田代 わこ

絶対行きたい! おしゃれすぎる「アートな椅子」に座れちゃう、北欧家具の展覧会

2022.8.26
上野の東京都美術館で、企画展『フィン・ユールとデンマークの椅子』が開催中です。本展では、デザイン大国として知られる北欧デンマークのデザイナー、フィン・ユール(1912-89)の作品を中心に、モダンでおしゃれなデンマーク家具を展示。見どころや展示風景とあわせて、アートな椅子に座れる体験コーナーもご紹介します!

どんな展覧会?

『フィン・ユールとデンマークの椅子』展示風景

【女子的アートナビ】vol. 256

『フィン・ユールとデンマークの椅子』では、「彫刻のような椅子」とも評されるアートな椅子をデザインしたフィン・ユールの作品を中心に、デンマーク家具デザインの歴史やデザインが生み出された背景などを紹介。

展示されている作品の多くは、椅子研究者の織田憲嗣氏が研究資料として集めてきた20世紀家具コレクションです。

会場の東京都美術館は、数年前にできた休憩スペースにフィン・ユールなどがデザインした家具をとり入れ、「北欧家具に触れられる美術館」としても注目されている場所。本展のように見るだけでなく、最後に座れる体験ができるのも、この美術館ならではの企画です。

おしゃれな椅子がずらり…!

『フィン・ユールとデンマークの椅子』展示風景

本展の内容は、3章で構成されています。第1章は、「デンマークの椅子――そのデザインがはぐくまれた背景」。

世界幸福度ランキングで毎回上位に入っているデンマークの人々は、「心地よさ」を大切にしたライフスタイルを実践。居心地のよい空間や楽しい時間を意味するデンマーク語の「ヒュッゲ」という言葉も、日本で知られるようになってきています。

生活の質を大事にしているデンマークでは、日常で使う家具にも心地よさを求め、人々が使って幸せになれるようなデザインを追求。会場には、見るからに座り心地のよさそうな椅子が展示されています。

『フィン・ユールとデンマークの椅子』展示風景

第1章で特に圧巻なのは、独創的な椅子がずらりと並んだコーナー。デンマークでは、1940年から60年代にかけて優れたデザイナーたちが活躍し、「モダン家具の黄金期」と呼ばれています。「椅子」という同じジャンルなのに、形や材質、色もさまざま。見ているだけでも楽しいです。

「彫刻のような椅子」が登場!

『フィン・ユールとデンマークの椅子』展示風景

――第2章「フィン・ユールの世界」では、彼がデザインした椅子とさまざまな仕事が紹介されています。本展の主人公でもあるフィン・ユールとは、どんな人なのでしょう。展覧会監修者の多田羅景太さんは、次のように語っています。

多田羅さん フィン・ユールは、建築やインテリアデザインに軸を置いた教育を受けた人です。自分が家で使うための椅子をデザインしたことがきっかけとなり、椅子のデザインを手がけるようになりました。ただ、家具デザインについての専門教育は受けていないため、自身で家具はつくれませんでした。ニールス・ヴォッダーという家具職人と二人三脚で、見て美しいと人間が感じられるような「彫刻的な椅子」を生み出していったのです。

――また、第2章の見どころについて、本展を担当された東京都美術館学芸員の小林明子さんは次のように教えてくれました。

小林さん フィン・ユールのデザインは、繊細な構造と曲線、有機的フォルムが特徴です。その着想点になったハンス・アルプの彫刻作品も会場に展示しています。椅子と一緒に見て、その響き合いを感じてみてください。

アートな椅子に座ろう!

『フィン・ユールとデンマークの椅子』展示風景

最後の第3章「デンマーク・デザインを体験する」では、デザイナーたちが手がけたアートな椅子が30脚以上も展示されています。こちら、実際に座れる椅子ばかりです!

1940年代にフィン・ユールが手がけた代表作や「モダン家具の黄金期」の作品などさまざまなタイプの椅子があり、全部座ってみたくなります。

『フィン・ユールとデンマークの椅子』展示風景

小林さんは「椅子は座ってはじめて、デザインや特徴を理解できます。ご自身のカラダを通して実感してください」と仰っていました。

実際に、第1章からデンマークのデザインを見てくると、何度も「座ってみたいな…」という衝動に駆られます。その望みが最後でかなうのですから、かなりうれしいです。

ぜひ会場で、座り心地の良さも体験してみてください。展覧会は10月9日まで。

Information

会期    :~10月9日(日) ※休室日:月曜日、9月20日(火) ※ただし、8月22日(月)、29日(月)、9月12日(月)、19日(月・祝)、26日(月)は開室
会場    :東京都美術館 ギャラリーA・B・C
開館時間  :9:30~17:30
       ※入室は閉室の30分前まで
       ※夜間開室金曜日は9:30~20:00(入室は閉室の30分前まで)
       ※最新情報などの詳細は展覧会HPをご覧ください
入館料   :一般 ¥1,100、大学・専門学校生 ¥700、65歳以上 ¥800

展覧会HP: https://www.tobikan.jp/finnjuhl/