
家一軒買えるほど! 財閥の女性たちに愛された「超高級おひなさま」全貌公開
眼福の「おひなさま」が集結!

『三井家のおひなさま』展示風景
【女子的アートナビ】vol. 280
本展では、三井家の4人の女性たちが所有していた豪華な「おひなさま」を一堂に展示。三井家の注文によってつくられた人形類をはじめ、嫁入り道具として実家から持参した由緒ある品々なども楽しむことができる眼福の展覧会です。
「ひなまつり」が女性のおまつりとして盛んに行われるようになったのは、江戸時代初期。京都御所や幕府の大奥で開かれるようになり、次第に民間にも広がっていきました。18世紀になると、ひなまつりには人形だけでなく道具や調度品なども飾られるようになり、人形などを売る雛市も登場。どんどん豪華なものになっていきました。
江戸時代から豪商として発展し、日本最大の財閥だった三井家の女性たちに愛された「おひなさま」は格別に豪華。本展では、江戸時代初期から昭和初期までの多彩な「おひなさま」を堪能できます。
超高級な銀製ひな道具!

『三井家のおひなさま』展示風景
では、いくつか見どころをご紹介します。
まずは、段飾りで展示されている《銀製ひな道具》。旧富山藩主前田家から三井家に嫁がれた三井苞子(もとこ)氏の旧蔵品です。
ひな道具とは、おひなさまが生活するのに必要な化粧道具や茶道具、文房具などの道具一式のことで、婚礼調度のミニチュア版です。かわいいのはもちろん、近くで見ると線刻で細かな文様が入っていて、ひとつひとつがとても優美に仕上げられています。
このような銀製のひな道具は大変高額で、ほかに所有しているのは徳川宗家や公家の近衛家、大名の鍋島家など錚々たる名家ばかり。そんな貴重な品を間近で見られるなんて、ありがたいことです。
初期のおひなさまは…

『三井家のおひなさま』展示風景
続いての見どころは、《立雛》です。
本作品について、三井記念美術館の学芸員、小林祐子さんは次のように解説しています。
小林さん 最初期のおひなさまは、立った姿で着物は紙や布でつくられた素朴な姿でした。雄雛のほうは、神社のおはらいのときに使われる形代(かたしろ)に似ています。本作品は江戸時代後期のもので、衣装に描かれているモチーフにも意味があります。松は男性、藤は女性、その下に描かれているナデシコは子どもを象徴し、子孫繫栄の願いが込められています。
家一軒買える「超高額」おひなさま!

『三井家のおひなさま』展示風景
本展でもっとも目を引くのは、幅3メートルもある豪華なひな段飾りです。こちらは、北三井家(十一代)の長女、浅野久子氏の寄贈品。
昭和8年、北三井家の一人娘として生まれた久子氏の初節句用のために、京都の老舗である丸平大木人形店・五世大木平藏(1885–1941)に注文してつくられたものです。当時の金額で家が一軒買えるほどのお値段だったそうで、さすが名門の三井家。ひな道具には、三井家の家紋が蒔絵で表され、細部にわたるまで豪華なつくりになっています。
ほかにも、さまざまな人形や道具類がありますが、どれも当代一流の名職人がつくったものばかり。ひとつひとつ手が込んだ精巧なもので、見ていて飽きません。
眼福のおひなさまを愛でられる展覧会は4月2日まで開催中。ぜひ本物をご覧になってみてください!
Information

会期 :~4月2日(日)
休館日 :月曜日、2/26(日)
会場 :三井記念美術館
開場時間 :10:00〜17:00(入館は16:30まで)
観覧料 :一般¥1,000、大学・高校生¥500、中学生以下無料