志村 昌美

成田凌「奔放だと構いたくなる」女性のズルさを感じる瞬間とは?

2019.5.26
人生に欠かせないものといえば恋愛、そして音楽。そのどちらも堪能できる映画としてご紹介するのは、まもなく公開の注目作『さよならくちびる』です。そこで、こちらの方に作品の見どころや秘話についてお話しいただきました。

話題作への出演が続いている成田凌さん!

【映画、ときどき私】 vol. 235

今回は、小松菜奈さんと門脇麦さん演じる人気デュオ「ハルレオ」を支える付き人となるシマを演じている成田さん。青春音楽エンタテインメントとなった本作を通して感じた音楽への思いや青春時代の思い出、そして恋愛観までを語っていただきました。

―まずは、シマを演じてみていかがでしたか?

成田さん 脚本を読んだときに少しセリフが言いにくいと感じるところもあり、最初は難しいなと構えるところもありました。でも、監督からは言われたのは、「キザな感じだけど、ナチュラルにやって欲しい」ということ。なので、気負わずにそのあたりを意識して演じていました。

―この役と向き合って、影響を受けたり、感じたりしたことはありますか?

成田さん 自分のためだけに生きるということは、辛いなとは思いましたけど、そういう生き方や意志の強さはカッコイイなとも感じました。僕の場合は、どうしても家族とか友達とか、大切な人に何かひとつでも恩返ししたいなと考えたうえでの行動になってしまうので。

―逆にシマと自分で似ている部分もありましたか?

成田さん ちょっと異性にいじられがちなところは似ているかなと思いました。だから、ハルとレオみたいに意志の強い2人と行動していたら、僕も板挟みになるんじゃないですかね。

―監督は「あの人のようになりたい」という憧れをテーマのひとつに挙げていますが、成田さんが登場人物3人のなかで憧れた人はいますか?

成田さん 僕は門脇さんが演じていたハルかな。自己犠牲みたいなところもありますけど、自分の才能を差し置いて人のためにできることはすごいことだと思います。

しかも、相手を引っ張るだけでなく、支えることもできるし、よくないことはよくないと判断もできる人。もちろん本人としては葛藤もあると思いますけど、勇気があるし、うらやましくも感じます。僕もそういう人になれたらいいなと思うところもありますね。

どちらかというと同性よりも異性に憧れることが多い

―ご自身の周りで成田さんが憧れを抱く人はいますか?

成田さん 実は同性に憧れることは少なくて、意外と異性に対して思うことはよくあります。それこそ小松さんと門脇さんにも憧れますが、それは僕がふたりとまったく同じことをしても、同じにもならないし、プラスにもならないかもと感じるからです。

それは、「異性だから」ということだけではない部分もあると思っています。ないものねだりかもしれませんけど、そういう異性には憧れを持っていますね。

―門脇さん演じるハルと小松さん演じるレオについてはどのような女の子だと感じましたか?

成田さん 僕個人としては、奔放なレオにちょっと構ってしまいたくなる気持ちはあります。しかも、弱みをたまに見せられると、それが体のなかでろ過されて、きれいな尊いものに見えてしまうところがあるので。ズルいですよね。

一方、ハルみたいに自分を犠牲にしてまで人に愛情を持てる人は本当に魅力的だなと思います。僕としては、自分を大切にしている人が好きですけど、そこまで人に対して愛情を持てるほうがかっこよさはあるのかなと。でも、2人とも全然違うタイプの魅力なので、僕としては選べないです。

―ちなみに、劇中で描かれているような三角関係に巻き込まれた経験はありますか?

成田さん こういう三角関係はないですね。もしかしたら、あったのかもしれないですけど、意外とわからないものだと思います。

―今回はそれぞれが報われない相手を追いかけていますが、もし成田さんがその状況なら、諦めるタイプですか? それとも果敢に攻めるタイプですか?

成田さん あまりそういう経験はないですけど、どちらかといえば果敢に攻めるほうですかね。なかなか手に入らないほうが燃えますし、追いかけているほうが楽しいのかなとは思うので。

―小松さんと門脇さんとの撮影で印象に残っていることを教えてください。

成田さん 撮影前から演奏の練習を一緒にしていましたが、最後のライブのシーンの前に空き時間があったので、3人でステージに上がって1曲演奏しました。別に言葉を交わすわけでもなく、なんとなく演奏が始まって、なんとなく1つ完成したみたいなことにすごく感動したんです。誰も見ていなかったですけれど、そのときは何とも言えない喜びみたいなものを感じましたね。

函館での忘れられない味とは?

―各地で行われたライブシーンについてはいかがでしたか?

成田さん エキストラで来てくださったお客さんやライブハウスの雰囲気もありますが、それぞれの地域によって、違うんだなというのは感じました。

そのなかでも、函館でお客さんが歌うシーンはすごかったですし、ノリノリで楽しんでくれていたので、記憶に残っています。僕たちにとっても最後のライブということで気持ちが乗るところもあったので、おもしろかったですね。

―いろいろな場所を巡りながら、オフではその土地のおいしいものを食べたりもしましたか?

成田さん 今回は、函館の市場で食べたウニいくら丼がおいしすぎてびっくりしました(笑)。朝早くにマネージャーさんをたたき起こしたら、最初は「いまですか?」みたいに言われましたけど、マネージャーさんも帰りには僕に感謝していましたから。

どんなお寿司屋さんよりもあのウニいくら丼が一番ですね。あとは、大阪で小松さんと門脇さんと3人で焼肉を食べに行って、帰りにタピオカを飲みながら歩いて宿まで帰ったこともありました。

―本作では秦基博さんやあいみょんさんが手がけた楽曲が大きな役割を果たしていますが、それらの曲を聴いたときの印象を教えてください。 

成田さん ハルの気持ちがギュッと詰まっていて、いい曲だなと思いましたし、感じたのは今回の映画が凝縮されているのがこの音楽なのかなということ。撮影の1か月くらい前に、ハルとレオが歌っているのを聞かせてもらいましたが、そのときに「この作品は大丈夫だ」と思いました。

―そのなかでも、成田さんがお気に入りの曲はありますか?

成田さん やっぱり主題歌の「さよならくちびる」ですよね。今回、音楽というものに密に接してみて、改めて音楽を作る人に尊敬しました。すばらしいものをゼロから作り、そこで思いを伝えることができるのは、やっぱりすごいなと思います。

―ご自身は忘れられない音楽との思い出はありますか?

成田さん メンズノンノのモデルに決まったとき、高校のみんながサプライズで集まってくれて「もし困ったことがあれば……」といってみんなの名前と電話番号だけが書いてある寄せ書きをもらったんです。

そのときに友達がRIP SLYMEさんと MONGOL800さんの「Remember」を歌ってくれて、その曲が好きになりました。すごい愛情だなと感じたと同時に、「これがエモーショナルな気持ちなんだ」というのを知った経験でもあります。

30歳になっても病気の話より未来のことを語りたい

―「まさに青春!」というステキなエピソードですが、成田さんの青春時代はどのようなものでしたか?

成田さん 子どものころからずっとサッカーだけをやってきて、高校時代は苦しい思いもしていたので、部活を引退したあとは、解き放たれてしまい、みんなではちゃめちゃに遊んでいましたね。

といっても、放課後に水鉄砲を買って土手で本気で遊ぶとかです(笑)。そのときは真夏なのに台風が来てしまったので、ビショビショになったんですけど、それでもガタガタ震えながらみんなでおでんを食べたりしていました。

あとは高校の入口に飾ってあった制服の人形のふりをするとか。本当にわけわからないことばっかりなんですけど、僕らは本気でした。(笑)

―学生時代ならではの感じがいいですね。今回は青春という要素もありましたが、成田さんが演じたシマは30歳という設定。実年齢よりも上の役を演じてみて、ご自身の30歳の姿も想像されましたか?

成田さん 5年後ということは、おそらくいろいろなことが急激に変わっていると思うので、明確には言えないですけど、20歳超えたあたりから感じているのは、30歳というのは実はまだまだ若いんだなということです。

なので、友達同士で病気の話ばっかりするのはやめたいなと思っています(笑)。すでに最近もそういう話が増えてきたなと感じているので、もう少し未来を持って生きていきたいですね。

―いまは多忙な毎日だと思いますが、休みの日はどのように過ごしていますか?

成田さん つい寝すぎてしまうので、最近は一回起きたらちゃんと起きようと思っています。なので、「明日これをやるぞ!」と心に決めてから寝るようにしているところです。でも、結局ソファでダラダラしちゃって意味なかったりするんですけどね(笑)。

あと、僕も実践していて働く女性たちにもオススメしたいのは、どんなに疲れていても、お風呂にちゃんと浸かることですね。

―ということは、家で過ごすことが多いのですか?

成田さん 友達と動物園に行ったり、映画を観に行ったりもしますけど、休みの日は基本的に家にいるので、バラエティ番組を見て、そのあとにスーパーに行って買い物して、家でご飯を作る、みたいな感じです。

―お料理はお好きですか?

成田さん 自炊はよくするので、好きですよ。作り置きしたいときはミネストローネとかをまとめて作りますけど、あとはお肉を焼いたりとかですね。

何かを諦めた人の希望になって欲しい

―それでは最後に、作品を通して伝えたい思いをお聞かせください。

成田さん もちろん誰にでも観て欲しいですが、たとえば20代を超えた人だと、何かを諦めたことがある人もいると思うので、そういう人たちには希望の映画として観てもらいたいですね。

一度諦めたあとの“美しさ”みたいな部分がとてもうまく描かれていますし、終わりから始まるものはなんだろうとか、いろんな愛のカタチも見ることができるので、そういう部分が届けばいいなと思います。

インタビューを終えてみて……。

一見クールな印象ですが、青春時代の楽しいエピソードを冗談交じりで聞かせてくださった成田さん。劇中では、さらに大人の色気も感じさせてくれているので、成田さんオススメのライブシーンとともにお見逃しなく!

自分にしか奏でられない未来がある!

心に響く音楽とともに、切ない三角関係に思わず胸が痛くなる青春ストーリー。それぞれの思いを乗せた美しいメロディは、きっと新たな人生の扉を開いてくれるはずです。

ストーリー

ずっと孤独を感じていたハルとレオは、出会った瞬間から心が共鳴し、一緒に音楽を始めるようになる。路上からスタートし、いつしかライブハウスを埋めるまでの人気デュオとなった「ハルレオ」。そんな2人の前に元ホストのシマが現れ、付き人として名乗りを上げる。

ところが、予期せぬ恋心が芽生えてしまったことがきっかけとなり、3人の関係は少しずつこじれてしまう。そして、これからというときにハルとレオが出した答えは解散だった。ついにラストツアーへと向かう3人だったが、事態は思わぬ方向へと転がっていくことに……。

音楽が心に染みる予告編はこちら!

作品情報

『さよならくちびる』
5月31日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー 
配給:ギャガ
© 2019「さよならくちびる」製作委員会
https://gaga.ne.jp/kuchibiru/

ヘアメイク:NOBUKIYO
スタイリスト:伊藤省吾(sitor)

ニット¥96,000/パンツ¥135,000/シューズ¥124,000/以上全てプラダ(プラダ クライアントサービス)/その他スタイリスト私物
衣装問い合わせ先:プラダ クライアントサービス(tel 0120-45-1913)