好きなこと、話そ!

田代 わこ

裸の女性はアレと同じ!? 「ヌード画は恥ずかしい?」に著名画家の返答は…

2020.4.12
まるで本物のようにリアルに描かれた写実絵画の傑作が集まる展覧会が、3月中旬にBunkamura ザ・ミュージアムではじまりました。現在、美術館は臨時休館中ですが、展覧会の開幕にあわせて出品作家の島村信之さんと、アイドルの和田彩花さんが対談を実施。写実絵画の本質や、裸婦像を描く画家の気持ちに和田さんが迫ります!

和田さんも感動!『超写実絵画の襲来 ホキ美術館所蔵』

左:和田彩花さん 右:島村信之さん

【女子的アートナビ】vol. 175

この展覧会では、ホキ美術館が所蔵する写実絵画のなかからセレクトされた傑作が一堂に集結。写実絵画とは、対象を見たままリアルに描くことを基本とした絵画のことで、作家たちは長い時間をかけて一枚の絵を仕上げていきます。

2010年に世界初の写実絵画専門美術館として開館したホキ美術館(千葉県)は、日本を代表する現代作家たちの写実絵画約480点を所蔵。今回の展覧会では、同館の人気コレクション約70点が展示されています。

展覧会の開催にあわせて、出品作家の島村信之さんと、大学院で美術史を学んだアイドルの和田彩花さんが対談を実施。写実絵画やヌード画などについての疑問を、和田さんが直撃してくれました!

アイドルが画家に直撃!

まずは、島村さんが写実画家になったいきさつについて、和田さんがたずねます。

和田さん どうして絵画の道に進まれたのですか?

島村さん 今は絵描きをしていますが、もともとは運動ばかりやっていました。器械体操や陸上をしていて、体育大学に行こうとしていたのです。

和田さん 何がきっかけで絵のほうに?

島村さん 絵は好きでしたので、本屋に行ったときにいろんな画集を見ていました。入り口は、イラストレーターである長岡秀星さんの画集です。この人の絵がおもしろいなぁと思って、こんなふうに描いてみたいと憧れて、趣味として描いていました。

和田さん いつから写実絵画を意識されるようになったのですか?

島村さん もともと写実の方向が好きで、きっちり見たように描ける能力があったらいいなと思っていました。でも美大に入ってからは、自分の表現は別のところにあるのではないかと悩み、写実の方向ではないものを考えていました。

ですが、スペインのリアリズム絵画を扱った展覧会に行ったとき、日本の写実とは違い、現実を超えているような感じがしたのです。例えば、壁の表現でも、重みとか力強さが、現実よりも絵画のほうがもっとリアルで。それを見たとき感動して、自分でも表現してみたいと思いました。

写実とは…画家の意見は?

続いては、『写実』の意味するところについて、和田さんが島村さんに迫ります。

和田さん 写実って「本物そっくり」というイメージが強かったのですが、そっくりに描くことだけではなく、リアルな質感のなかで見えてくる概念とかも写実絵画にはあるのかな、と気づきました。

島村さん 基本的に、写実という考え方以前に、絵画としてどうなのか、ということだと思います。僕は自分が感動したものを伝えたい。まずは自分が感動することが必要ですし、それを見てくれた方も、同じような体験ができればいいなと思います。それが絵画の役割として重要だと思っています。

和田さん 実際、目に見えるとおりに描かれるのですか? 例えば、光は見えるけど、手に触ることもできないものだから、どう描くのだろうと不思議に思います。

島村さん 光を感じるためには影が必要です。通常は、絵画を逆光で描くことは少ないのですが、逆から見ると光が当たるところが強く出て、光を意識できるのがおもしろくなり、僕はある時期から逆光で絵を描くようになりました。でも、それが生涯の画風とも思っていません。自分のマンネリ化をどうやって脱却しようかと常にアンテナを張ってネタ探しをしています。

数百匹飼っていた!?

さらに、島村先生の虫作品について、話題が展開していきます。

和田さん 先生は女性像を多く描かれていますが、最近のテーマは虫ですか?

島村さん 女性像もひとつの方向として研究していますが、マンネリ化したくないので、虫も描いています。もともと、子どものときよく生き物を採りに行って、それを絵に描いていました。同じことを、この年齢になってもできるのはおもしろいですよね。感動をそのまま絵に表現できるのが、画家の一番いいところです。

昆虫は、描くだけでなく、探しに行ったり、数百匹を同時に飼ったり、コレクションしたり、昆虫標本会に行ったりして、もう完全に趣味です(笑)。

ヌード画について直撃!

最後に、女性のヌード画を多く手がける島村さんに、和田さんが直球質問をぶつけます。

和田さん 私は絵画のヌードをけっこう見なれていますが、絵画を見慣れていない若い女性は、リアルな写実絵画を見たらどう感じるのかな、と気になります。恥ずかしいという気持ちを持ったりするかもしれません。

島村さん 自分が関わる人は、美大などを出ていたりするので、ヌードに麻痺していると思います。でも、僕が高校生のとき、女子校の文化祭に行って美術室でヌード作品を見たときは、すごく気恥ずかしかったです。

和田さん なぜですか?

島村さん だって十代の男の子がはじめて見る裸婦像は衝撃で、ドキドキしたというか、気恥ずかしい感情はありましたよ。おそらく、美術の世界に慣れていない人にとっても、ヌード画を見るのは気恥ずかしいという感覚があるのかなと思います。僕も、美大受験の予備校に入ってはじめて裸婦の前で絵を描いたときは、手が震えました(笑)。

和田さん 私は、同世代の女の子が写実のヌード画をどう感じるのか知りたいです。

島村さん 僕は娘もいるけど、彼女も慣れているから(笑)。うちにモデルさんがきて、それが絵になっていくことは娘も知っていたので。逆に、自分も絵のモデルになりたいという意識があり、自分を描いてほしいと言ってくれていましたね。

それに、描いている側としては、裸婦も、ロブスターなどと同じように、かっこいいとか憧れの気持ちをもって描いていて、その気持ちをどう美しく表現するのかということを構図などで探っていっています。

和田さん 先生のなかで、美しさはどんな感覚ですか?

島村さん 僕はあまり挑発的なものは避けていて、常に安らぎとか、自分も楽に見られる絵を目指しています。目に見えたものをそのまま描かないで、一回自分で咀嚼します。形はモデルだけど、自分のなかでは違う色彩になり、イメージ化する方向にいっています。作家の心が伝わるような作品を、生涯描いていきたいですね。

注:今回の展覧会で島村さんのヌード画作品は出品されていません。会場で販売中の『島村信之画集』(求龍堂 ¥4,180税込)に多数収録されています。

和田さんからメッセージ!

対談後、和田さんから、ananweb読者のみなさんにメッセージをいただきました。

和田さん 一般的に、美術に触れる機会が少ない人は、写実絵画を見て「本物そっくりだ」という感想を持たれる人が多いと思います。でも、「本物そっくり」という印象を超えた何かが写実絵画にはあります。それが何かというのは、実際に絵を見たときの人それぞれの感覚だと思います。

写実絵画というのは、精緻で細かいところまで描き出して、まさにリアル。でも実際の作品を見たら、それだけじゃないパワーがあると思うので、そこまで楽しめるのが超写実絵画だと気づきました。

女性のヌード画も、恥ずかしいという思いだけじゃ決して済まないのが絵画のもつ魅力と思うので、ぜひ同世代の女子にも見てほしいです!

公式サイトをチェック!

この展覧会の最新情報は、美術館の公式サイトで確認できます。展示作品の画像も多数アップされているので、ぜひサイトをチェックして、超写実絵画の美しさをご覧になってみてください。

Information

会期:現在臨時休館中。会期は5/11(月)まで。 
※新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため5/6(水・祝)まで臨時休館。(今後の予定は公式サイトをご確認ください)
*4/14(火)は休館
時間:10:00-18:00(入館は17:30まで) 
※毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)

会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
料金:一般 ¥1,600/大学生・高校生 ¥900/中学・小学生 ¥600

展覧会HP:https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/20_choshajitsu/