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田代 わこ

乳を強く吸われて…“天の川”の起源になった驚きの物語とは?

2020.5.2
東京・上野の国立西洋美術館で、3月中旬に『ロンドン・ナショナル・ギャラリー展』のプレス内覧会が開かれました。現在、美術館は臨時閉館中ですが、取材時に撮影した作品画像の一部を本記事でご紹介。おこもり生活の気分転換に、ネットで名画をご覧になってみてください。

ロンドン・ナショナル・ギャラリーとは?

【女子的アートナビ】vol. 176

ロンドン・ナショナル・ギャラリーは、1824年に設立された世界屈指の美術館。ロンドン中心部にある同館には、13世紀から20世紀はじめまでの西洋絵画が展示されています。

ヨーロッパにある有名美術館は、王室が集めた美術品がベースになっているところが多いのですが、ロンドン・ナショナル・ギャラリーは英国民の力で創設。「西洋絵画史を網羅するコレクションをイギリスに作る」という目的で収集されているので、質の高い作品がそろっています。

200年近い歴史をもつ美術館ですが、今まで館外で大規模な所蔵作品展をしたことはなかったとのこと。今回は61点もの作品が来日し、史上初の展覧会としても注目されています。

天の川の起源は…

会場では、テーマ別に7章構成で絵画作品が展示されています。本記事では、そのなかから3点をピックアップします。

まず第1章「イタリア・ルネサンス絵画の収集」でご紹介するのは、ヴェネツィアで活躍した画家ティントレット(1518頃~1594)の《天の川の起源》。

この絵に描かれている場面は、神々の王ユピテルが息子ヘラクレスを抱き、正妻ユノ(最高位の女神)の乳を飲ませようとしているところです。

ヘラクレスは人間のアルクメネと浮気したときにできた子どもだったので、不死身ではありません。そのためユピテルは、ユノの乳を飲ませ、息子に永遠の命を与えたかったのです。

しかし、ユノは寝ていたときに乳を強く吸われたので、驚いて目を覚まし、ユピテルがヘラクレスを急いで引き離そうとします。そのとき母乳が天空に飛び散り、乳の道ができた……という物語がMilky Way(天の川)の起源。

この絵画では、ユノの乳首から母乳が吹き出し、流れ星のようにきらきらと天に輝く様子が鮮やかな色彩で描かれています。

恋人を待つ女性?

続いて、第2章「オランダ絵画の黄金時代」でピックアップするのは、フェルメール(1632~1675)の作品《ヴァージナルの前に座る若い女性》。

「ヴァージナル」とは、15世紀頃からヨーロッパで使われていた小型鍵盤楽器のひとつ。その楽器に手を置いた若い女性がこちらを見つめています。弾いている途中に、誰か親しい訪問者がやってきたのでしょうか。女性の表情がちょっと意味深です。

写真では見づらいですが、女性の背景に一枚の絵画が掛かっています。そこに描かれているのは、売春婦と男性客、取り持ち女。さらに、ヴァージナルの手前には、ヴィオラ・ダ・ガンバという楽器も置いてあります。

風俗画に描かれる楽器には、男女関係や性的な意味合いも含まれているとのこと。この絵の読み解き方はいろいろあるので、想像を膨らませながら見てみると楽しいです。

人気画家は盛り上手!?

最後は、第3章「ヴァン・ダイクとイギリス肖像画」から、アントワープ出身の画家ヴァン・ダイク(1599~1641)の作品をご紹介します。

描かれている二人の女性は、セレブな子爵の娘たち。これは二重肖像画です。

画面右の女性は、妹のエリザベス。彼女は、古代に花嫁が着たといわれるサフラン色のドレスを身につけ、キューピッドからバラの入った籠を受け取っています。この絵は、エリザベスの結婚祝いのために制作されたと考えられているそうです。

姉妹はともに大きな真珠の耳飾りをつけ、衣装も豪華で、表情も威厳と気品にあふれています。画家ヴァン・ダイクは、まるで神話に出てくる美しい女神のように「盛った」人物を描くのが得意で、肖像画家として当時とても人気があったそうです。

公式サイトでは無料動画も公開中

会場には、ほかにもベラスケスやゴヤなどのスペイン絵画、イギリスを代表する画家ターナーの風景画やゴッホの《ひまわり》など、傑作がたくさん来日しています。

現時点で開幕日は未定ですが、展覧会公式サイトでは作品画像が見られるほか、展覧会監修者の川瀬佑介氏(国立西洋美術館主任研究員)が作品解説してくれる動画も無料で公開されています。

展覧会公式サイトで作品画像や動画を楽しみながら、開幕日を待ちましょう。

Information

会期:開幕日未定~6月14日(日) ※休館日は月曜日
※開幕が延期となりました。開幕後も混雑対策のためチケットの販売方法や展示室への入場方法が変更となる場合がございます。最新情報を展覧会公式サイトで必ずご確認ください。
時間:午前9時30分~午後5時30分(金曜日、土曜日は午後8時まで)※入館は閉館の30分前まで
会場:国立西洋美術館
料金:一般 ¥1,700/大学生 ¥1,100/高校生 ¥700 中学生以下無料

展覧会公式サイト:https://artexhibition.jp/london2020/