天才だと言われます…猫さまが飼い主の会議をミュートにするタイミングとは

取材、文・Manabu Matsunaga — 2023.3.11
フランス在住のカメラマン、松永学さんによる、フランスの猫さま紹介! 第114回目は白地にグレーのトラ模様のニノン(Ninon)さま。

パリジェンヌになった猫さまの物語

【フレンチ猫さま】vol.114
猫さまの話をもっと聞かせて! 
ニノンさまは6歳の女性猫さま。


猫 保護猫 フランス


ニノンさまが語ります。

私の名前はニノンです。フランスの女性の名前で、Georges Brassensという有名な歌手の歌(1962年の古い歌になります)の歌詞にあるNinonが由来になっているとのことです。住んでいるのはパリの6区で、アーティストが多く住んでいる地区のアパルトマンです。


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お話するのが大好きで、飼い主が話しかけると必ず返事をします。冬はベッドで頭を枕に乗せて、人間のように横になって寝ます。朝は午前5時~6時に飼い主の顔をなめて起こし、朝ご飯を食べてから二度寝をします。飼い主が出勤をしてからは一人気ままな時間を過ごし、飼い主が戻ってきたら全速力で遊びまくります。夕飯にグルメな猫缶を食べた後、遊んだり寝たりを繰り返しながら1日が終わります。

ウェットフードが好きなので、栄養バランスのとれた猫缶や、ゆでたチキンを割いてもらいます。歯磨き用のおやつも大好きで「お手とおかわり」がちゃんとできます。最近はおやつをくれるまで何度もお手を繰り返すようにしています。


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飼い主が家で仕事をしているときは、目の前にある丸い箱の中にくるんと丸くおさまって、会議の内容を聞きながら寝ています。飼い主が上司と話していて、話が面白くなくなると、数多くあるボタンの中からミュートボタンを選んで押すことが特技です。飼い主の職場の人達には天才猫だと思われています。
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飼い主から見たニノンさま

私は国際機関に勤務をしており、途上国の教育支援を行う仕事をしています。幼少期に米国で生活をしていた時から家には猫がいました。自立してからも常に猫が周りにいて、アフガニスタンで勤務をしていた2011年~2016年の間に2匹のアフガン猫を日本に連れて帰りました。そのうち1匹は実家の父と水入らずの生活をしていたのですが、最近亡くなり、もう1匹の猫は東京のど真ん中のタワーマンションで都会猫の生活を送っています。


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中近東のヨルダンで仕事をしていた際に、急にニノンが仕事場に現れました。まだ本当に小さな子猫の時でした。銃を持つ強面のセキュリティーガードの人達に可愛がられて猫缶をもらっていたところ、冬が近づいてきて外にいるのはかわいそうだと思い、家に引き取りました。それ以来、完全なる家猫・箱入り猫の毎日です。
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ヨルダンからフランスに引っ越すこととなり、ヨルダンの獣医さんと共にすべての手続きを行い、エアフランスでニノンを手荷物として一緒に乗り込み、無事にシャルルドゴール空港に到着。それからニノンのパリジェンヌ生活が始まりました。
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コロナ禍にオンラインで仕事をしていた際には、ほとんどすべての会議にニノンが登場するため、仕事場の人達はみなニノンのことを知っています。一度、緊迫した会議をしていた際にニノンが参加してしまったのが、その場を和やかにしてくれ、急に仕事の話が全てうまくいったことがあります。
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ニノンは私の生活の中心にあり、常にニノンが幸せになるにはどうしたら良いだろうかといつも考えています。ニノンは人生における最愛のパートナーなのです。
ーーヨルダン生まれのニノンさまはすっかりパリジェンヌになってしまいました。野良猫を放っておけなかった飼い主はニノンさまと出会ってすっかり虜になったようです。毎日が活気のある生活だと話します。お話好きなニノンさまは人間の会話も十分理解できていると察しますね。

取材、文・松永学