
映画、ときどき私 Vol.15 “新感覚” ラブストーリー『COMET/コメット』で語りたくなる恋愛論!
新感覚で難解なラブストーリーとして話題の『COMET/コメット』

彗星の降る美しい夜、デルはキンバリーに一目惚れし、運命の出逢いをするふたり。
愛を信じないデルと、信じるキンバリーの奇跡的とも言える恋のはじまりは、6年間にわたるふたりの激しくも儚い恋のそれでもあった。

初めて出逢ったL.A.の公園やパリのホテル、そして再会を果たす列車など、別れと再会を繰り返し、めまぐるしく変化するふたりの状況。
いつしか、記憶の断片が、現実世界とパラレルワールドとの境界線を越えてしまっていた。

そして、2つの太陽が昇る朝、再び出逢ったふたり。しかし、キンバリーのある告白にデルは大きな衝撃を受けてしまうのだった。
ふたりが迎える運命の結末とは……。はたして、デルとキンバリーが結ばれる時空は存在するのか?
コメット(COMET)の意味は、彗星!

彗星とは、周期的に太陽の周りを楕円状にまわりながら、太陽に近づいたときにだけ光って見える小天体のこと。
流れ星とよく混同されてしまうようですが、実は流れ星は、彗星が残していった塵が大気中で発光する現象であり、彗星と違って跡形もなく消えてしまうそう。

そんな彗星のように、瞬間ごとに違う輝きを見せるデルとキンバリーの恋愛。
お互いの気持ちがすれ違っているときは “ただの流れ星” であって、ふたりの思いやタイミングが重なったときに生まれるもの、それこそが “運命の彗星” なのです。
恋愛は楽しいことだけではないけれど、愛のない人生はきっと、星のない真っ暗な夜空にいるのと同じこと。
だからこそ、人はそこに現れる彗星に期待し、惹かれてしまうのかも。
別の世界で結ばれることは幸せ?

「パラレルワールドでは結ばれているはず」と言うデルのように、「きっと、次の人生で……」と言われたこともあるけれど、そのとき最初に私の心に浮かんだのは「いまの人生じゃなきゃ意味がない」。
次の人生に現在の記憶があれば、喜んでその機会を待てるけど、「 “次の私” も前世のことまでは責任取れないはず」なんて現実的なことをつい思ってしまいます。
男性の方が女性よりも意外とロマンチックなのか、それともそう思うことが男性にとってせめてもの救いなのか、その答えはいまだ闇のなかです……。

とにかく、観た人の経験や考え方、時期などによっても感じ方がまったく違ってしまうこの作品。
考えれば考えるほど深みにはまってしまうのが魅力であり、楽しみ方でもあります。
私にとって、デルとキンバリーそれぞれの思いには身に覚えがあることも多く、正直言って、終始心の中がチクチクヒリヒリ。
そして、改めて感じたこと、それは……。
恋愛における3つの “ing” はやっぱり重要!

恋愛においては、「タイミング(Timing)・フィーリング(Feeling)・ハプニング(Happening)」という3つの“ing”が大切だと言われています。
どれも重要ではあるけれど、なかでもタイミングがいかに大きくふたりの運命を左右するかを強く実感。
時空を越えて映し出されるふたりの恋愛に描かれているのは、さまざまなターニングポイント。
それを見ていると、自分たちではどうすることもできないタイミングこそ、まるで突然降り注ぐ彗星のように、運命に任せるしかないのかもしれません。
改めて考える “恋愛において大事にしたいこと” とは?

必ずしもすべての恋愛がうまくわけではないし、恋愛中に失敗することもたくさんあります。
それでも、観終わった直後に私の中に駆け巡ったのは、「たとえ後悔することがあっても、悔いだけは残したくない」という思い。
類まれな映像美が目の前に広がり、まるでプラネタリウムのなかで映画を観ているかのような幻想的な空間のなかに引き込まれる本作。
そのなかで、いまのあなたがこの映画をどう感じるかは、ぜひ劇場で確かめてみて!
あなたの “恋の彗星” は、あなたの人生を輝かせてくれていますか?
作品情報
『COMET/コメット』
公開表記:12月12日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー
配給:キュリオスコープ
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