目の前で処理かよ…男が「セックスレスになる」女のNG振る舞い レスなひとびと
【レスなひとびと】vol. 16
奈美(34歳) 安心感が生む “色気レス”。
夫にヘア処理まで見せたらあかん。

いつものスウェット姿で、あぐらをかいて髪の毛を乾かしていると、総一郎の視線を感じた。
「なに? どしたの」
「や、なんでもない」
奈美と総一郎は結婚して2年目。普段からよく会話もするし、二人とも早く会社から帰宅した日は一緒にお笑い番組を見るなど、仲は良い。
お風呂もだいたい毎日一緒に入る。
奈美が脇の毛処理をしていると「うわっ!」と小さく叫ばれたが、
「お風呂で剃るのが、処理が楽でベストなんだよ」と自慢した。
総一郎とは、毎日のやり取りが夫婦漫才みたい。ボケとツッコミ夫婦。友だちみたいなやり取りが尽きないことが楽しくて結婚した。
ただ最近、一点気になってることがある。
この前総一郎とセックスをしたのはいつだ? 5か月前か? いや8か月。毎日一緒に寝ているし、チューもハグもある。ボディタッチがないわけではないので、そんなに心配はしていない。なんと言ってもまだ新婚。
もしやセックスレス夫婦に突入? まだ新婚だしそれはないよね。会社の昼休みに同僚の玲子に相談してみた。
「一緒にお風呂に入るのって良くないらしいよ。裸に見慣れてドキドキしなくなるんだって」
「そうなんだ……わかった! 一緒に入るのやめてみる」
そう言えば下着は? 毎回ワイヤーなしの楽チンブラ。
レスになりたくないから買ってみるか。
奈美は銀座の地下街に買いに行った。大きく背中があいたスケスケ素材のパジャマセットと、その下に覗く同系色のブラ&ショーツセット!
そして、その日の夜、総一朗が風呂に入っている間に着てみる。
「出たよー。え、何その恰好!! ギャハハ」
総一郎が腹を抱えて笑い出した。予想外の反応に戸惑う奈美。
「そんなに背中出して風邪引くぞ。新手のボンレスハムかと思ったわ」
笑いながら総一郎が寝室に消えた、さすがにボケる気にならない。茫然と一人リビングに残る。ボンレスハム。ちょっと太ったとは思っていたけれど、そんな風に思ってたの? もしかしてもう女だと思われてないのかな。
鏡に映る奈美のおなかと上腕は、たしかにタプタプしていた。奈美ははっきりとセックスレスの自覚をした。
付き合っている当時は、毎回ファッションやメイクに気合いをいれていたのに、毎日顔を合わせるようになるなかで「まあいいか」の感情が湧くのは普通です。奈美さんだけではない。
しかし、その状態が続くと “色気レス” となり、気づいた頃には ”友達夫婦”。夫も彼氏も「なんだか最近、おばちゃんっぽいなあ」と気づき始めます。
心理学的に恋愛観は、女性は加点方式、男性は減点方式だと言われています。女性は相手の外見だけでなく、さまざまな要素を加点方式で評価しますが、男性は女性の外見を見たと同時に評価を下す。
もちろん内面を見る男性も多いのですが、やはり男には自分好みのビジュアルがあるのです。好みのビジュアルが大幅に変貌すると…。
眉毛なし魔女顔、毛剃り場面、膣洗いなど身だしなみの裏側を見せるのはリスクです。裸、お着替えもなるべく見せないように。
一緒のお風呂♡♡は、たまにだからいいのです。エブリディはNG。だって慣れるもの。
“セックスレス” の第一歩となる “色気レス” に陥ってないか、自分の生活を振り返ってみましょう。
「男の恋愛観は減点方式。ヘア処理まで見せたらマイナス100点」
三松 真由美
恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にhanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。日本性科学会会員。ED診療ガイドライン作成委員。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。


