「三吉彩花さんはアジアでも条件が揃っているまれな女優」韓国の気鋭監督が絶賛する理由
三吉彩花さん & チャン監督
【映画、ときどき私】 vol. 616
主演に抜擢されたのは、モデルや俳優として幅広く活躍し、中国圏でも高い人気を誇る三吉さん。劇中では、謎の犯罪組織にさらわれた妹を救うために命懸けで戦うボクサーの蘭を演じています。
本作でタッグを組んだのは、心温まる感動作からアクションまで幅広く手掛け、韓国でも注目のチャン監督です。今回は、日本とは異なる現場の様子や過酷なトレーニング内容、夢を実現するための秘訣などについて語っていただきました。
―チャン監督といえば、これまでにジャッキー・チェンさんがプロデュースしたアクション映画の監督を務めたこともありますが、そんな監督から見た三吉さんのアクションが持つ魅力について教えてください。
チャン監督 まず、三吉さんはアクションに向いている体格を持っていらっしゃる方だと思いました。こういったフィジカル的な条件を満たしている女優さんというのは、アジアのなかでも非常にまれなこと。今後の日本映画界にとって、三吉さんは素晴らしい資産になるだろうと感じたほどです。
それと、演技力が安定しているというのも大きいですね。というのも、演技力がない俳優というのは、そもそもアクションには向いていませんから。今回の映画では、そういった三吉さんの魅力を存分に感じることができる内容になっていると思います。
基礎トレーニングを毎日継続する難しさを知った
―劇中で披露されている三吉さんの肉体美を見るだけで、過酷なトレーニングをされていたことが伝わってきましたが、クランクインの半年ほど前からかなりハードなメニューをこなされていたとか。
三吉さん 普段、体型維持という意味での運動は定期的にしていますが、合宿のようにあそこまでハードに練習したのは初めてのこと。特に、アクションの立ち回りやボクシングのための基礎的なトレーニングをする時間がすごく長かったんですが、それを毎日継続するのがいかに難しいのかを知りました。
でも、現場で新しい動きが出てきても、焦ることなく落ち着いて取り組めたのは、きちんと基礎ができていたからこそ。続けることは本当に大変ではありましたが、それがなければ今回のアクションは成立していなかったので、とても勉強になりました。
―そのなかでも、きつかったトレーニングはどんなメニューでしたか?
三吉さん それは、毎日していたでんぐり返しですね。前や後ろだけでなく横とかいろんな方向からしていましたし、逆立ちしてから転がってもいたので、とにかくつらかったです…。だって、学校を卒業してから、でんぐり返しをすることなんてありませんでしたから! トレーニングが終わったあとは、足元が小鹿みたいになっていたほどです(笑)。
日本の俳優さんたちのスタンスには感動を覚えた
―すごいですね。また、本作には三吉さんのほかにもさまざまなキャストが出演していますが、日本の俳優陣に対してはどのような印象を持たれましたか?
チャン監督 日本の俳優さんは事前の準備が非常に徹底していますし、自分の役に対して真摯に向き合っているので、のめり込むようなスタンスがあるように感じました。もちろん、ほかの国の俳優さんたちにもそういう面はありますが、日本の俳優さんには独特なアプローチ方法があるように見えて感動を覚えたほどです。うまく言葉で説明できないのですが、僕の目にはそれが新鮮でポジティブに映りましたし、自分にとっても大きな原動力となりました。
―三吉さんは韓国人クリエイターの方々とお仕事をされてみて、いかがでしたか?
三吉さん 私はもともと韓国の音楽や文化にすごく興味があって、旅行や仕事でよく韓国に行っているので、このコラボレーションが実現したことは私にとっても意味のあることでした。日本と韓国のクリエイティブチームが意見を交わしたからこそ、より良いものを作り上けることができたと感じています。
韓国スタッフの方々に救われた部分もたくさんありましたし、いままで経験したことのない作り方やコミュニケーションの取り方も学べたので、得るものがたくさんありました。
勉強していた韓国語を現場で生かすことができた
―三吉さんは韓国語がかなりおわかりになるようですが、この現場で習得したのでしょうか。
三吉さん 韓国語に関しては、実はずっと前から勉強していました。現場で細かいニュアンスについて話し合うときは通訳さんに入っていただくこともありましたが、みんなでご飯を食べるときなど、日常会話は直接話すことができたので生かせてよかったです。
―ちなみに、韓国にはいつ頃から興味を持っていたのですか?
三吉さん 13歳くらいのときに韓国の音楽を好きになったのが最初で、そこから文化やファッションにも興味を持つようになったのがきっかけです。普段、家で韓国のドラマやバラエティーを観ているのですが、いつか自分も仕事として関わってみたいなという気持ちは強くなっています。
みんなで一緒に食事ができる機会が多くて楽しかった
―撮影中やオフのときなどで、思い出に残っていることはありますか?
チャン監督 三吉さんが「スンデ」という豚のホルモンを詰めて蒸した韓国料理が大好きでよく食べていたのを覚えています(笑)。今回は、みんなで一緒に食事をする機会がたくさんあって、本当に楽しかったです!
三吉さん そうですね。私が韓国ですごくいい文化だなと思っているのは、休憩時間を一斉に取って温かいご飯をみんなで一緒に食べること。撮影が終わってからも、みんなで食事に行ったほどです。韓国の方は乾杯の回数がすごく多いですが、そのおかげでチームワークもどんどん良くなった気がします(笑)。
自分がしたいと思っていることは、なるべく周りに話す
―素敵な習慣ですね。以前、三吉さんに取材をさせていただいた際、「最終的にはハリウッドを目指しているが、まずはアジアで活躍できるようになりたい」とおっしゃっていましたが、まさに有言実行ですごいなと。夢を実現するうえで必要なことやご自身が実践していることがあれば、教えてください。
三吉さん 私は言霊を信じるタイプなので、自分がしたいと思ったことをなるべく周りの人に話すようにしています。というのも、「本当は何を考えているのか」とか「どういうことをしたいと思っているのか」といったことはなかなか見えにくい部分でもありますから。興味を持っていることを話しているうちに、少しずつそれに近づける機会をいただけるようになっていくんだなと実感しているところです。
あと、私自身は「知らないところに飛び込んで冒険をしたい」という好奇心が強いので、機会があればまずは1回挑戦するようにしています。そのうえで意識しているのは、“なりたい自分”がブレないようにすることです。
大事なのは、ふたたび這い上がって一歩を踏み出すこと
―それでは最後に、ananweb読者にメッセージをお願いします。
チャン監督 僕たちが作った『ナックルガール』は、若者たちの無鉄砲さを描いた作品でもあるので、一種の青春モノとして観ていただければと思っています。人は年を取るとすべてのことに対して慎重になってしまい、何事にも果敢に挑むことができなくなってしまうものですが、そういうときこそ計算せずに前に突破してもらえたらなと。
日本でも韓国でも、いまの若い人たちにはそういったチャレンジ精神が足りなくなっているように感じています。でも、若い時期というのは2度と来ないので、みなさんにも青春を存分に楽しんでもらいたいです。
三吉さん いろんな悩みを抱えるなかで、前に進む気力も元気もなくなってしまうときってありますよね。そういうときは立ち止まっても、ひたすら落ち込んでもいいと思います。でも、そのあとに大事なのはふたたび這い上がって一歩を踏み出すこと。人によってスピード感も経験してきたものも違いますが、20代や30代はまだまだ可能性も無限大ですから。自分の芯みたいなものを忘れなければ、絶対に大丈夫です。
表に感情を出すのが苦手な方でも、闘争心や悔しさを内に秘めていて爆発させたいという気持ちはあると思います。ただ、それがうまく出せないのであれば、この作品がみなさんを駆り立てて、背中を押してくれるはずです。正直に言うと、撮影中は戦ってばかりいたので、そんなことを考える余裕はありませんでした(笑)。でも、完成した作品を観たときにそういうことをすごく感じたので、ぜひみなさんにもそのメッセージは受け取ってほしいです。
インタビューを終えてみて…。
圧倒的な美しさを見せる三吉さんとお茶目で明るいチャン監督。終始和気あいあいとした雰囲気のおふたりからは、言葉や文化の違いを超えていい関係性が出来上がっているのが伝わってきました。ぜひ、おふたりが作品に込めた思いも感じてください。
戦闘モード全開で、新たな自分が覚醒する!
次々と繰り広げられる衝撃的なアクションと、スピード感のあるストーリー展開から目が離せなくなる本作。アドレナリン全開で突き進む主人公の生き様は、観る者の気持ちを高ぶらせ、閉じ込めていた思いも解放させてくれるはずです。
写真・園山友基(三吉彩花、チャン監督) 取材、文・志村昌美
ストーリー
ボクサーとして高みを目指していた橘蘭のもとに、ある日突然、大切な妹が失踪して自殺したという知らせが警察から届く。しかし、警察の検視結果を信じることができない蘭は、独自の調査を開始。そして、巨大な犯罪組織と「ガレージ」と呼ばれるルール無用のコロッセオが事件に関係していることを突き止める。
人を死に至らしめるほどの暴力が横行する犯罪組織に、「何が何でも絶対闘う」と決意した蘭。大切なグローブの代わりにナックルをはめた蘭は、元恋人と頭脳明晰な天才ハッカーの協力を得ながら、妹を救うべく命をかけた闘いに挑んでゆくことに…。
興奮に包まれる予告編はこちら!
作品情報
『ナックルガール』
Prime Videoにて世界独占配信中
https://www.amazon.co.jp/dp/B0CGKG97XJ
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