キャットフードはあげません! 片腕を失くした猫さまに注ぐ飼い主の深い愛

取材・文 Manabu Matsunaga — 2022.3.12
フランス在住のカメラマン、松永学さんによる、フランスの猫さま紹介! 第11回は世界一の? グルメ猫さまタレイラン(Talleyrand )さまの登場です。

美食家猫さまが登場!

【フレンチ猫さま】vol. 11

猫の話をもっと聞かせて! ご飯は飼い主の手作り、美食家猫さま。


フランス パリ 猫

2歳の男性トラ猫のタレイランさまは猫用のご飯は食べません。毎回の食事は飼い主の手作り伝統的フランス料理を召し上がっています。


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僕はフランスのロワール地方の都市アンジェで生まれました。そこで事故に遭い消防士と、運ばれた獣医の懸命な治療で今があります。右手は複雑骨折で手に負えない状況で、右手を切断しました。その後パリ郊外にある保護協会にやってきて数日もしないうちに今の飼い主が引き取りたいと申し出ました。まだ手術の傷跡も残ってもちろん抜糸前の状態でやってきたのですが、パリのアパートはいい匂いがするのです!


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飼い主はプロの料理人ではないのですが新型コロナの感染が広がった頃から、家でもできる趣味として料理を始めました。包丁は日本に行った時に買った優れものらしいです。かの有名な、現代フランス料理の父と言われるオーギュスト・エスコフィエの言葉に感銘を受けて彼のレシピを再現しようとしています。僕の名前は、ナポレオンの外務大臣で美食家として知られたタレイラン( Talleyrand)からとったそうです。接待を担当し季節の食材のみを使用して重複のないメニューを1年間作成することを命じたりしていた人だとか。名前にも歴史的背景を入れて、飼い主は工業生産のキャットフードは食べさせたくないと思っているようです。


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もちろん、味もまんざらではないです。レストランに行って食事したことはないのですが、香りをかいできれいなお皿を見るとお腹が鳴ります。


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片手だってさほど不自由を感じていません。キャットタワーだって自分で登れるし、食後の散歩はアパートの階下まで一人で腹ごなしに行くのが日課です。


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今まで食べたなかで1番の好物は子羊の脳、これは絶品でした。写真もありますが人によっては刺激が強いですのでここには載せません。野菜もけっこう好きで特にカブが出てきた時には声が出ます。


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飼い主は僕の執事? 料理だけではなく愛情もたっぷり注いでくれるイケメンなんですよ。今夜も飼い主の料理の準備を手伝って(見るだけですが)どんなものが出るか今から楽しみです。


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ーータレイランさまの飼い主はイケメン(ロメン)と美女(ジャスティン)のカップルでした。ロメンが料理担当でプロ顔負けのきれいな料理を仕上げるのです。日本に行ったときに購入した何本もの包丁は手入れが行き届いていました。

何匹もの猫さまと出会いましたが、猫専用のご飯じゃなく全て手作り料理とは驚きました。飼い主が自分たちが食べるものを猫さまと共有したい(もちろんタレイランさまには塩などは使わない)気持ちがあふれ出ていて素敵な三人家族でした。


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