【新作公開記念!】“女子のためのマーベルの楽しみ方” を学べる特別講座!
マーベル初心者のための特別講座を開講!
【映画、ときどき私】 vol.34
講師をお迎えする前に、まずはマーベルについて簡単に予習をしておきたいと思います。映画の原作となっているマーベル・コミックスは、1939年に設立された歴史あるアメコミ出版社で、DCコミックス(こちらは『スーパーマン』や『バットマン』が有名)と並ぶ二大アメコミ出版社のひとつ。
世界中に多くのファンがいるマーベルですが、普段あまりマンガを読まない女子にとっては、正直言ってわからないことばかり……。そこで、今回はマーベルを知り尽くしたある人物に、“女子のためのマーベルの楽しみ方” について、教えて頂こうと思います。
今回の講師とは、マーベル社の副社長を務めるC.B.セブルスキー氏!
仕事とプライベートあわせて、年に5~6回は来日しているという大の親日家でもあるC.B.さんは(ご本人の希望により、以下C.B.さん)、アメリカで大学を卒業後、日本の大学に留学し、なんと4年にわたってアニメやマンガを研究していたという経歴の持ち主。その後、英語教師などを経て、2002年にマーベルへ入社し、現在は新たな才能の発掘やマーベルの市場拡大のために、世界各国を飛び回っているそうです。
それでは、早速C.B.さんにマーベルの基礎知識から裏側まで、質問していきたいと思います!
疑問その1:マーベルは男性向けコミックスのイメージですが、実際の読者層は?
C.B.さん 読者の年齢層はものすごく幅広いので、コアターゲットは特になく、「ゆりかごから墓場まで」と私たちは冗談で言っているくらいです。(笑)なので、「一度飛びついたら、死ぬまでマーベルファン」という人が多いですね。ただ、最近の映画シリーズのヒットやゲームの展開によって、だんだん若年層に移ってきている傾向はあります。
男女比については、この5年間で劇的に変わりました。5年前は女性が15%で男性が85%でしたが、最近は40~45%と55~60%というように半々くらいになってきているんです。
要因としては、まずは映画がありますが、デジタルコミックが普及したことも大きいですね。それまで、女性はコミックブックを書店で買いに行くということに気が引けていたようですが、デジタルコミックになったことで、気軽にダウンロードして読めるようになったことが挙げられます。
C.B.さん あと、実は10年前にアメリカで日本の少女マンガブームがあったので、それで女性たちもコミックを読むことに目覚めたということもあるんですよ。
なんと、日本の少女マンガがアメリカで女性読者を増やすきっかけになったとは驚きですが、徐々にマーベルの女性ファンも増えているようですね。では、さらに女子が楽しむために必要な要素を聞いていきたいと思います。
疑問その2:女性向けのキャラクターはいるんですか?
C.B.さん マーベル・コミックスが立ち上がった当初は、白人男性が白人男性を主人公にしたマンガを書いていたので、女性のキャラクターが出てきたとしても、“お飾り的な存在” でした。ただ、マーベルのモットーとしては、「常に現実社会を反映させよう!」ということがあり、時代の流れとともに女性の社会における立ち位置も変化してきたので、より強くて自立した女性のキャラクターがどんどん登場するようになりました。
社内的なこともいうと、現在はマーベル・コミックスの編集者の約半数は女性ですし、クリエイターも2割ほどが女性だったりするので、そういう意味でも「女性の視点から女性に向けたコミックスを作っていこう」という姿勢が出てきています。
C.B.さん ひと昔前は、超セクシーなピタピタのボディスーツを着ているステレオタイプの女性がイメージでしたが、女性スタッフが関わるようになってから、実際の女性のファッションセンスを取り入れてリアルに描かれるようになりました。
なかでも、女性の観客にオススメしたいのは、2018年に公開される『キャプテン・マーベル』。女性が主人公の作品で、今後大注目です! そのほかには、ナターシャ・ロマノフことブラック・ウィドウが挙げられます。もともとは、ミステリアスなロシアの女スパイで、ステレオタイプのような感じでしたが、作品ごとに進化を遂げて、より複雑な感情や葛藤を抱えることで、楽しめる欲深いキャラクターになってきたと思いますよ。あとは、新作にも登場するスカーレット・ウィッチというキャラクターがいますが、日本は魔法使いとか魔術が好きな人が多いので、そういう意味では彼女のパワーは楽しめると思います。
現在、マーベルには8000を超えるキャラクターがいるそうですが、女性キャラクターもどんどん増えているということで、ますます女子には親しみやすくなりそうですね。ただ、あまりにも多くのコミックスや映画があり、初心者はどこから始めればいいかわからないので、お伺いしたいと思います。
疑問その3:映画とコミックスはどちらを先にするのがいいの?オススメの楽しみ方は?
C.B.さん 北米や南米、ヨーロッパでは、「マーベルといえばコミックス」というイメージがあるので、だいたいの人はコミックスから入るのですが、日本をはじめとしたアジア諸国は、映画から入る人が多いんです。
なので、映画からさかのぼってコミックスやゲームを楽しんだり、アニメを見たりという形でどんどん広がっていくので、私からするとうらやましいくらいですね。というのも、私たちコミックスの人間にとっては、映画が最終地点なんですよ。つまり、積み重ねていったものが最終的に映画になった時点で終わりなんですが、逆に日本のファンたちはざくざく掘って楽しみを見つけられるので、可能性があっていいなと思います。
ということで、日本人の私たちは、より多くの楽しみ方ができるようなので、自分の興味のある分野からまずは初めてみるのがよさそうです。
そこで、【実践編】として新作『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』を鑑賞!
その前に、もちろんC.B.さんに本作の見どころについても伺っています。
C.B.さん 確かに目を見張るようなビジュアルやアクションは、“ザ・ヒーローもの” という大作感はありますし、見どころのひとつでもありますが、何よりもフォーカスを当てているのは、あくまでも人間性なんです。
特に今回は、普通の人間がヒーローとして生きることの意味をものすごく掘り下げている映画でもあります。それぞれのヒーローの感情や葛藤、お互いの関係性とか、誰もが共感できるテーマが奥深く描かれているので、そういう部分を楽しく観て欲しいです。
C.B.さんから聞いていた通り、最初から最後まで、「これぞマーベルの醍醐味」というようなアクションシーンの迫力はとにかく圧倒的! しかし、その反面では、それぞれが抱える心の傷や葛藤には、完全無敵のヒーローたちというよりも、人間臭ささえ感じてしまうほど。そういった人の内面が描かれているので、たとえ過去のマーベル作品を観ていなくても十分に楽しめる映画となっているのです。
また、今回はさまざまな有名キャラクターが勢揃いした “夢のオールスター作品” でもあるので、この映画をきっかけに気になるキャラクターがいれば、そこから徐々にマーベルに入っていくのも楽しみ方のひとつだと思います。
特別講座を終えてみて……。
とてもおおらかで優しい雰囲気のC.B.さんですが、やはりマーベルのことになると、熱い想いがひしひしと伝わってきて、「私もマーベルのことをもっと知りたい!」と感じているところです。
これだけ多くの人を魅了してやまないマーベルの秘密は、世界中のファンによりよい作品を届けるべく、日々努力をしているC.B.さんのような裏方の人たちが “陰のヒーロー” となって支えているからかもしれません。あなたも、マーベルの奥深い世界へ一歩踏み出してみませんか?
以上、女子のためのマーベル初心者特別講座でした!
作品情報
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』
4月29日(金)全国ロードショー
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
(C)2016 Marvel.