男のブランド下着に込められた謎のプライド。
仕事に美容に恋愛に、女の人生ってけっこー大変! 私はこのままでいいのかな? 幸せになれるかな? そんなモヤっとした悩みを浄化し、毎日がもっと楽しくなる痛快エッセイを、毎週土曜日お届けします。
男も女も脱いだら脱いだでいろんなものが見えてくるが、男が全裸になる直前、女は意外なところで悶々としているらしい。その訳は…。三十路独身女がぶっちゃける男のパンツ論!
【恋愛はしたいけれど1mmも傷つかずに生きたい】vol.31
好きな男性との初めての夜。ズボンを脱いだらそこにペラッペラの薄くて安そうなトランクスがあったら…そしてそれが後日、100円均一製のトランクスだと判明したら、あなたはどうしますか?
私はそのとき、彼から嫌われるのが嫌で、傷つくのが怖くて、経済的な男性なんだなーって無理やり自分を納得させました……って、自分の話かーい! そうです。私の苦い恋の思い出でした。
今、冷静に考えたら「ひゃ、ひゃ、100均パンツ!? ありえねー」って話なのですが、当時も驚きはしたけれど、好きだったから怖くて本音が言えなかったんだ。ああ、懐かしき青春よ。
ところで、そんな経験をいくつも乗り越えた三十路独身の今、男のパンツにはプライドが隠れていると思うのだ。
そんな中でも、女とそういうことになってズボンを脱いだら、ギラギラしたブランド物のボクサーパンツだったら…独断と偏見が混じっているけど、これ、一番ヤベエ奴だと思うんです。下着にまで気を配れるなんてオシャレでいいじゃんって? 甘い甘い! 勝負のときしか見えない場所だからこそ、男のプライドが滲み出ているデンジャラスゾーンなのである。

ブランド下着は男のプライドそのもの
そもそもなんでブランド下着が一番問題なのかっていうと、下着という日常生活の中では誰からも見られない部分に、あえて“ブランド物”をハメて、セックスに臨み、少しでも「俺を良く魅せよう」とするセンスとプライドが問題なのである。だって、たとえば私らの世代でいったら、高校時代に香水が大流行したあの青春ブランドを、20、30歳頃の男性が股間に「俺のココ! ドヤア!」ともってきているんですよ(正しくは股間ではなく腰のゴムであるが)。
もしかしたら、そんな「ドヤア!!」のために、デパートで背中を丸めて、「この下着、やっぱ普通のパンツより高けえな〜」なんてためらった後の購入かもしれないではないか。
もしかしたらパンツの上のジーパンは1,990円のファストファッションかもしれないではないか。
「とりあえず分かりやすい部分だけいい物つけるか」って、安易にパンツに2倍近いお金を出しているかもしれないではないか。
そんなみみっちい感性が透けるからこそ、セックス始めに披露されるブランド下着には、ナルシシズムの香り以外何も感じないのである。どうせ、そんな大したイチモツでもなかろうに。いや、たいしたイチモツじゃないからこそ、パンツに金をかけるのか?だったらもっと、前戯に労力でもかけよ!ということである。
もちろんこれが女子だったら話は別だ。高い下着は高いなりの作りと構造になっているから、財布が許すかぎり、いい下着を着るほうが、ボディメイク的には正解である。
だけど男子の股間ホールド事情なんて、たかが知れているではないか(こだわり出したらキリがないとは思うけど)。いいブランド下着を履いたって、イチモツが大きく見えるわけじゃないし、たるみ始めた肉体が締まってみえるわけでもない。せいぜいセックス前のあの一瞬、自分の股間と男としてのインパクトを高めたいだけであろう。そんな瞬間に平均以上のお金をはたく「ドヤア!」なセンスは薄っぺらくてヤバイということである。