抱き心地が良さそうでしょ…食いしん坊な猫さまの特殊能力とは

取材、文・Manabu Matsunaga — 2023.1.15
フランス在住のカメラマン、松永学さんによる、フランスの猫さま紹介! 第98回目は白黒猫のタオ(Tao)さま。

とにかく食いしん坊な猫さまの物語

【フレンチ猫さま】vol.98
猫さまの話をもっと聞かせて! 
タオは7歳の男性猫さまです。


猫 保護猫 フランス 黒白猫

僕はパリ市内の狭いアパートに住んでいます。飼い主の趣味でレコード、本、DVDやBlu-rayで埋め尽くされています。
猫 保護猫 フランス 黒白猫

僕の1日の生活を紹介します。
朝、6時半頃ニャアニャア鳴いて家族を起こします(朝ごはんの催促)。その後、お腹が満たされたら二度寝。昼前11時頃にまたご飯の催促をし、昼~夕方まではノンストップでお昼寝。飼い主が家で仕事をしている場合は、パソコンの前に陣取ります。夕飯後は飼い主と一緒にソファーでくつろぎタイムです。
猫 保護猫 フランス 黒白猫

もともと骨格の大きく、しっかりとした体型なのですが、食べる事が大好きで少々太り気味でした。数年前にアパート6階の窓から落ちて、腰を骨折し、お腹の皮膚が裂けるという重症を負いました。3度の手術を経て、現在は事故前よりも元気なくらいに回復しました。獣医さんから「歳をとった時に、この腰の傷がまた問題となるかもしれない。そのためにも体重を減らしたほうが良い」と言われ、食生活を変えました。以前はカリカリオンリーだったのを、魚もしくは鶏肉+野菜(キャベツ、ズッキーニ、ブロッコリーなどを細かく刻んで茹でたもの)をいただきます。獣医さんによると市販のカリカリやウェットは太るし添加物も入っているとのことなので最小限にとどめています。
猫 保護猫 フランス 黒白猫

基本的にものすごく食いしん坊で好き嫌いもないので、野菜だけでも喜んでいただきますよ。ご飯の用意をしている飼い主がキッチンにいるときは、足もとにまとわりついておねだりをします。冷蔵庫を開けると、必ず頭を突っ込んで中を覗くので、いつか首を挟むのではと飼い主はヒヤヒヤしているようですが…。
食事する際は、飼い主と同じテーブル上に座って、何かくれないかとじっと待ちます。朝ごはんに出るプレーンヨーグルトを少しもらいます。とにかく頭の中が食べる事でいっぱいの食いしん坊です。
猫 保護猫 フランス 黒白猫

配達の人が来たりするとすぐに隠れる臆病者ですが、慣れると甘えるために出ていきます。お腹から下を触ると噛みつく凶暴さも持ち合わせていますが…。
猫 保護猫 フランス 黒白猫

キャットタワーの最上階から外を眺めるのが好きです。冬になると飼い主の膝の上でずっと寝ています。ブランケットの中に入っている姿は、この家では冬の風物詩となりました。ファラフェルのもじりで「シャラフェル」と呼ばれています。
飼い主から見たタオさまとは?

父が大の動物好きで、実家で初めて猫を飼いました(父の愛猫)。今は東京に住んでいる姉も大の猫好きで、多い時には3、4匹飼っていたので、私が姉の家に滞在する時は猫天国でした。パリに来て、初めて自分の猫を飼いましたが、病気で1歳半の若さで旅立ってしまい、何年も新しい子を迎えることを躊躇していました。それでもやはり猫と暮らしたいと思い、パリ在住日本人コミュニティのアノンス(掲示板)で「子猫さし上げます」の書き込みを見て連絡しました。
たくさんの白黒子猫の中から、夫がタオを見てピン! ときたらしく、すぐに決めました。なので、今のタオが自分の猫の二代目です。アノンスを出した日本人のかたは、日本に帰国されましたが、今でも連絡を取り合っています。

エピソードというか毎日笑わせてくれるのが、夕食時に我々のテーブルに居座って何ももらえないと諦めてキッチンから出て行き、デザート時になると必ずまた戻って来ることです。


猫 保護猫 フランス 黒白猫

キッチンのドアが軋んでキーキーと音がするのですが、タオが入って来る時に「キィ~」っと鳴るのが面白くてそのままにしてあります。ドリフのコント並みに毎回同じで笑えます。食事を終えてデザートに移行するタイミンをどうやってわかるのかが本当に謎です。
日本語で「ごはん」という単語を完全に理解しています! 聞こえるか聞こえないかぐらいのささやきでも、聞きつけて走って来るので、我が家では使用注意単語になってしまいました。夫(日本語を少しだけ話す仏人)とは、「GOHAN(ジェーオーアッシュアエヌ)」と発音してタオに悟られないようにしています。私たちのことを美味しいご飯を用意してくれる仲間と思っているに違いありません。
猫 保護猫 フランス 黒白猫

あと、掃除機をかける時は家中の窓を開けるので、また転落事故が起こらないように部屋の中にいつも置いているケージに入れていたのですが、いつからか掃除機を出しただけで自ら入るようになりました。まぁ、どちらも特技と言えるほどでもありませんが…。
猫 保護猫 フランス 黒白猫

疲れた時、落ち込んでいる時、タオの事を考えたり、帰ってふわふわの毛を撫でていると本当に癒されます。常に面白い行動を取るので(99%食べ物がらみですが)、いつも笑わせてくれる可愛い存在です。
ーー瀕死の重症の後3回の手術をして、事故前よりも元気になったと飼い主は言います。食いしん坊のタオさまなので栄養のバランスも良く回復も早かったのでしょうね。今日もタオさまにはどんなご馳走が出てくるのでしょうか?

取材、文・松永学