
木村佳乃「悪い時期にこそ学びがある」失敗を成功に変える秘訣
木村佳乃さん

【映画、ときどき私】 vol. 505
2015年の『ジュラシック・ワールド』以来、本シリーズのヒロインであるクレアの日本語吹替版を担当している木村さん。今回は、キャラクターに対する思いや自身のターニングポイント、そして失敗との向き合い方などについて語っていただきました。
―クレアを演じるのは、前作『ジュラシック・ワールド/炎の王国』から4年振りとなりましたが、いかがでしたか?
木村さん もう4年も経ったのかと驚きましたね。クレアといえば、『ジュラシック・ワールド』の3部作を通して、一番内面が変わったキャラクター。最初はビジネスライクの冷たい話し方の女性でしたが、今回は母性と優しさが出てきたことによってより人間らしくなったように感じました。
―母親的な側面も描かれていますが、ご自身も母親として共感しながら演じていらっしゃったのでしょうか。
木村さん 確かに、そういうところはあったと思います。ただ、そのあたりはクレアを演じているブライス(・ダラス・ハワード)さんがすでに演技として表現してくださっているので、私がしたのはあくまでも彼女に寄せていくという作業。私の考えを入れるのではなく、ブライスさんの表情に合わせて声の強弱を決めていきました。
映画を観たときの驚きは、いまでも覚えている

―前回のアフレコでは、叫びすぎて声が出なくなってしまったこともあったとか。今回大変だったことはありませんでしたか?
木村さん 本作では叫ぶシーンがあまりなかったので、それは大丈夫でした。クレアも前より優しくなっていましたからね(笑)。
―木村さんと同様に、前作から続投となった主人公オーウェンの声を担当されている玉木宏さんについては、どのような印象ですか?
木村さん 収録が別々だったので、実は玉木さんとも4年振りに先ほどお会いしたばかりなんです。相変わらずハンサムですし、すごくセクシーな声をされていると思います。
―本作は、1993年に世界中で大きな反響を呼んだ『ジュラシック・パーク』から始まっています。その当時のことは覚えていますか?
木村さん 私は高校生でしたが、映画に恐竜が出てくると話題になっていましたし、監督がスティーヴン・スピルバーグだったので私も映画館に行きました。雨のシーンで恐竜の目がギョロっと動くところが印象的で、すごくびっくりしたのをいまでも覚えています。
―ちなみに、高校時代はどんなことに夢中になっていましたか?
木村さん 私は馬術部だったので、馬や動物が大好きでした。それでも、やっぱり恐竜は怖かったですね(笑)。
できないことよりも、できることに目を向ける

―このシリーズがスタートして29年となりますが、ご自身の29年を振り返ってみてターニングポイントといえばいつですか?
木村さん 19歳から仕事を始めたので、まずはこの世界に入ったというのは大きかったですね。あとは、ここ数年で世界も変わってしまったので、改めて驚きを感じています。
―それによって、さまざまな影響や変化もあったのではないかと思うのですが。
木村さん このような状況のなかでも、仕事があるというのは本当にありがたいことだと痛感しました。いまの世界では厳しい状況に置かれている方も多いので、いろいろと考えさせられますが、些細なことにも感謝をし、幸せを感じなければいけないなと思っています。
―木村さんといえば、いつも明るいイメージがありますが、意識されていることがあれば教えていただきたいです。
木村さん あまり深く考えないことです。私は昔から切り替えが早いタイプで、ニワトリみたいにスタジオから一歩出たらすっかり忘れちゃうんですよ(笑)。でも、考えてもしょうがないことは考えないというか、終わったものは終わったもの。できないことを追求するよりも、できることに目を向けるようにしています。
今日は今日しかないから、楽しまないともったいない

―失敗したことを悩むよりも、いまできることは何かを考えると。
木村さん そうですね。というのも、失敗は成功のもとですから。人は悪い時期にこそ学ぶことがあると思っています。人間関係でもいいときは楽しいから何も思わないですけど、うまくいかなくなると「なんでだろう?」と考えるようになり、そこでいろんな発見があるはずです。そうすれば、「前回の失敗を生かして次はこうしよう」となり、学ぶチャンスにもなりますからね。
人生というのは、いいときと悪いときが交互に来るものなので、悪いときはつらいかもしれません。でも、私は「これも自分には必要なときなんだ」と考えることで、いつも以上に周りに目を向け、耳を傾けるようにしています。それに、人は誰でも完璧なときばかりではありませんから。うまくいかなくても「今日はこういう日なんだな」でいいと思います。
―なるほど。受け止め方ひとつで、だいぶ変わりますね。
木村さん 私は戦争を経験した明治生まれの祖母と一緒に住んでいたことがあり、おばあちゃん子だったので、その影響かなと。いつも「今日は今日しかないよ」と励まされてきました。もちろん、私にも眠くてどうしようもない日とか、びっくりするほど顔がむくんでひどい日もありますよ(笑)。そんななかでも、「1日しかない今日を楽しまなきゃもったいない」と考えるようにしています。
友達の大切さに改めて気づかされた

―多忙な日々をお過ごしだと思いますが、仕事と家庭とのバランスで意識されていることはありますか?
木村さん どうしても大変なほうに偏ってしまいがちにはなりますが、とにかくそのときできることに集中しています。なので、特に何かを決めているわけではなく、仕事の内容に合わせながら、そのときそのときでバランスを取っている感じです。
―では、いま木村さんにとって一番の気分転換といえば?
木村さん 好きな人に会うことです。というのも、コロナ禍になって、人と自由に会えなくなったときに、おいしいものを食べながら友達とたわいもない話をしている時間がこんなにも大切だったのかと気づかされましたから。
いまでもなかなか会えないことが多いですが、元の生活に戻ったら、友達とカラオケをしたいですね。実は、前は全然行ってなかったんですけど、みんなで大きな声で歌えたら楽しいだろうなと最近になって思うようになりました。
若いうちに、いろんな経験をたくさんしてほしい

―ちなみに、ananwebを読んでいる女性たちに、20代や30代のうちにしたほうがいいとオススメしたいことはありますか?
木村さん まずは、いろんな経験をしたほうがいいとは思いますね。若いうちは体力もあって、寝なくても大丈夫ですから(笑)。いまは仕事を終えたらすぐに家族のもとに帰りますが、昔は仕事が終わったあと、その日のうちに飛行機に乗って海外旅行に出たりすることもあったくらい元気でした。まだ難しい時期だとは思いますが、できるようになったら、いろんな場所に旅行をして、いろんな人と出会い、いろんなことに挑戦してほしいですね。
―40代になってからの楽しみなどもありますか?
木村さん 私は年齢を気にしないほうなので、40代だからというのはあまりないかなと。そもそも、この年代だからこうしようみたいなことも考えたことはないですね。
―それでは最後に、ananweb読者に向けてアドバイスやメッセージをお願いします。
木村さん そんな上からなことは言えないというか、逆に私がみなさんから教えてほしいくらいです。「老いては子に従え」という言葉があるくらいですからね(笑)。それくらい、いまは若い方からいろいろ教わって刺激をもらいたいですし、みなさんから楽しい話を聞かせてほしいと思っています。
インタビューを終えてみて……。
満面の笑顔で、その場の空気まで一気に明るくしてしまう木村さん。どんな質問に対しても答えに迷いがなく、気持ちがいいほどさっぱりしていらっしゃる姿に、こちらまで前向きになれました。ぜひ、木村さんのような芯が強くて美しい女性を目指したいところです。
最終章にふさわしい圧倒的なスケール感!

アトラクション顔負けの迫力と臨場感、そして圧巻の映像体験が味わえる本作。閉塞感が漂う日常を忘れて、興奮の渦に巻き込まれる異次元の世界へとトリップしてみては?
写真・角戸菜摘(木村佳乃) 取材、文・志村昌美
ストーリー

〈ジュラシック・ワールド〉のあったイスラ・ヌブラル島の壊滅から救出された恐竜たちが、世界中に放たれてから4年。人類は、いまだ恐竜との安全な共生の道を見出せずにいる。そんななか、恐竜の保護活動を続けるオーウェンとクレアは、人里離れた山小屋でクローンの少女メイジーを守りながら暮らしていた。
ある日、オーウェンは子どもを連れた恐竜のブルーと再会。ところが、何者かによって、ブルーの子どもが誘拐され、オーウェンたちは救出へ向かうことに。いっぽう、サトラー博士たちは、世界各地から恐竜を集めて研究をしているバイオテクノロジー企業の巨人バイオシンをある目的から追っていた。人類と恐竜の共存の前に立ちはだかるバイオシンの恐るべき計画とは……。
手に汗握る予告編はこちら!
作品情報
『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』
7月29日(金)より、全国ロードショー
配給:東宝東和
https://www.jurassicworld.jp/
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