そろそろ女子って言うのやめません?
仕事に美容に恋愛に、女の人生ってけっこー大変! 私はこのままでいいのかな? 幸せになれるかな? そんなモヤっとした悩みを浄化し、毎日がもっと楽しくなる痛快エッセイを、毎週土曜日お届けします。
何歳になっても「女子」でいられるこの時代。でも、その語感に違和感を覚える女子(!)いませんか? アラサーが本当に目指すべきは、永遠の「女子」じゃなくて「イイ女」だとしたら、いったい何から変えればいいの?
【恋愛はしたいけれど1mmも傷つかずに生きたい】vol.13
もう「女子」をやめませんか?
30歳の私の心が最近そう囁く。女をやめたいわけではない。世間では「○○女子」と年齢関わらず色々くくりとして使われる言葉だけれど、オトナなら“ちゃんとした”大人の女性にならなくてはいけないのでは…と感じるのだ。
同世代の友がどんどん嫁ぎ、子供を生むから?
同世代の友がだんだん責任ある仕事を任されるから?
たしかにそれを見て焦りを感じることもある。でもそれよりも、最近自分の中で焦りを感じるのは、きっと体から“かわいい”を作る成分が、ガスのようにプシューっと抜け続けている気がするからだ。つまり老け始めてるってこと。
じゃあ大人のイイ女って何者?
ハッキリと気付いたのは洋服だった。数年前に買ったシフォンのワンピースが、ある日を境に似合わなく感じるようになった。その現象は1着ではない。ピンクを着ることに違和感を覚え、リボンやハートなどラブリーなモチーフが顔から浮くような気がする。小さい違和感はだんだんと核心へと変わり、私はもう“女子”を卒業しないといけないのだ…といつしか違和感は核心へと変わった。
「よし! イメチェンだ!」
30歳、可愛い女子から大人のイイ女へ目指すゴールをシフトチェンジ。なんてカッコつけたけど、一体何がイイ女なのか実はよくわからない。ためしに回りの女性たちに聞いてみることにする。
●ツメとかカカトとか毛先まで、きちんとお手入れしている人。
今すぐ削ります!保湿します!
●姿勢が綺麗でいつも笑顔の人。
猫背強制ベルト買いました!3980円!
●サイズや形や色が似合った質のいい服を着ている人。
改めてクローゼットを見直すと、オシャレにうとい私のタンスには、くたびれたファストファッションの服ばかりがしまわれていた。
イイ女には教養が必要?
財布にちょっと苦労をしてもらいながら、ゆっくりとイメチェンを行ってみるも、さらにある女性から指摘がはいる。
「やっぱりイイ女に大切なのは、教養であろう」
教養だと!? 彼女は続ける。
「例えば恥ずかしくないマナーや振る舞いや…」
マナーだと!?
「手紙やメモにしたためる文字が綺麗とか…」
美文字だと!?
「ふと見かけた花の名前を知っていたり…」
花の名前だと!?
もちろんこれは一人の女性の意見でしかない。しかし妙に納得してしまった私は、自分に欠けているものの多さに愕然とする。
「芸能ニュースより政治や経済が分かっていたり…」
芸能コラム書いてるよ。
「料理もできないと恥ずかしいかも…」
料理苦手です。
「なんか知的な趣味もあると素敵よね…」
もうやめてー!!!
受け入れる皿がない。無理無理無理無理! 完全に拒否反応を起こしながらも、彼女があげる話は一昔前の女性であれば、確かに持ち合わせていた要素な気もする。うーん難しいぜ大人のイイ女。
「まあ身近な素敵な大人でも見習ってみたら」
失笑まじりに助言をもらい、回りの女性を思い返すと一人思い当たる人物がいる。私の母である。
美しき母に秘訣を聞こう♪
母について少しご紹介すると、アラ60に近い彼女は、娘が言うのもなんだが、結構素敵な女性だ。年齢相応の美しさを保ち、綺麗な文字で娘に手紙をしたため、美味しい料理を帰省すると振る舞ってくれる。音大出なので今もときどきピアノをたしなむ上品な母。なぜこの女性から私のような人間が育つのか不思議であるが、改めてその秘訣を聞いてみたいと思う。
「お母さんさ、そのキレイな文字は生まれつき?」
久々に再会しアホな質問をする娘に、母は意外な答えをくれた。
「綺麗じゃないし、料理も上手くないわよ。全部なんとかしたいと思って努力したし、今もなんとかなってないと思ってる」
そういうと、母は努力歴数十年の証である、ボロボロの料理本やペン習字の練習本を見せてくれた。
「ウソ…デショ!?」
美は多少お金で解決できるだろうが、教養や気品などの内面的な要素は、努力し続けることが大切なのだ! がーん。