志村 昌美

有村架純「是枝監督は私の声を聞いて…」監督の鋭さに驚いたコト

2020.3.17
誰もがのぞいてみたいと思うもののひとつは、女優の休日。「一体、どんなプライベートを過ごしているのだろうか?」と考えたことがある人も多いはず。そんな欲求を満たしてくれるのが、まもなく放送が開始される『有村架純の撮休』。そこで、主演を務めたこちらの方にお話をうかがってきました。

女優の有村架純さん!

【映画、ときどき私】 vol. 298

本作で有村さんが挑んだのは、なんと本人役で出演する新感覚のドラマ。才能のあるクリエイターたちが「もし、有村さんが撮影期間中の休日(通称“撮休”)を突然得たらどのように過ごすのだろうか?」というテーマをもとに妄想を膨らませて描いています。そこで、あらゆるシチュエーションのなかで演じられた感想やこれからの自分について語っていただきました。

―まずは、今回の企画を聞いたときのお気持ちから教えてください。

有村さん 実は、このお話をいただいたとき、「今後の自分はどういうことをやっていけばおもしろくなれるのか?」というのをちょうど考えていた時期だったんです。特にここ最近は、等身大の役を演じることが多かったので、それとは違う挑戦ができる機会を与えていただけるのであれば、飛び込んでみようという気持ちで参加しました。

―ちなみに、本人役ということに関してはどう思われましたか?

有村さん ありがたいことに、8名の脚本家の方がそれぞれの私を想像して書いてくださったので、それに応える形で8通りの自分を探しながら演じさせていただきました。そのなかで、「私であって私ではない」というのを目指せたらいいなと。どれもおもしろかったですね。

―なかでも注目してほしいポイントはありますか?

有村さん たとえば、それぞれの作品で部屋も飾りつけも衣装も全然違うので、作品ごとに変わる雰囲気は楽しいと思います。あとは、続けて見ていただくと、共通するものがどこかに出てきたり、違う話で出てきたものが置いてあったりするので、そういう小物にも注目していただきたいですね。

―ご自分が周りからどう見られているのかを知るのは、どのような心境でしたか?

有村さん それぞれの話で、「有村架純ってこういう人なのかな」と想像してもらえたらおもしろいだろうなと感じました。でも、彼氏の元カノを巡るストーリーが展開される『好きだから不安』のように彼氏の元カノを見たいとか、元カノに自分を紹介してほしいと思うことは無いほうだと思います(笑)。

非現実的なことができて楽しかった

―本作は5人の監督で撮影されてますが、振り返ってみて大変だったことはありましたか?

有村さん 今回は、1本撮影が終わったら、1~2日空いてすぐに次の撮影が始まるというスケジュールだったので、苦労したのはセリフを覚えること。特に、『好きだから不安』では、彼氏役の渡辺大知さんと部屋で10分間ほどやりとりをするシーンを今泉力哉監督がワンカットで撮りたいということだったので、そのときは舞台のようでしびれましたし、6テイクも撮りました。

―では、是枝裕和監督の演出はいかがでしたか?

有村さん 是枝監督は役者さんの声を重視されている方で、声からにじみ出るものをキャッチしているそうなんです。なので、お芝居をしているときに、声に感情がにじんでいるかどうかの判断は鋭いと思いました。

大きく演出をするというよりも、助け船を出してくださる方だと感じました。私は集中してしまうとどうしても表情だけでお芝居をしてしまうところがありますが、それに気がついた是枝監督は、手や体を動かすヒントをところどころでくださいました。改めて自分の足りないところや癖がわかったので、勉強しながら取り組めたと思います。

―作品ごとに個性豊かな共演者が多かったと思いますが、印象的に残っている方といえば?

有村さん 『バッティングセンターで待ちわびるのは』に出演してくださった前野健太さん。普段はシンガーソングライターとして活動されていますが、お芝居が本当におもしろかったです。前野さんにしか出せないオリジナルな魅力があり、感性も豊かな方なので、すごく引っ張っていただきました。

―演じていておもしろかった瞬間はありましたか?

有村さん 『女ともだち』では、私が世間に持たれている女の子らしいイメージに対して、「そうじゃないんだ!」みたいなことを言うところがありましたが、私の日常では他人に向かってそういう強い言葉を発することはないので、非現実的なことができて楽しかったです。

新たな可能性を感じることができた

―とはいえ、実際に多くの人が有村さんには女の子らしいイメージを持っていると思いますが……。

有村さん 確かに、私の外見の雰囲気からそういうものが求められているんだなというのは、客観的に考えることもあります。色で言うと、ピンクや白の印象を周りから持たれることが多いですから。でも、私からすると、自分は薄くてちょっとくすんだブルーだと思っています(笑)。

―(笑)。ちなみに、今回の役は自分であって自分ではないという難しさもあったと思いますが、ご自身でアイディアを出したことはありましたか?

有村さん 今回は、みなさんが思う有村架純を受け入れ、おもしろいなと思いながら演じていたので、私が意見することは特になかったです。

それに、監督をされているみなさんは、鋭い目を持っているので、ごまかしたり、嘘をついたり、隠しごとをしたりできないくらい見透かされているような気がしていました。監督たちからすると、役と私が意外と近いと感じたかもしれないですが、そこは見ている方々に委ねたいと思っています。

―本作で8通りの自分を演じ切ってみて、次のステップへ向けて手ごたえを感じたことがあれば教えてください。

有村さん 自分でもいまの段階でどのくらいのことができたのかわかりませんが、22日間という短い期間で8本すべてをやり切り、これだけの方々と一緒に仕事できたというのは宝物のような時間になりました。

どれもすごくいい出会いになったので、それが次のお仕事につながってくれれば、私にとっては何よりプラスなこと。それだけでも満足している部分はありますね。あとは、久しぶりに解放的な気持ちにもなれたので、心の空気の入れ替えができたのは、すごくよかったです。リフレッシュできたのと同時に、新たな可能性も感じられました。

―ちなみに、これまでで急に撮影がなくなったりした経験は? 

有村さん たとえば、天気が悪くなって撮休になったことはありました。でも、突然休みになったりすると、いろいろとスケジュールを詰め込んでしまうところがあるので、そういうときでもわりと忙しくしていることが多いですね。

素の自分でいられるのは現場にいるとき

―もし、急に明日休みになったらしたいことは何ですか?

有村さん 運転できる人を探して、車で箱根に日帰り温泉とか行きたいですね。

―それはいいですね。では、長期の休みだとしたら?

有村さん 最近はあまり映画をゆっくり観れていなかったので、まずは1日中映画館で過ごして、その次の日は美術館とかでアート巡りしたいですね。ほかには、習い事の予定を入れたり、1日は家でのんびりしたり、いろいろなことを計画して過ごしたいなと思います。

あと、海外へ旅行するというのもいいですよね! 実際、去年の6月はお休みのときにシンガポールへ旅行したりもしました。

―今回は、いろいろなお休みの提案がありましたが、ご自身がいいなと思った休日はどれですか?

有村さん 『ただいまの後に』は、母と娘のやりとりが一番普段の自分に近いような気がしましたし、関西弁で話せることがすごく心地がよかったです。母親役の風吹ジュンさんも素敵な方だったので、過ごしやすい現場でした。

―このお仕事はつねに一般の方からのイメージを気にしているところもありますが、素の自分に戻れるときは?

有村さん それは、現場にいるときですね。というのも、現場で一緒になるスタッフやキャストのみなさんは、撮影期間で私がどういう人間かをわかってくれているので、その人たちの前では何も着飾る必要がないからです。だから、すごくナチュラルな自分でいることができます。

特に、私は嘘がつけないタイプなので、「良い子でいなきゃ」と意識しているとばれてしまうんですよね。20歳くらいのときに、そのことに気がついてからは吹っ切れて、このままの自分でいることが一番楽だと思うようになりました。

―ということは、仕事でストレスをため込むこともない?

有村さん そうですね。お芝居をしているときは全然ストレスを感じないです。

―普段、気分転換のためにしていることはありますか?

有村さん 家にいるときは基本的にリフレッシュできていますが、そのなかでも楽しみは、大好きなお笑い番組を見ているとき。毎週録画している番組もたくさんあるくらいなんですよ。あとは、音楽を聴いているときとか、気心の知れた仲間と会っているときですね。

目の前のことをちゃんと感じながら生きていきたい

―今年で27歳を迎えたこともあり、少しずつ30代を意識することもあるのではないかと……。

有村さん 確かに考えることもありますが、あまり考えすぎて背伸びをする状態よりも、いま目の前にあることをひとつひとつ経験し、感じて生きていくことのほうが大切だと思っています。

特に、私はいろいろな役と出会い、役を通して経験することでより心を豊かにすることができるので、足りないところは自分で考えつつ、今後もそういった経験を積み重ねていきたいですね。

―最後に、有村さんが目指す理想の女性像などがあれば教えてください。

有村さん 一番は、見ていて気持ちがいい人になれること。ただ、まだまだ私も未熟なところがあるので、「いつになったらそうなれるのかなあ」とは考えてはいますが、お手本になるような素敵な方々が周りにたくさんいるので、今後もその方々を見て、勉強させてもらえたらと思っています。

インタビューを終えてみて……。

男女問わず、誰もが虜になってしまうのもうなずけるほどかわいらしい笑顔が魅力的な有村さん。女優として着実にキャリアを積み重ね、作品ごとに新たな階段を上っていく姿をこれからも追いかけていきたいと思います。

こんな有村架純は見たことない!

エピソードごとに繰り広げられるさまざまなストーリーから、女優・有村架純の魅力を存分に味わえる本作。これまでのイメージとは違う知られざる一面を垣間見ることができるかも!? 

ストーリー

毎日、多忙な日々を送っている国民的女優・有村架純。そんななか、翌日の撮影が休みになったことを急遽告げられる。はたして、女優の有村架純は、どのような撮休を過ごすこととなるのだろうか……。

ほのぼのする予告編はこちら!

作品情報

『WOWOWオリジナルドラマ 有村架純の撮休』
3月20日(金・祝)WOWOWプライムにて放送スタート
毎週金曜深夜0時~(全8話)第1話無料放送
WOWOWメンバーズオンデマンドでは、各話終了後 見逃し配信
TSUTAYAプレミアムでは、各話終了後 配信スタート
©「有村架純の撮休」製作委員会
http://www.wowow.co.jp/drama/satsukyu/

スタイリスト:瀬川結美子
ヘアメイク:尾曲いずみ

トップス¥36,000/パンツ¥32,000 共に(MURRAL/ミューラルプレス)
衣装問い合わせ先:ミューラルプレス(tel 03-5738-1799)