【スタート!】走り出した4人の運命は? グアムインターナショナルマラソン挑戦記②

2015.5.14 — Page 2/3

42.195kmの旅が始まる!

-スタートして10Kmくらいまで、どんな感じでしたか?

斉井 スタートしてすぐは沿道の熱気もすごく、ハイタッチとかして楽しかった! でも坂がすぐあり、2㎞走っただけで、ボディービルダーのようなビショビショになった腕が暗闇で光るのを見て本当に驚きました。

遠藤 コースの最初に、いきなり大きな上り坂があるのですが、私は始めの2kmはゆっくり走りたいのでむしろ歓迎の坂でした。コーチや高橋選手にいただいたアドバイス通り、始めは足のバネを使わないようにできるだけすり足で進んでいきました。

吉田 Kmartまでですよね。もう絶対上りたくない(笑)。

これがそのKmart。お土産はここで買うのが安い!
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尾谷 スタートして1キロ地点で既にウェアがびしょびしょになるほど汗が出ました。その瞬間、これは全部の給水エリアで水を飲まないと脱水症状になると確信し、全てのエイドで給水しました。

斉井 ホント、それ。救いは給水所の多さ。全部寄りました。私も暑くてだるくて・・。だからレースペースを上げることを諦め、時計を見るのを止めました。

遠藤 気温は30℃くらいで、とにかく汗の量がすごかったです。さすが南国。「たったの2km、走り始めた直後なのにこんなに汗かくの?!」と驚き、前を走っている方をみると薄暗い中にもかかわらず、汗で体がテラテラ光っているのが見えました。

吉田 私の場合、10kmはあっという間でした。「いつサプリ飲むんだっけ」とか「今どのくらいのペースで走ってるかな」とか考えながら走ってました。

尾谷 えっ、余裕じゃん。

吉田 景色は真っ暗で何も見えなかったですが、沿道の応援が楽しそうで走っているこっちまで楽しくなってしまい・・。でも、最初の給水所で、海外のスポーツドリンクを取ってしまい、あまり飲めませんでした。

斉井 あ、あれね。甘いやつ。あれは危険(笑)。

これです。おいしいんだけど、日本人にはちょっと甘すぎかな?
これです。おいしいんだけど、日本人にはちょっと甘すぎかな?

いろんなものが出るレース。

尾谷 でも、沿道の応援。あんな朝早くに沢山集まってくれて嬉しくなかった?

斉井 うん。嬉しかったといえば、9Kmで高橋選手に声をかけてもらいました。「セッキー! 絶対声掛けるって決めてたから。このペースは3時間40分でゴールのペースだよ」と言われたのですが、すでに暑くてやばそうだったので「失速予定です」と答えてしまいました。でも本当に本当に嬉しかった!

尾谷 私自身は10キロ地点で「まだ10キロ?!」という気持ちでした。自分の中ではかなり走っているつもりなのですが、自分の疲労に反して進んでないことに焦っちゃって。真っ暗で前が見えないのもあり、とにかく足元を見るように気をつけました。前日高橋尚子さんに頂いたアドバイス「3m先を見て、なるべく顎を下げる」「苦しい時は手を振って走る」などをひとつひとつ思いだしながら走りました。

遠藤 いきなり汚い話で申し訳ないのですが、5㎞あたりでなんとなく具合が悪い? ような気がして、6㎞地点で嘔吐。朝食のスパムおにぎりが! と、少々の驚きがありましたが、おかげで具合も戻ったので走り続けることにしました。そういえば今働いている会社の就職活動のときも最終面接で小論文を書いているとき、鼻血を出したのを懐かしく思い出し、本番になると、私は色々なものを出すんだな。なんて考えて進んでいきました。

-折り返し地点までは順調でしたか?

斉井 10km地点で高橋選手に見送られ、嬉しいのもつかの間、顔が暑くて重くて、この先どうしようって考えていたときにある男性に声をかけられたの。その男性は高橋尚子さんとの対面の時に一緒にいた方で、「最後の坂を考えると僕が4時間ギリのペースだよ」と。辛かったんだけどまだ気持ちは強かったので、「着いてきます」と答えたのですが・・。

吉田 どうしたんですか?

斉井 給水で立ち止まってしまう私とは違い、走りながら給水をされる人で、すぐ差が開き、追いかけ、差が開き、追いかけとかなり必死。でも時計を見たら5分40秒/kmで、いつもより全然遅いペースなのに辛い…。18Km地点付近で彼との離脱を決意しました。4時間ギリが無理だと思い始めました。

尾谷 私は12キロ過ぎで、エネルギージェルを摂取してエネルギー補給。20キロまでは割と余裕で、自分と同じペースで走っている人を見つけ、その人の後ろにピタッとくっつく形で走りました。ゆるいアップダウンが続くのでペースが乱れないようにリズムに注意して走りました。まだまだ暗いので足元だけを見ながら、時折空を見上げてキレイな星を見ながら走りました。

吉田 15km地点では折り返してきたメンバーみんなを見つけることができ、私も頑張らなきゃと思いました。その後は暑さのせいか身体中から汗が急にでて、最初の楽しい感じと違い少し疲れを感じました。しかし、まだ序盤なので水を足にかけたりして、気を取り直して走りました。まわりの景色はまだまだ暗くて、日が昇るのはまだ先という感じでした。

遠藤 順調に走り始めたかと思いきや、数kmすると、再度具合が悪くなってきました。中盤に近づくとものすごく具合が悪く、歩こうか、いや、でも歩きたくない。とにかく具合が悪かったような気がします。ここで考えていたことは、「歩くくらいなら、倒れよう」ということでした。

尾谷 ハハハ。ちょっとカッコいい!

遠藤 でも。ずーっと自分に自信がもてないまま過ごしてきた私が、anan総研マラソン部に所属してマラソンの練習を続けて、ようやく少しずつ自分に自信を持ち始めている気がします。だからもしもここで歩いたら、また自分のこと嫌いになってしまう。絶対に歩かない。と、決めました。

吉田 えー、すごい!

遠藤 さらに進んで行って、いよいよ本当に具合が悪くなり、タイムも遅く20kmあたりのところで2時間20分という時間を見たときは、本当にくやしくて仕方がなかったです。20km地点にいるときに2時間を切っていないと、42kmを4時間で走ることは今の私ではできません。自分の中に「嬉しいとき」とか「感激したとき」しか泣かないルールを持っているはずだったのですが、このときは悔しくて悔しくて、レース中なのに泣きました。4時間切ることが目標だったのに、もうかなわない。何を目標に走ったら良いんだろう。泣くとさらにタイムが悪くなるので泣くのをやめたのですが、具合も悪いのでペースもあげられず、とにかく、苦しかった気がします。「もーホテル帰って寝たい」とか、ちらっと考えていました。

斉井 わかる、わかる。

遠藤 具合が悪くて、どうしたら進めるかなとを考えたときに、高橋尚子選手の「とにかく腕をふれば前に進むよ! それから目線は少し下!」というアドバイスを思い出し、とにかく腕を振りつつ、目線を下向きにしていたので、景色などは覚えていません。でも進みました!

だいぶ明るくなってきました。
だいぶ明るくなってきました。

-斉井さん、遠藤さんのマラソン挑戦2回組は、グアムの暑さに相当苦戦したようですが、尾谷さんと吉田さんはどうでしたか?

尾谷 折り返し地点でほっとしてスローペースに。今までぴったりくっついて走っていた人を追い越してしまったこともありペースが乱れたりしました。22キロ地点から左ふくらはぎがつっていることを感じ、完全につらないように気をつけて走るように。28キロ地点で、走るのがつらくなり始めて歩き始める。そのタイミングで吉田さんが追いついてきたので、吉田さんを追いかける形で走ったり歩いたりを繰り返しました。

吉田 20kmを過ぎてからは人がどんどん散らばっていき、自分の周りも3人くらいになってきました。応援の人がいない場所もあったけど、コース整備のスタッフさんが応援してくれたりして嬉しかったです。また英語だけじゃなく、日本語で「頑張って」とか「こんばんは」とか声をかけてくれたのも嬉しかったです。20km過ぎたのに、思った以上に走れている自分にびっくりしました。

斉井 まりみちゃん、余裕だったんだ。私は折り返し地点にTVカメラがいて、その前では元気ぶったのですが、力がわかなくなってました。そこからお腹の調子が悪かったのが再発。暑いのに寒いみたいな感じで、ペースを落としてギリギリ歩いてるように見えて走ってますくらいな7分00秒/kmくらいには落ちてしまいました。途中でドディーに抜かれましたが、ついていきたいと思ったけど、力が湧きません。ドディーにもし力が残っていたら4時間切れるかなって思い、「まかせたぞ!」みたいな思いで、揺れる髪の毛を見送りました。