「両想い」なのに彼と付き合えない…21歳女性が「辛く苦しい恋愛を抱えている理由」

文・藤島佑雪 イラスト・小迎裕美子 — 2023.5.29
銀座のマガジンハウス6階、anan編集部の片隅に『クラブ佑雪』が開店。人生相談で有名な当クラブのママ、藤島佑雪さんが迷えるみなさんのお悩みにお答えします。今回は、両想いの彼がいるのに辛くてたまらない21歳女性。その理由は、彼には長年交際している恋人がいてなかなか別れてくれないから。この苦しみから逃れたいと言う彼女に、佑雪さんのアドバイスは?

お悩み:「彼女と別れてくれない彼との関係が、苦しいです」

略奪 恋 苦しい つらい 対処法

【クラブ佑雪】vol. 296


私は1年ほど前に彼女がいる同級生を好きになりました。彼女とは面識がないのですが、もう3年ほど付き合っているみたいです。彼とはいろいろありましたが、お互いに本気であることを確認し合っています。彼からは「彼女とちゃんと別れるから待ってて」と言われています。けれど、2人で決めた期限を何度も破り、結局、今もその彼女と別れていません。彼は彼女に別れ話をしたようなのですが、彼女が別れてくれないそうです。

私は本当に大好きだったんですが、このままもし、私たちが付き合ったとしても、きっと今の彼女と連絡をとったり、会ったりするんだろうなと思います。この人を選ばないことが将来の幸せだと思い、何度もさよならをしようとするのですが、結局、好きで辛くて私から連絡をしてしまいます。今まさに連絡するのを我慢してるのですが、毎日彼を考えない時間がなく、涙が出て苦しいです。この苦しさから逃れるためにはどうしたらよいのでしょうか?

(はな 21歳未婚 大学生)

「人間の歴史、それは恋の苦しみの歴史です」

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深い。深すぎますね。冒頭の部分では「ちゃんと彼女と別れてもらうにはどうしたらいいですか?」っていうご相談なのかな、って思ってたら、まさかの「この苦しさから逃れるためにはどうしたらよいのでしょうか?」だなんて。まるで、衆生(しゅじょう/仏教用語で生きとし生けるもの)がブッダにおすがりする説話に出てきそうな、根源的なものを感じます。

人間って、生きるって、辛さや苦しさなしにはまっとうできない設計になっています。でもね、歳を重ねるごとにこれまで見えてなかったものが見えてきて、気づけなかったことに気づけるようになっていくと、そのたびに大問題だったことがどうでもいいことに縮小していきますし、また大問題に対処できるスキルも上がって、楽に生きられるようになっていきます。だからね、ご相談者さまが指す「“この”苦しさ」という、彼との関係性における苦しさは、時間が解決してくれるはず。特に20代前半は恋愛のサイクルが早い場合が多いので、すでに現在、解決している可能性もあると思うんです。

でも、“この”苦しさ、お悩みは消えても、また新たな苦しさ、お悩みがやってくるのが人生ってもの。そこからは永遠に逃れられないんじゃないですかね。たとえば、小学生のとき、逆上がりができないことが悩みだったのが、中学生にはニキビに悩まされ、高校生には受験で悩まされ…って、人生のステージごとに常に何かしら問題って出てくるわけです。その大小や濃淡はあれど、苦しみ、辛さ、お悩みが何もありませんっていう状態って、一生ないのでは?

で、唐突ですが、平安貴族って和歌を詠むのが当たり前の人たちだったのですが、みーんな辛くて苦しい恋心を詠んでいます。むしろ、ハッピーだったら歌にならないくらい。恋の辛さが和歌のネタになってたわけです。百人一首では43首が恋の歌。そのなかでラブラブで幸せ〜って言ってるハッピーな歌はひとつもありません。たとえば、こんな感じ。

逢ひ見ての のちの心に 比ぶれば 昔は物を 思はざりけり/中納言敦忠

藤島佑雪バージョン現代語訳:あなたとやってしまった後の気持ちと比べれば、やる前の悩みなんて、全然、悩みじゃなかったよ。

悩んでるわけです。辛いわけです。でも、それが恋! 自分、今、恋してます! っていうことだと思うんですよね。ですからね、今、短歌ブームもきてますし、今の言葉使いや感性で全然いいので、恋の辛さを短歌という文学に昇華させてみませんか? ご相談者さまのお悩みって哲学的で深いところまでいってるから、その気になれば、いい歌つくれるんじゃないですか? 普通に詩でもいいですし。何を言いたいかっていうとですね。こういうエモさって、後で振り返ると人生のきらめき、輝きなんです。生きてる証拠!

彼はおっしゃる通り、きっと、彼女と別れたとしても連絡をとり続けるでしょう。次に彼女にもっと好きな男性が現れるまで。で、それって、結局のところ、彼も本気で彼女と別れようなんて思ってないわけです。彼女も好き。でも、ご相談者さまも好き、なんです。で、どっちにも嫌われたくないし、手放したくないから、両方にいい顔してるだけなんです。

でも、そういう彼に恋をしてしまったのだから、しょうがないですよね。彼を嫌いになる、もしくはどうでもよくなるまでは苦しさは続くでしょう。それをね、短歌、詩へのエネルギーに変えるっていうのはいかがでしょう? 一首できたら、わたくしに送ってください。ぜひ、御相伴させていただきたいです。素敵な恋の歌、お待ちしてます。


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藤島佑雪(ふじしま ゆうせつ)
元リアル銀座のクラブのホステスを経て、占い師・開運アドバイザー。著書に『元銀座ホステスが教える強運!美女になる方法』(文藝春秋社刊)。anan web上の銀座『クラブ佑雪』オーナーママとしてお悩み相談「クラブ佑雪」、『TABI LABO』で「目覚めよ! 恋愛力 藤島佑雪のLOVE占い」など連載多数。


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