花田 浩菜

【大企業のパート妻さん注意!】10月から新たに加わる「106万の壁」って何?

2016.9.9
「103万の壁」、「130万の壁」……年末前になると特に耳にすることが増えるこの言葉。 しかし、2016年10月からは新たに「106万の壁」という言葉が登場する、と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか? 特にこの話題は、夫の「扶養」に入って働いている人たちにとっては聞き逃せないものです。 今回は10月から改正が施行されることによって新しくなる、「106万の壁って何?」についてお話します。

そもそも、今までの「103万、130万の壁」って何?

【はぴマネレッスン】vol. 37

「103万の壁」、「130万の壁」と呼ばれていたもの自体、よくわからないという方のために、簡単におさらいしてみましょう!

会社勤めの夫の扶養に入り、パート等で働く女性にとって、年間収入が「103万円」、「130万円」を超えてしまうと、夫の扶養に入っていることでかからなかった妻の所得税や住民税、そして社会保険の自己負担が発生し、また夫側にも「配偶者控除」が適用されなくなることで、年間の手取り収入にも違いが出てくるようになります。

この「かからなかった金額がかかってしまうようになる、年間所得のボーダーライン」のことからいわゆる「壁」と呼ばれるようになりました。では、その年間収入を超える、超えないで、何がどう変わってくるのか、違いを見てみましょう。

まず、妻の年間所得が103万以下の場合
①妻の所得税はかからない!
②夫の年収に対し、配偶者控除が適用されるため、所得税の負担が軽減される!

年間所得が103万円を超える場合
103万の壁は「税金の壁」とも言われています。
妻に「所得税」、「住民税」がかかり、夫の年収に対しては「配偶者控除が適用されず、基礎控除の38万円」が適用不可に。(しかし、夫の年収が1000万以下の場合、「配偶者特別控除」は適用になります)

年間所得が130万円を超える場合
130万を超えると、「社会保険の壁」とも呼ばれ、夫の扶養から外れ、社会保険をパートであっても妻が自己負担をするようになります。夫の扶養から外れるため、夫の年収に対し「配偶者特別控除が適用されず」、妻が自分自身で「健康保険」、「厚生年金」もかかるように!(+住民税、所得税の負担)

しかし、130万円までは夫の扶養からは外れないことで、103万円を超えても129万円までは「所得税」、「住民税」の妻分の負担は増えるものの、かかってしまう金額を差し引いた年間の手取り額にしてみると、家庭内の手取り収入は103万よりは増える、とも言われます。

ただ、会社員の夫の扶養に入る妻の場合、130万円を超えてしまうと社会保険も自分で払うようになることから、その負担額が企業によっても異なるものの、月にして1万5000円〜2万円程度の負担増、年間にして20万〜30万程度の負担増! ということに。

そのため、130万円を少しオーバーして働くと、実質的に手取り収入が130万円を超えない場合よりも減ってしまいます。このことから「130万の壁」が特に大きな負担になってしまい、毎年11月〜12月あたりになってくると「130万円の壁を超えないように」とパートなどの勤務を調整することで収入を調整する方もいる、ということになっていました。

しかし、2016年10月より法律が改正になることによって、この「103万の壁」、「130万の壁」のほかに「106万円の壁」が新たに加わるように。今、夫の扶養内で働く方にとっては聞き逃せない話題になっています。それでは、10月以降では、今までといったい何が変わってくるのでしょうか?

10月から「106万の壁」? 今と何が変わるの?

今までのいわゆる「103万の壁」、「130万の壁」と呼ばれていましたが、新たに「106万の壁」が現われる、2016年10月から施行される法改正。

これは、「社会保険の扶養」の適用範囲が改正となり、今まで130万を超えると払うこととになっていた社会保険料が、一部の条件を満たすパート勤務の方は年間収入106万以上となると夫の扶養から外れ、自分で社会保険料を払うようになる、ということに変更となります。

つまり、「年間130万円を超える場合」の条件が、一部のパートの方は130万から106万に引き下げになってしまう、ということ。「一部の」ということには条件があり、以下の4つ全ての項目に当てはまる方が対象となります。

適用される条件とは?
1. 週20時間以上働くこと。
2. 給料が月8万8000円以上であること。
3. 501人以上の企業に勤めていること。
4. 1年以上働くことが見込まれること。

つまり、主に従業員501人以上の大企業など働いているパート勤務の方が対象になってきます。ただし、130万円の壁がなくなり106万に引き下がってしまった…!ということだけではなく、考え方によってはメリットもあります。

今まで夫の扶養内では将来もらえる年金も「国民年金」のみだったものが、社会保険料を払うこととなることによって妻自身も「厚生年金」に加入することとなります。そのため、将来的には国民年金に上乗せされた厚生年金を受け取ることもできるように。

目先の手取額で考えると、「106万」を超えて働く分には確かに負担も増えてしまいますが、将来的に長い目で考えると、悪いことだけでなく手厚い保障が受けられるようにもなるので、新たに今までの「はたらき方」を見直すいい機会となるかもしれません。

106万を超えるなら、160万以上働けばプラスに。

今まで特に「130万の壁」を気にしてセーブして働いていた方にとっては、上限が106万に引き下がるとなると悲観したくなるところかもしれません。

しかし、106万を超えて働くならば、「160万円」の収入を目指して働くことが一番良い方法、とも考えられます。160万円以上の収入となることによって、税金や社会保険料等、プラスでかかってくる負担を差し引いても家庭の合計手取り額は増えていきます。

国民年金だけではどうしても将来の年金は足りないため、今は必然的に貯金の必要性がある時代です。厚生年金に入ること、収入を増やすことは将来的に考えてもプラスに働いてきます。

もちろん、今すぐに「160万以上に!」ということは難しい場合も。個人の事情や、お子さんが小さく難しい、という方ももちろん多いはずです。そのため、会社員の夫の扶養に入って働く方であれば、早めから将来の「はたらき方」を夫婦で相談して向き合うことが大切です。

「なってから、焦って考える」のではなく、早めの今からこの機会にぜひ、働き方を見直し、話し合うきっかけにしてみてはいかがでしょうか? メリット、デメリットを考慮しながら、「家庭にとって一番良いはたらき方」を見直してみて下さいね!

以上、【はぴマネレッスン】vol .37でした。