田代 わこ

世界で唯一現存する「美しい椅子」も登場! 北欧デザインを体感できる至福の展覧会

2023.3.12
日本橋髙島屋S.C.の本館8階ホールで、北欧家具やインテリア、食器などを集めた展覧会『ていねいに美しく暮らす 北欧デザイン展』が開かれています。会場では、北欧の部屋をリアルに再現した美しい展示空間も登場。プレス内覧会と開会式を取材してきましたので、レポートします!

北欧デザイン300点以上が集結!

『ていねいに美しく暮らす 北欧デザイン展』展示風景

【女子的アートナビ】vol. 283

日本橋髙島屋開店90年記念『ていねいに美しく暮らす 北欧デザイン展』では、椅子研究家の織田憲嗣さんが長年かけて収集・研究してきた、世界的にもかなり貴重な「織田コレクション」が集結。

北欧デザインの椅子やテーブルなどの家具から、照明やインテリアアクセサリー、さらに食器などの日用品まで、総勢70名以上のデザイナーによる300点以上の作品が紹介されています。

洗練された作品だけでなく、展示空間も見どころのひとつ。北欧の建材メーカーによる窓枠や床材を使い、リアルなリビングルームやダイニングルームが再現されています。照明も北欧のもので演出され、現行商品の名作椅子には座ることもできます。

美が人生を豊かに…!

『ていねいに美しく暮らす 北欧デザイン展』

日本だけでなく、世界でも北欧デザインは人気があります。なぜ、これほど魅力を感じるのでしょう?

北欧家具やインテリアなどの有機的で美しいデザインには、日常の暮らしや思想が強く影響しているそうです。

開会式に登壇された織田さんは、北欧デザインができた背景について、次のように語りました。

織田さん 北欧では、19世紀末にスウェーデンの社会思想家、エレン・ケイが「美が人生を豊かにする」という思想をとなえ、さらに美術史家のグレゴール・パウルソンが、「暮らしの中にもっと美しいものを取り入れていこう」と提唱し、今日の高い生活文化が築かれていきました。

現在、日本はジェンダーや環境などさまざまな問題を抱えています。北欧では、1960年代からそれらの問題に取り組み、解決してきた実績があります。モノだけをご覧になるのではなく、美しいモノたちが生まれてきた背景や歴史にも思いをはせていただければうれしいです。

人生の節目に椅子を買う!

『ていねいに美しく暮らす 北欧デザイン展』

では、会場の見どころをいくつかご紹介していきます。

まず、第1章「椅子と生きる」では、北欧各国の名作椅子を展示。北欧の人たちは、長い人生をともにする椅子の存在をとても大切にし、美しいフォルムだけでなく、座り心地も徹底的に追求しています。

また、初任給をもらったときや結婚したときなど人生の節目に椅子を買うこともあるそうです。椅子が人生のパートナーって、ステキですね。

『ていねいに美しく暮らす 北欧デザイン展』

第2章「デザインの源泉」では、北欧を代表するデザイナー10名による多くの作品を展示。

イッタラのデザイナーとして知られるフィンランドの巨匠、タピオ・ヴィルカラのガラス作品をはじめ、アルヴァ・アアルトやカイ・フランク、デンマークのフィン・ユールなどの作品とともに、デザイナーについても紹介されています。

織田さんは、「北欧デザイナーの多くは、自然界からインスピレーションを受けてデザインに生かしている」と解説。例えば、タピオのガラス作品《ウルティマ ツーレ》は、最北のラップランドでのとけゆく氷をイメージしたデザインになっています。

世界で唯一現存する椅子!

『ていねいに美しく暮らす 北欧デザイン展』

また、第3章「心の居場所」では、北欧建材でつくられた部屋に家具や食器などを展示。照明も、北欧の光の変化を考えて演出されています。

本展で展示されているダイニングセットは、ふだん織田さんが自宅で使っているものを運んできたそうです。「良いモノほど、よく使うべき」と語る織田さんは、現在北海道の森の中にある自宅で、美しいデザイン家具や日用品に囲まれて過ごされています。

また、リビングルームに展示されているベント・ヴィンゲ《イージーチェア》は、スツールとセットになったもので、世界で唯一現存する貴重な作品。

本展には、ほかにも「世界に2点しかない」ハンス J・ウェグナーの《ザ・チェア プロトタイプ》や、アルヴァ・アアルトの最初期モデルなど希少な作品があり、近代デザイン史に残る学術的にも重要な名作を見ることができます。

織田さんが語った「美しい暮らしは人を幸せにする」という言葉を、まさに実感・体感できる展覧会です。ぜひ、現地でご覧になってみてください。

本展はこの後、ジェイアール名古屋タカシマヤと大阪髙島屋に巡回予定です。

Information

会期    :~3月21日(火・祝)
会場    :日本橋髙島屋S.C. 本館8階ホール
入場時間  :午前10時30分〜午後7時(午後7時30分閉場) ※最終日3月21日(火・祝)は午後5時30分まで(午後6時閉場)
観覧料   :一般 ¥1,000、大学・高校生 ¥800、中学生以下無料

公式HP: https://www.takashimaya.co.jp/store/special/hokuou/index.html