田代 わこ

日本を愛したディオール! チケット完売続出の「激レア展覧会」超人気のワケ

2023.3.19
東京都現代美術館で、『クリスチャン・ディオール、 夢のクチュリエ』が開かれています。フランスを代表するデザイナーのひとり、クリスチャン・ディオール(1905-1957)。日本を愛したデザイナーが手がけたドレスやスケッチなど、魅力的な作品と展示風景をご紹介します!

ディオールと日本の絆が伝わる!

『クリスチャン・ディオール、 夢のクチュリエ』展示風景(筆者撮影)

【女子的アートナビ】vol. 285

『クリスチャン・ディオール、 夢のクチュリエ』は、パリ、ロンドン、中国、ニューヨークなどで人気を博した世界巡回展。70年以上にわたるディオールの軌跡が、約1,100点以上もの作品とともに紹介されています。

本展は、日本のために再考案されたもので、建築家の重松象平氏が会場をデザイン。キュレーションは、フロランス・ミュラー氏が手がけ、ディオールが影響を受けた芸術や、日本文化の魅力、庭園に対する愛などにもスポットがあてられています。

さらに、東京都現代美術館が所蔵するアート作品や、日本人写真家・高木由利子氏の魅力的な写真作品もあわせて展示。ディオールと日本がコラボした夢のような空間になっています。

子どものころから日本文化に憧れて…

『クリスチャン・ディオール、 夢のクチュリエ』展示風景(筆者撮影)

ディオールは、フランス・ノルマンディー地方の裕福な家庭で誕生。両親が日本美術を愛好していたことから、家の中には北斎や歌麿などの絵が飾られ、子どものころから日本文化に憧れながら成長しました。

芸術を愛する青年となったディオールは、2つのアートギャラリーを経営。ピカソやマティス、ダリ、ジャコメッティなどさまざまな芸術家たちの作品を展示していました。

しかし、1929年からはじまった世界恐慌の影響を受けてディオールの実家が破産。また、彼自身も苦境に陥り、ギャラリーも閉鎖しました。

その後、生活のために描いていたドレスのデザインが評判となり、デザイナーとしてデビュー。1946年に、パリのモンテーニュ通り30番地にメゾン「クリスチャン・ディオール」を創業しました。

本展の会場を入ってすぐ、最初に見ることができる作品が、ムッシュ ディオールのデビュー作となった“Bar(バー)”ジャケットです。

美智子さまのウエディングドレスも制作!

『クリスチャン・ディオール、 夢のクチュリエ』展示風景(筆者撮影)

クリスチャン・ディオールは、日本で最初に進出した西洋のファッションブランドで、1953年には帝国ホテルでファッションショーを開催。そのとき発表された5着が、会場に展示されています。

ドレスにつけられた名前にも、ぜひ注目してみてください。「サツマ-サン」や「コージ-サン」など日本を連想するような名前も見つけられます。

また、「羅生門」と名づけられたコートには、京都の龍村美術織物の生地が用いられ、ディオールと日本の深い絆を感じることができます。

ディオールは、1957年に心臓発作で急逝。まだ52歳という若さでした。しかし、その後もメゾンのクリエイティブ ディレクターたちは、引き続き日本の芸術や文化に関心を持ち続けました。

1959年には、当時の明仁親王殿下(現・上皇陛下)と正田美智子さま(現・上皇后陛下)の結婚式用ドレス3着をメゾン・ディオールが制作。生前のディオールがデザインしたドレスを、弟子であるイヴ・サンローランが完成させました。

会場デザインや写真にも注目!

『クリスチャン・ディオール、 夢のクチュリエ』展示風景(筆者撮影)

また、本展では各展示室の空間演出や、写真やアートとのコラボも見どころのひとつ。

例えば、歴代デザイナーのドレスが展示されている部屋の壁には、高木由利子氏の写真が一面にかかっています。

ファッションの仕事に携わったあと写真家になった高木氏は、本展のためにディオールのドレスを撮影。園芸を愛したディオールに敬意を表し、花を手にしたモデルの姿なども見ることができます。

『クリスチャン・ディオール、 夢のクチュリエ』展示風景(筆者撮影)
(右)牧野虎雄《朝顔》1945年頃 東京都現代美術館蔵、(左)牧野虎雄《鹿の子百合》1925年頃 東京都現代美術館蔵

また、「ミス ディオールの庭」と題された展示室は、日本庭園をイメージした空間で、花や植物がデザインされたドレスが並んでいます。東京都現代美術館が所蔵する作品も一緒に展示され、ドレスとアートのコラボも大変美しいです。

『クリスチャン・ディオール、 夢のクチュリエ』展示風景(筆者撮影)
(左奥3点)アンディ・ウォーホール《マリリン・モンロー》1967年 東京都現代美術館蔵

ちなみに、本展は撮影OK。どの展示室もため息が出るほど美しい雰囲気で、間違いなく映える写真が撮れます。

ただ、大変人気のある展覧会のため、4月までの日時指定チケットはすべて完売。当日券も、販売枚数に制限があります。

5月以降のチケットについては、4月上旬に美術館の公式サイトでアナウンスされますので、観覧ご希望の方はそちらをご確認ください。

会期は5月28日まで。

Information

『クリスチャン・ディオール、 夢のクチュリエ』ポスター(筆者撮影)

会期    :~5月28日(日) 月曜休館
会場    :東京都現代美術館
開場時間  :10:00-18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
観覧料   :一般 ¥2,000、大学・専門学校生・65歳以上 ¥1,300、中高生以下無料

公式HP: https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/Christian_Dior/