苦手な場所はアラサーの人生を変える?!

2015.8.29 — Page 2/3

見かけ倒しの孤軍奮闘

 福島で行われたBBQは、東京・埼玉・山形と色んな方面から人が集まり、赤ちゃんも入れると総勢12名の賑やかな催し。集合したら私以外全員面識アリという、「聞いてないよ(泣)」なアウェー感に耐えながら、ひとまずいい子を演じてみる。酒に溺れて記憶と理性を飛ばしたくなる衝動を抑えながら、BBQ場へと到着。地黒にはありがたい曇り空の下、到着するやテキパキと全員が動き出す。

「持って来たテントとBBQセット、どう配置すっか〜」
「 ん?!」
「家で取れた野菜持って来たよー」
「ん?! んん?!」
「ボール持って来た」
「ん?! んんん?!?!」
「私、箸休めにピクルス漬けてきたよ」
「えーーー?!?!?!」

この会、ある人はBBQセットを、またある人は野菜や地方の名産を、そして遊び道具をと、みんな何か役割を担っていた。私の持ってきたものと言えば、温泉お楽しみセット(1名分)のみ。

「持ち物は特にないって聞いてたけど…」

 無能で自分勝手な自分に恥ずかしさを覚えながらも、30代のBBQは、こんなにも手際よく楽しむための準備がなされているものなのかと感動。ひさしぶりの野外レジャーに心底驚きながら、今できることに気持ちを切り替える。

「私、野菜洗ってきます!」
「あ、机拭きますね」
「水くんできますっ」
「ゴミ袋、こんな感じで設置しました」

実家に帰れば妹を顎で使う私だけれど、このときばかりは、かなり機敏に(ムダに)動き回った。

「場を、乱してはいけない」

 気遣い行動の本心はやっぱり自分をよく見せたいという見栄っ張りから。そんなレベルの低い女を心配したのか、主催者男性が一言、「座って食べなよ! 気を使わなくていいから…」そう優しく語りかけるではないか。気を使っていたことを悟られてしまうとは、私もまだまだ。しかし、適当に楽しむというのは、なんて難しいことか。これが夜の仕事だったら、私はこんなにも気張らないし、無理して頑張る子がいたら、同じように声をかけると思う。30歳にもなって、たかがBBQの楽しみ方も知らない自分…そんな恥ずかしさを感じながら肉をかじる。なんだか、夏の味がした。

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