知りたくなかった怖い話…「古着の黒ワンピ」にまつわるヤバい恐怖体験

文・イラスト 犬養ヒロ — 2019.3.29
世の中には、科学では証明できないこともあるようです。憑依体質の漫画家・犬養ヒロさんが聞いてしまった【知りたくなかった怖い話】を紹介します。

【犬養ヒロの知りたくなかった怖い話】vol. 8

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リサイクルショップ

知りたくない度★★☆

(P.N おてもやん 女 会社員)の体験談

私の友達のK子の話です。

K子は独り暮らしのOLで、いつも金欠だった。会社が私服勤務なので、それなりにファッションにも気を遣わなくてはならず、安月給なのに服代にお金がかかるのが悩みだった。できるだけバーゲンでバッグや靴を買うようにしていたが、ちょっとセンスの良い物を買うとお金はすぐに消えていった。

そんなK子が、ちょっと前に流行ったとはいえ、高価そうなブランド服を着ていたりする。おしゃれになった理由を聞くと、「新品の服を買うと高いけど、近所に大きなリサイクルショップができて、すごく安いのよー!」と、嬉しそうに言った。

もともと買い物が好きなK子はすっかりその店が気に入って、頻繁に通うようになり、服は全てその店で買うようになった。ある時、K子はその店でとても気に入ったワンピースを見つけた。ちょっと古いけれど、状態はいい。着てみると、黒色だから痩せて見える。値段もお買い得価格。すっかり気に入って、そのワンピースを購入した。

家に帰ってそれを着て、鏡の前に立ってみると、K子にとても似合っているように思えた。明日さっそく、会社に着て行こう。K子はいい買い物ができて、すっかりご機嫌だった。

翌日、その服を着て会社に行くと、心なしか周囲の人に見られている気がする。きっと似合っているのだろう。会社のトイレに行ったときに鏡に映る自分を見てにっこりした。

K子は帰宅してからも、そのワンピースを脱ぐ気にならなかった。脱ごうとするのだが、なぜか脱いだ途端に無性に着たくなるのだ。なんだか、このワンピースを着ていると心が落ち着く。食欲も全然わかない。鏡に映る自分をうっとりと見つめながら、

「ずっと着ていたい……」
とK子は思った。

K子は次の日もそのワンピースを着て会社に行った。その次の日も、その次の日も、着て行った。

その後、K子は会社に行かなくなった。

K子が長い間無断欠勤をしているので、心配した会社の人が実家に連絡したらしい。K子のアパートに様子を見にやってきた母親は、鏡の前でボ――――ッとうつろな目で座っている娘を見て、ギョッとした。

「K子ッ……、喪服を着て何やってるの……!」

K子に駆け寄った母親は、鏡に映る娘を見て、恐怖で心臓が止まりそうになった。その鏡にはK子ではなく、髪は抜けて歯はボロボロの骨と皮しかない知らない女が映っていたのだ。

その女が母親を見てニヤッと笑ったかと思うと、K子が焦点の合わない目で、口をパクパクして言った。

「この子のお葬式はまだだよ……」

それはK子の声ではなく、この世のものとは思えないような低いしゃがれた声だった。それはほんの一瞬の出来事で、次の瞬間には普通の鏡に戻っていた。K子は精神が弱っていたので、母親に病院に連れて行かれた。

その後、母親は気味が悪いので、その服を近所の神社に持って行ってお炊き上げをしてもらった。その服を火の中に放り込むと異様なほどに真っ黒な煙がもうもうと立ち上り、やがて灰になった。

K子はその服を脱いでから、すぐに体重も戻って元気になったが、その数日間のことはよく覚えていないそうだ。

現在は、実家に戻って近所の制服がある会社に勤めているので、リサイクルショップには行っていないらしい。

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