【”エアコンなし” で寝てはダメ?】 睡眠を妨げない「賢いクーラーの使い方」

2016.7.23 — Page 2/3

夏の就寝中、エアコンの設定温度は?

正常な睡眠のためには、26℃

環境省は夏季のオフィス空調の設定温度として28度を提唱しています。しかし、正常な睡眠のためには、室温26℃、相対湿度50~60%が望ましいと言えます。(筋肉量や脂肪量によって適温は人により多少変わります。)

26℃が適している理由
その1:高温多湿環境が睡眠に及ぼす影響を知ろう

寝具を使用しない裸体の状態で、高温多湿環境と睡眠との関係を調べた研究があります。(Okamoto-Mizuno,K.,et al.,1999)(裸体の場合の適温は29℃)

A.高温多湿・・・気温35℃、湿度75%
B.高温適湿・・・気温35℃、湿度50%
C.適温多湿・・・気温29℃、湿度75%
D.適温適湿・・・気温29℃、湿度50%

結果…
・Aの高温多湿の場合は、その他に比べ、徐波睡眠とレム睡眠が減少し、覚醒がDのおよそ2.8倍増加。
・Bの高温適湿の場合は、徐波睡眠が減少し、覚醒がDのおよそ1.8倍増加。
・Cの適温多湿の場合は、Dよりもレム睡眠と徐波睡眠が若干減少し、覚醒はおよそ1.3倍増加。
・Dの適温適湿の場合は、その他に比べ、徐波睡眠とレム睡眠が増加し、覚醒が最も少ない。

以上の結果から、室温と湿度が睡眠に大きく影響を及ぼしていることがお分かりになったかと思います。温度は適温でも、湿度が高ければ途中覚醒が増加するのですね。

なお、今回の実験は、裸体(寝具無し)の場合なので適温が29度ですが、寝具を利用している場合は、約26度の設定をするようにしましょう。

26℃が適している理由
その2:高温は睡眠前半の中途覚醒が増加する!

寝室が高温であれば、先述のように、睡眠中の覚醒が増加し、レム睡眠と深い徐波睡眠(成長ホルモン分泌期)が減少します。特に、覚醒してしまうのは睡眠前半。

徐波睡眠の中でも最も深い睡眠段階4というのは、寝入り後3時間以内に必ず出現する必要のある眠りであり、この時間にきちんと深い睡眠を得ることにより成長ホルモンが十分に分泌し、体の修復をサポートしてくれます。しかし高温多湿で、睡眠前半の中途覚醒が増えれば、きちんと成長ホルモンが分泌していない可能性があるため、翌朝の目覚めが悪かったり、体に疲れが残っていたりと体に悪影響を及ぼしてしまうのです。

26℃が適している理由
その3:暑すぎると深部体温が下がらない!

通常寝る前は、手足や皮膚表面の血流がアップし、赤ちゃんのように体温が高い状況です。それは、深部体温の低下を促すため。ヒトは、深部体温が低下すると、自然と眠りにつくようにできています。

しかしながら、外気温が高すぎると、皮膚温を上昇させるだけでは放熱が思うように行われずに、深部体温がうまく下がりません。その結果、浅い睡眠や睡眠持続時間の短縮に繋がってしまうのです。それでは、以上を踏まえて、最も適したエアコンの使い方をご説明しましょう。