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大人になって知った自分のセクシュアリティ。バイセクシュアル当事者の思い|多様な性、LGBTの世界 #5

2017.6.1
建築設計事務所の代表として働いている橋本美穂さん。彼女は現在43歳で、女性のパートナーがいます。男性と結婚し、離婚後、35歳頃に初めて女性と付き合うことになりました。そのときに初めて知った自分のセクシュアリティ、そして ”LGBT” という言葉。認定NPO法人グッド・エイジング・エールズの副代表としても活動している彼女の思いとは……。

”違和感” なく男性と恋愛していたとき。女性と初めて付き合ったときの思い

【多様な性、LGBTの世界】vol. 5

28歳の頃、私は男性と結婚しました。それまでのパートナーは男性ばかり。そこに ”違和感” を覚えることはなかったです。かっこいい女性に憧れを抱くこともありましたが、そういった女性は私以外にもいるのではないかと思います。例えば、学生時代に憧れの同性の先輩がいるように。

32歳になってその男性とは離婚しました。そして、あるときレズビアンの女性と知り合ったのです。共通の友人は、彼女がレズビアンだと知っていました。「いずれわかることだから」と、彼女は私にカミングアウトしてくれました。それから彼女と仲良くなっていき、35歳の頃、パートナーとして付き合うようになったのです。これまで男性と恋愛してきた私は、彼女と付き合うときに自問自答しました。男性が相手である場合、友人以上の感情を持ったら恋愛感情を抱いているのだと認識してきていました。でも、女性が相手である場合はどうなんだろう……。親友や憧れの先輩と何が違うのだろう……。そういった疑問でした。しかし、同性と付き合うことが ”悪いこと” だとは思いませんでした。

彼女と付き合っていくなかで、「好きだったら一緒にいても良いんだ」といった気持ちになっていったのです。これまで男性と恋愛してきた私ですが、この頃初めて自分がバイセクシュアルなのだと自認したのです。”LGBT” という言葉も初めて知りました。世間には、LGBTに対する根強い偏見がある、ということも。

母の言葉を通して知ったこと。”受け入れること” と ”理解すること”は違う

初めて女性と付き合ってから、次の恋愛をするときは男女関係なく恋愛感情を抱くようになりました。LGBTに対する偏見があり、カミングアウトしにくい状況にある方もいるかと思います。しかし私は、自分が親しくしたい人はそうした偏見を持っていないと信じて、そして理解してほしいという思いがあって、カミングアウトしている人もいます。母にも自分のセクシュアリティを話しました。母は、「相手が男性であっても女性であっても関係ないわよね」と言ってくれました。しかし、今思うとこの言葉は私を ”子どもとして受け入れた” ものだったのだと思います。「再婚しないの?」と聞かれることもありました。私が誰を好きになっても、母は否定しませんでした。でも、LGBTに対して理解していたのではなかったのだと思うのです。

女性のパートナーと母と一緒に食事に行き、「男女のカップルと何も変わりないのね」と言ってくれた母。「今の彼女と仲良くね」と言ってくれました。母が ”子どもとして受け入れた” 頃から4、5年経ってからのことです。

さまざまなセクシュアリティが存在するから。私が望んでいる世界の在り方

建築設計の仕事をしていることもあり、女性専用のシェアハウスを作ることを考えていた時期がありました。同じ女性でも多様な立場や世代がいるからこそ、みんなが肩を寄せ合って、自分らしさを発揮しながらお互い助け合って生きていくことが大切だと思ったからです。そんなとき、認定NPO法人グッド・エイジング・エールズと出合いました。「LGBTだから仕方ない」「年を取ったら仕方ない」「今が楽しければ良い」といった考え方を持った当事者もいます。認定NPO法人グッド・エイジング・エールズは、LGBT当事者もそうでない方も、自分らしく生きていける場づくりに取り組んでいます。一緒にみんなが生きやすい社会づくりが出来ればと思い、参加することにしました。みんながいつまでも輝けるような老人ホームを作りたいと思いながら活動しています。

LGBT当事者のなかには、カミングアウトをするかどうかで悩む方もいます。「自分のせいで、言われた方が悩むのではないか」と考えてしまうこともあるのです。「LGBTの理解が深まれば、自分がLGBTだと知られてしまうかもしれない」と悩む方もいます。

LGBTでもそうでなくても、人を好きになったり、愛する人と一緒にいたいと思う気持ちになんら変わりはありません。カミングアウトする、しないでLGBT当事者の生きづらさが変わる世の中から、わざわざセクシュアリティを言わなくても「セクシュアリティは色々あって当たり前」という世の中になれば良いと思っています。

〜LGBTのバトン〜

今回は、橋本美穂さんにお話をうかがいました。
次のお話は、認定NPO法人グッド・エイジング・エールズで唯一「アライ」として活動している、鈴木美樹さん。アライとは、Ally(同盟、盟友、味方)が語源の言葉で、LGBT当事者ではなくても、LGBTを応援したり、支援を行っている人のことをいいます。
LGBTに閉じない、みんなが一緒に笑顔で暮らせる未来を作りたい。"かけ橋"になるような役割になれるのであればと、NPO法人立ち上げからかかわっているその思いをうかがいます。

Information

認定NPO法人グッド・エイジング・エールズ

http://goodagingyells.net/