加藤雅也「EXILEのサニブラウン!」と謎の例えで絶賛するメンバーは!?
【イケメンで観るドラマ&映画】vol. 44
横浜を舞台に、スタイリッシュな映像で描く男の美学

映画『影に抱かれて眠れ』の主人公は、こよなく酒を愛し、横浜の野毛の街を愛する抽象画家・硲冬樹。硲の日課は、絵を描き、野毛の街で酒を呑み、自らの経営する酒場を巡回すること。ところがある日、彼の平凡な日常を揺るがす事件が発生。硲は、経営するクラブの元従業員だった岩井信治が抱えたトラブルをきっかけとして、横浜の闇にうごめく男たちの抗争へ巻き込まれていきます。
加藤雅也さんは、硲冬樹を大人の色気たっぷりに熱演。冬樹が純愛を貫く女性・永井響子を中村ゆりさん、冬樹が経営するクラブのバーテンダー辻村正人をEXILEの松本利夫さん、冬樹を事件に巻き込む発端を作る岩井信治をカトウシンスケさんがそれぞれ演じています。
ーー共演する前、お互いにどのような印象をお持ちでしたか?
加藤さん 僕はEXILE全員と共演しているわけじゃないけれど、演技力がナンバーワンだよね。
松本さん いえいえいえ(笑)。
加藤さん ひとつレベルが違うよね。サニブラウン・ハキーム(※100mで日本歴代1位の記録を持つ、日本国籍の陸上競技選手)みたいな感じ。
松本さん その発言はダメです(笑)。
ーー加藤さんの例えがすごく面白いです(笑)。松本さんは、加藤さんに対してどのような印象を抱いていましたか?
松本さん ダンディで、渋くて、葉巻を吸っているイメージを抱いていました。寡黙な方だろうと思っていたら、最初にお会いしたときから気さくに話しかけてくださって。僕は加藤さん演じる冬樹を兄のように慕っている男の役なので、とてもありがたかったです。

ーーインタビューを始めたばかりですが、加藤さんはとても楽しいお話をされる方だなと感じています(笑)。
加藤さん ラジオ※をやっているからね。
※2013年からFMラジオのパーソナリティーを担当/毎週土曜日 25:00~25:30 Fm yokohama 84.7『加藤雅也の BANG BANG BANG!』
ーーそのトーク力はラジオで培われたものなんですね。
加藤さん ラジオで爆発しました。僕らがデビューしたときは高倉健さんが最高峰で、男は寡黙であるべき、というようなイメージがありました。一方で、アメリカの俳優は自分の意見を堂々と主張します。僕が香港の俳優と共演したとき、レスリー・チャンのような大スターであってもすごく気さくで、みんなにわけ隔てなく話をしていました。
彼らの姿を見て、僕もファンの方々を1回でも笑わせたいという気持ちに変わりました。そんな気持ちを抱いていた50歳のときに、FMラジオのパーソナリティのオファーをいただいて。以前から話をするほうでしたけれど、ラジオの仕事をきっかけにして、もっと喋り慣れてきました。

ーー松本さんが、加藤さんと共演して役者として刺激を受けたことは?
松本さん 撮影現場で加藤さんは、プロデューサーの中野英雄さんや和泉聖治監督に、硲冬樹のイメージをしっかりと伝えていました。その姿に役にかける想いを感じましたし、役への新たなアプローチの仕方を教わりました。
ーー本作のプロデューサーの中野英雄さんが原作の大ファンで、しかも原作者の北方謙三さんがカメオ出演まで話しています。演じるうえでプレッシャーを感じたことは?
加藤さん 北方謙三さんとは10年以上の付き合いがあるんです。この映画の前に北方謙三さん原作の映画『棒の哀しみ』のリメイクもやっているので、気負いはありませんでした。北方さんにこの主人公は何なんですかと質問したとき、「自分の周りで起こるすべてのことを受け入れていく男なんだよ」と。本作を観た北方さんが「諦念(ていねん/あきらめの気持ちという意味)の感情が出ている」と言ってくださったので、良かったなと思いました。

ーー演じるうえでもっとも難しかったところは?
加藤さん すべてを受け入れていく男はどういう者なのか、というところです。運命を受け入れるのは、難しいこと。どうやったら、仕方がないとあきらめるのではなく、前向きに受け入れていく男を作れるのか、考えました。
松本さん 演技を通じて、硲さん、辻村、信治の男の絆を描きたいと思いました。辻村は面倒ごとが起これば、硲さんの代わりに対応するという気持ちを持っています。そこは僕がHIROさんに対する想いに重なると思い、役作りのヒントにしました。
ーー最後に、映画の見どころをお願いします。
加藤さん 硲が自分の運命を前向きに受け入れていく姿に注目していただきたいです。女性が観ても共感できると思います。
松本さん 昭和の香りを残しつつ、スタイリッシュに描いた作品です。それと、「壁ドン」「床ドン」ならぬ「グラドン(※劇中、硲冬樹がグラスを逆さにして女性をベッドに誘うシーンにちなんで)」のシーンを見逃さないでいただきたいです(笑)。

インタビューのこぼれ話
インタビュー中、加藤雅也さんと松本利夫さんは、硲冬樹がお酒を飲みほしたグラスを逆さにしてクラブを出るシーンで大盛り上がり。実はこれは、北方謙三さんも実践しているらしい、女性の粋な誘い方。「これぞ北方ワールド。クラブに女性がひとりの場合に、成立するシーンだよね」と加藤さん。『影に抱かれて』の公開後は、グラスを逆さにしてクラブを出る紳士が増えるかも!?
Information

映画『影に抱かれて眠れ』
9月6日(金)より、丸の内TOEI2・横浜ブルク13ほか全国順次公開
監督:和泉聖治
原作:北方謙三『抱影』(講談社文庫刊)
出演:加藤雅也、中村ゆり、松本利夫、カトウシンスケほか
配給:BS-TBS/配給協力:トリプルアップ
公式サイト:http://kagedaka.jp/
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