
【生き方も注目☆】パワフル女性画家の描く心なごむ作品『メアリー・カサット展』
『メアリー・カサット展』とは?

【女子的アートナビ】vol.29
みなとみらいにある横浜美術館でスタートしたこの展覧会は、パリで活躍したアメリカ出身の女性画家、メアリー・カサット(1844~1926)の日本で35年ぶりとなる大回顧展です。油彩画やパステル画、版画の代表作が揃うほか、エドガー・ドガやベルト・モリゾなど親しい画家たちの作品なども展示。カサットの画業と人生をじっくりと楽しめます。
メアリー・カサット、どんな人?
アメリカの裕福な家に生まれたカサットは、絵を学ぶため、父親の反対を押し切ってパリに渡ります。このとき21歳。彼女が画家を目指した19世紀後半は、まだ女性が活躍するのは難しい時代で、フランスの国立美術学校も女性の入学を認めていなかったそうです。そのため、画塾で指導を受けたり美術館で模写したりしながら腕を磨き、24歳のときパリのサロンで初入選を果たします。

その後、印象派を代表する巨匠、エドガー・ドガと出会い、転機を迎えます。印象派展に参加をはじめ、さらには日本の浮世絵にも影響を受けて版画を制作。女性の日常や母子像を描いて独自の画風を確立し、パリの美術界からも認められる画家として名前を残しました。
オススメは、母子像!

本展のイチオシは、《眠たい子どもを沐浴させる母親》。ふわっとした優しい絵で、画面いっぱいに幸せな空気が満ちあふれています。カサットは「母子像の画家」ともいわれ、赤ちゃんや子どもの愛らしい姿を描くのを得意としました。彼女の絵を見ると、子どものころの記憶や母親に抱かれていた感覚を思い出す人が多いそうですよ。

また、日本初公開の傑作、《桟敷席にて》もぜひチェックしてください。この絵の中に、桟敷席から身を乗り出している男性がいるのですが、何をしていると思いますか? 彼は女性を物色しているのです! 当時の劇場は、恋の相手を探す場所だったとのこと。でも、手前にいる黒いドレスの女性は周りの目を気にせず、オペラグラスで舞台を見ています。これまで男性から「見られる」存在だった女性を、主体的に「見る」人として描いたカサット。モデルの女性は、自分の進むべき道をしっかり見つめている画家自身なのかもしれませんね。
好きな仕事で自立!
女性の社会的地位が低かった時代に、画家として自立する道を選んだカサットは、多くの試練を乗り越えアメリカを代表する女性画家になりました。その経歴だけ見ると、とても強い女性に思えますが、実際の彼女は上品で教養にあふれ、おしゃれな人だったそうですよ。

生涯独身で通しましたが、ドガとの恋のうわさもあったとか。きっとステキな女性だったのでしょうね! 会場内のところどころに彼女の言葉が記されているので、ぜひそちらもご覧ください。きっと心に響く言葉に出会えますよ♪
Information
会期:~ 9月11日(日)※休館日は木曜日(ただし、8月11日は開館)
時間:10:00 ~ 18:00(ただし、9月2日は20:30まで開館) ※入館は閉館の30分前まで
会場:横浜美術館
料金:一般 1,600円/大学生・高校生 1,100円/中学生 600円/小学生以下無料