ドキッとする乳首も… 衝撃の美ヌードを堪能『ルーベンス展』
ルーベンス作品が上野に集結!
【女子的アートナビ】vol. 132
ペーテル・パウル・ルーベンス(1577-1640)は「王の画家にして画家の王」と呼ばれたほどの偉大な画家。しかも、イタリア語やフランス語など5か国語を話し、外交官という顔も持つなどマルチな才能を発揮して大活躍した人です。
『ルーベンス展-バロックの誕生』では、そんな多才な画家の作品約40点が集結。なかには3メートル級の大作もあり、まるでヨーロッパの教会や美術館にいるような迫力の展示を楽しめます。
ルーベンスはイタリア好き♡
この展覧会のテーマは、ルーベンスとイタリアのかかわり。彼はフランドル(現在のベルギー、オランダ、フランスにまたがる地域)のアントウェルペンで育ち、同地で活躍した画家ですが、一時期はイタリアで活動していました。
当時のヨーロッパでは、政治も芸術文化もローマが中心。幼いころから古代文化に親しんでいたルーベンスは、1600年に憧れのイタリアに渡り、宮廷画家をしながらローマの古代遺跡や彫刻、イタリア美術などを研究しました。
会場では、ヴェネツィア派の画家ティツィアーノの絵画をルーベンスが模写した《毛皮を着た若い女性像》など、イタリアの影響を受けた作品も見ることができます。
ルーベンスはヌード好き♡
ところで、展示作品を見ていると、ヌードの絵がとても多いことに気づきます。例えば、英雄ヘラクレスや美しいヴィーナスなど、男女を問わず裸体がいっぱい。
しかも、どの裸も理想的なプロポーションで、男は筋骨隆々、女は豊満な肉体をさらけ出しています。このような絵を描く際、ルーベンスはローマの古代彫刻を参考にしたとのこと。確かに、描かれている裸体は彫刻のような体つきをしています。
会場では、ルーベンスが手本にしたと思われる古代彫刻も一緒に展示。なかには、彫刻とまったく同じポーズの絵もあるので、いろいろ見比べてみるとおもしろいです。
ドキッとする乳首の絵も…
ヘラクレスやヴィーナスなどのヌードを描いた神話画のほかに、寓意画というジャンルの作品もあります。例えば、《ローマの慈愛(キモンとペロ)》は一見するとかなりドキッとする寓意画。若い女性が自分の乳房をつかみ、男性がその乳首を口にしている絵で、内容を知らずに絵だけ見ると戸惑うかもしれません。
この絵は、牢獄で食事も与えられずに死を待つ罪人キモンのもとを訪れた娘ペロが、父に自分の母乳を飲ませて飢えをいやした…という慈愛や親孝行をテーマにした寓意画。ペロは出産直後だったので母乳が出たそうです。
当時のヨーロッパではこの種の絵画が人気だったとのこと。ただ、神話の世界や家族愛というのは表向きのテーマで、実際には若い女性の裸を描いてほしい…という注文主の願望もあったようです。
ほかにも、ルーベンスが描いた巨大な祭壇画や、彼に影響を受けたイタリアの画家たちの作品なども展示。どれも日本ではなかなか見られないものばかりです。
また、長澤まさみさんが語る音声ガイドを利用すれば、作品の背景や神話のストーリーなども紹介してくれるので、より深く絵を理解して楽しむことができます。
芸術の秋にぴったりの見ごたえある展覧会、ぜひ一度足を運んでみては。
Information
会期:~2019年1月20日(日)
時間:9:30~17:30 毎週金・土曜日:9:30~20:00(ただし11月17日は9:30~17:30まで)
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし12月24日、1月14日は開館)、2018年12月28日(金)~2019年1月1日(火)、1月15日(火)
会場:国立西洋美術館
料金:一般¥1,600/大学生¥1,200/高校生¥800/中学生以下無料
展覧会ホームページ: http://www.tbs.co.jp/rubens2018/