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田代 わこ

生々しい!?… 「心がざわつく」全裸少年フィギュアをあの巨匠が制作!

2020.10.2
六本木の森美術館で『STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ』が開かれています。世界で活躍する6人のアーティスト(草間彌生、李禹煥〈リ・ウファン〉、宮島達男、村上 隆、奈良美智、杉本博司)による初期作から最新作まで見られるゴージャスな展覧会、その詳細をレポートします!

トップバッターは、あの巨匠!

【女子的アートナビ】vol. 183

『STARS展』、入場するとまずは現代アートの巨匠、村上隆のかわいいフィギュア作品がお出迎え。さらに広い空間に出ると、村上ワールドが全開です! 壁には、おなじみのポップな花のキャラクターが描かれた最新作《ポップアップフラワー》が掛かり、中央には巨大な像が2体、展示されています。

さらに展示室を進んでいくと、全裸少年のフィギュア彫刻が目の前に! 少年は左手で男性器を握っていますが、その先から精液のような物体が頭上まで吹き出しています。

本作品は1998年作の《マイ・ロンサム・カウボーイ》。同名作品が2008年に約16億円で落札されて話題となりましたが、実物を間近で見るとインパクトがすごいです。肉体が妙にリアルなので、作品を凝視してよいものか、ちょっと心がざわつきました。

このような作品は、どう解釈したらいいのでしょう? わからないときに役立つのが音声ガイドです。同展では、自分のスマホに音声ガイドをダウンロードして聞くことができます。(税込¥500)

作品解説だけでなく、アーティスト本人のインタビューも収録されている豪華版。さっそく村上さんの話を聞いてみると、《マイ・ロンサム・カウボーイ》のような性をデフォルメした作品は、日本美術の「浮世絵」とも関係があるとのこと。詳しくは、ぜひ会場で作品を見ながら音声ガイドを聞いてみてください。

割れたガラスと石が…

次の展示室に入ると、一転して静かな雰囲気に様変わり。韓国で生まれ日本で活動しているアーティスト、李禹煥(リ・ウファン)の絵画と立体作品が展示されています。

割れたガラスの上に大きな石が置いてある作品《関係項》は、初期につくられた代表作のひとつ。木や石など素材そのものを提示する「もの派」と呼ばれる芸術動向の思想が現れた作品です。

ありていにいえば、単に物体が置いてあるだけなのですが、何か静かに訴えてくるものがあり、村上作品とは違う意味で心がざわつきます。

ふたりの個性派作家の作品を見たあとは、アーカイブ展示のコーナーへ。ここでは、6名のアーティストたちが出展した展覧会のカタログや展示風景写真など、彼らの活動歴を見ることができます。さらに、海外で開かれた日本の現代美術展の概要や展示資料なども紹介されています。

草間彌生&宮島達男

続いて登場するのは、草間彌生の作品群。アメリカで活動していた1960年ごろの初期作品から2019年の作品まで、絵画や立体作品、鏡のインスタレーションなどが展示されています。

ひとつの空間に各年代の草間作品が集結している光景は、まさに圧巻! 個性的な作品のひとつひとつがぶつからず、見事に調和した展示方法もすばらしいです。ちなみに、この展覧会は一部を除いて写真撮影OK。カラフルな草間作品は、「映え」ること間違いなしです!

草間ワールドを抜けると、今度は少し暗めの空間が待ち受けています。この作品は、宮島達男の《「時の海―東北」プロジェクト(2020東京)》。東日本大震災の犠牲者を鎮魂し、震災の記憶を継承していくことを願って制作されたインスタレーションです。

緑や青のLEDランプは海のイメージを表しているとのこと。実はこのLEDはすべてデジタルの数字カウンターで、1から9、あるいは9から1へとカウントして0のときは暗くなります。この暗闇になる瞬間が「死」で、作家のコンセプトである「時間」や「生命の永遠」を表現しています。

本作品は、東北の被災された人たちと一緒に制作し、現在も進行しているプロジェクト。今後も発展し、最終的には東北沿岸部の海の見える場所に設置することを目指しているそうです。

奈良美智&杉本博司

続いて、奈良美智の展示室へ。初期のドローイングや新作の大型肖像画、さらに巨大なインスタレーション作品も見ることができます。

こどもや動物などがモチーフになっていて、色彩もパステル調なので、優しくあたたかい感じがする奈良作品。一見すると「かわいい」のですが、こどもの目がうつろだったり、悲しそうだったりして、あまり幸せそうには見えません。ちょっと闇を抱えているような彼らの表情を見ていると、想像力をかきたてられます。

最後は、杉本博司の展示室へ。初期の代表的な「ジオラマ」シリーズの写真作品や、2020年に制作された初映画作品《時間の庭のひとりごと》などを見ることができます。

写真家のイメージがあるアーティストですが、建築や造園、古美術や古典芸能にも造詣が深く、パリ・オペラ座で舞台演出をしたり、展覧会の会場構成を手がけたりと、多彩な活動をされています。

2017年には、彼の創作活動をまとめた「小田原文化財団 江之浦測候所」が小田原にオープン。70代になっても、世界から注目を集め続けている現代美術家です。

刺激的な展覧会へ!

この展覧会には現代美術界のスター6人の作品が集結しているので、どの展示室も濃くて見ごたえがあります。作品から出てくるパワーも刺激も強いので、体調を整えてから見に行くことをおすすめします。

なお、森美術館では入館前に検温チェックなどがあります。9月末現在、事前予約は不要となっていますが、最新情報を公式サイトで確認してからお出かけください。

Information

会期:~ 2021/1/3(日) 会期中無休
時間:10:00~22:00(最終入館 21:30)※火曜日のみ17:00まで(最終入館 16:30)
場所:森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
チケット:一般¥2,000、高校・大学生¥1,300( 9月21日(月)~10月31日(土)は「STARSの学割」を実施、特別割引料金¥650)子供(4歳~中学生)¥700、65歳以上¥1,700
公式サイト: www.mori.art.museum