ケンカもしないって、いつケンカするわけ? LINEの返事は3日おき。3週間前に会ったときも、うちにエッチしにきただけじゃん! 私、ケンカとかしたいよ。私がすねてもゲントくん、スルーじゃない」

3週間前、飲み会終わりに、酔っぱらって加奈江に電話。加奈江の家に着いたのは深夜2時。眠そうなすっぴんの加奈江にムラムラし、酒くさいままエッチ突入。確かに加奈江は嫌そうに応じてた。けどスルーしてフィニッシュ。すぐ爆睡。

翌朝、「遅刻する!」とあせるゲントを見て「しょうがないなあ」と加奈江は笑ってたような。ホントはそんなふうに思っていたのか。笑ってたわけじゃなくて、怒りを抑えてたのか??

「わたし、ゲントくんといるの疲れちゃった。怒ったり怒られたりできない。

言いたいことも言えない。言ってもスルー。ケンカにもならない。こんなの恋人じゃないよ! 気遣うの、もうやだ」

そう言って電話を切った。初めて怒られた。

何度か「寂しい」という、ウサギのスタンプが送られて来てたっけ。ただの愛情表現だと思って流していたけど、SOSサインだったのかな。ゲントはしょぼくれた。


【三松さんからのコメント】

付き合う期間が長くなるにつれ、愛情が増す女性。それに対し、男性はどんどんサバサバ塩対応になっていく傾向があります。

それは本能的なことも関係しています。しかし男性に考えてほしいのは、待つしかない女性の気持ちです。男が狩りに出ている間、女は次にいつ帰って来るかわからない男のことを心配してモゾモゾしています。特に恋愛初期は。

彼女も会社で働いて、人間関係に悩んだり、失敗して落ち込んだり、気苦労が絶えない毎日を過ごしている。そこを汲み取り、ちょっとは心配してあげよう。顔を見て今の状況を想像しよう。

ゲントくんみたいに急に連絡してくる彼氏を持つ女性は、気ままに予定を詰めることもできません。彼が自由スタイルなのに自分優先のスケジュールを立てると、デートが不可能になるから。

そんな彼氏優先のスケジュールしか立てられなくなった女性が、孤独な夜に暇を持て余し、出会いアプリに登録。そのまま浮気に走るというパターンが、多いこと多いこと(女子会調べ)。飽きるほどこの話聞いたわ。

そんな勝手な男と付き合わなければいいのに! という意見もありますが、恋愛ってそんな教科書通りにはいかないって。好きだからワガママ対応も許しちゃうし、本音を隠してしまう。嫌われたくない、うっとうしいと思われたくない。そんな複雑な関係だからこそ、直接会って話す時間を持たなきゃね。

「ケンカをしない=仲が良いではありません。お互いの本音をジャブで出し合う。ときにノックアウトして、倒れた相手を抱きしめる。そんな駆け引きが恋愛の醍醐味。まずケンカしてみろ」

三松 真由美 
恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。日本性科学会会員。ED診療ガイドライン作成委員。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。

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