宮沢りえの「緊張している」に湯川ひなが親近感!
【イケメンで観るドラマ&映画】vol. 76
「初めから終わりまで楽しめる作品です」
短編映画『そうして私たちはプールに金魚を、』で、日本人として初めてサンダンス映画祭ショートフィルム部門のグランプリを受賞した長久監督。世界が注目する映像作家・長久監督が初めて手掛けた連続ドラマが『FM999 999WOMEN’S SONGS』です。
主人公は、16歳の誕生日を迎えたばかりの女子高生・小池清美。彼女が「女とは?」とふとつぶやくと、突如として脳内ラジオ・FM999がスタート。DJが清美の悩みに応じた曲をオンエアすると告げた途端に代わる代わる女性が登場し、それぞれの想いを込めた、“女のうた”を披露していきます。
ユニークな設定とともに、大きな話題を呼んでいるのが、歌い手として登場する多彩で豪華な女性キャストたち。
宮沢りえさん、メイリンさん、菅原小春さん、塩塚モエカさん、太田莉菜さん、八代亜紀さん、モトーラ世理奈さん、後藤まりこさん、ともさかりえさん、アオイヤマダさん、三浦透子さん、ゆりやんレトリィバァさん、なみちえさん、研ナオコさん、豊田エリーさん、青山テルマさん、松本穂香さん、長井短さん、吉住さん、坂井真紀さん、眉村ちあきさん、真矢ミキさん、MEGUMIさん、西田尚美さん、水原希子さん、内田慈さん、坂本美雨さん……ひとつの作品に集結したことが信じられないほど、ミラクルなキャスティング! 本作でしか観ることのできない、オリジナル曲の歌唱シーンは必見です。
主人公の清美を演じたのは、若手実力派女優の湯川ひなさん。長久監督作『そうして私たちはプールに金魚を、』で映画初主演を飾り、本作で長久監督と3度目のタッグを果たしています。
ーー『FM999 999WOMEN’S SONGS』のアイデアは、どのようにして生まれたのでしょう?
長久監督 今こそ、女性に対する問題提起をすべき、という使命感に駆られたんです。僕は男性ですが、性差についての社会構造や意識の問題について思うところが多くありました。難しいテーマですが、説教くさくならないよう、書き溜めてきたモチーフを散りばめて映像にしました。
ーー主人公の清美役に湯川ひなさんを選んだ理由を教えてください。
長久監督 湯川さんは、チャーミングで無邪気なところを残しつつ、不機嫌さや苛立ちという細かい感情の表現ができる方なんです。役者として、とても精度が高い方だと思います。今回、たくさんの方をオーディションさせていただいたのですが、彼女を選びました。
ーーオーディションで、主人公に選ばれたときのお気持ちは?
湯川さん 素直に嬉しかったです。ドラマは一話ごとに終わりがあります。私は連続ドラマ初出演でしたから、全体的な流れをしっかり把握して演じなければならないという責任を感じました。
ーーオーディションの内容はどのようなものだったのでしょう。
湯川さん イライラと歩きながら抜粋されたセリフを読む、怒りながら監督が用意した音楽に合わせて踊る、すごく早口でセリフを読むといった課題がありました。すごく難しかったです。
ーー実際の撮影で踊るシーンは……。
湯川さん ほぼありません(笑)。
ーー対応力を試すオーディションだったのでしょうか(笑)。歌い手の方々の顔触れを初めて知ったとき、どう思いましたか?
長久監督 僕が先に脚本を書いて、この方に歌ってほしいというお名前を挙げたのですが、これほどまでに集まっていただけるとは思えないほどの実現度でした。最初の打ち合わせの際、歌い手の方々が口をそろえて「どうして私なんでしょうか」「私はこういうイメージなんでしょうか」と戸惑い気味におっしゃっていたことを覚えています(笑)。このタイミングで歌声をお借りできて、本当によかったです。
湯川さん 歌い手さんの方々は、いろいろな分野で活躍されています。なかなか出会えない方々とご一緒することで、自分も刺激を受けるに違いないと思いました。現場では、みなさんのパフォーマンスをしっかり観察しようと意気込んで撮影に挑みました。
ーーとくに印象に残った歌い手の方は?
長久監督 僕は劇中の歌をセリフや役柄の一部ととらえています。宮沢りえさんは、まさに「一番目の女」(第1話)がそこにいるという感じでした。ご自身の生き方やたたずまいも含めて、とても魅力的でした。
湯川さん 皆さん、とても純粋な方ばかりでした。撮影現場で宮沢りえさんは「緊張している」とおっしゃっていて。“あの宮沢りえさんが緊張するんだ、なんてかわいらしい方だろう!”と親近感を覚えました。八代亜紀さんと真矢ミキさんは、撮影が終わった後に「イエーイ!」と言いながらハイタッチをしてくださって、元気をいただきました。歌やお芝居などで人に元気を与える方は、陽のエネルギーをお持ちなんだなと実感しました。
ーー監督の言葉で、印象に残っているもの教えてください。
湯川さん あらゆる人を肯定できるような作品にしたいという言葉が印象に残っています。個人的には、ゆりやんレトリィバァさんが歌う「まゆげの女」の自己肯定に共感しました。どんな状態の自分でも肯定する、そんなことを自分もやってみたいなと思いました。
ーーこの作品の見どころを教えてください。
長久監督 問題提起の観点からすると、男性に観てほしいと思っています。男性は戒められる気持ちで観ていただきたいですが(笑)、シンプルにエンターテインメントや歌番組を楽しむという感覚でも楽しめる作品です。
湯川さん いろいろなメッセージを持った作品で、頑張って生きている方は性別に関係なく共感できる作品だと思います。でも初めから終わりまで楽しめる、エンターテインメント性の高い内容にもなっています。物語と音楽、そして歌い手の方々の個性を楽しんでいただきたいです。
インタビューのこぼれ話
湯川さんは、宝塚歌劇団に所属する柚香光(ゆずか・れい)さんの大ファン。宝塚歌劇団のレジェンドである真矢ミキさんと共演した際、宝塚が好きだという気持ちを直接伝えることができたそう。それに対して真矢さんは、「え、好きなの? 宝塚」(真矢ミキさん風の、キリっとした言い方で)と、反応してくださったそう。真矢さんの凛々しいたたずまいを現場で観た湯川さんは、「本当にかっこよかったです! 一生の宝物です(笑)」と感激しきりでした。
Information
『FM999 999WOMEN’S SONGS』
3月26日(金)配信スタート
毎週金曜よる9:30より配信/無料トライアル実施中【WOWOWオンデマンド】
3月29日(月)放送スタート
毎週月曜よる9:30より放送【WOWOWプライム】(全10話)
出演:湯川ひな 岡部たかし 倉悠貴/TARAKO
宮沢りえ メイリン 菅原小春 (第一話ゲスト)
公式サイト:https://www.wowow.co.jp/drama/original/fm999/
文・田嶋真理 スタイリスト・岡本さなみ ヘアメイク・山下亜由美