実は略語でした! 「おなら」、もともとの名は何でしょう?
「おなら」って、なんの略?
人間だけでなく、イヌもネコもパンダもする「おなら」。医療系のさまざまなサイトを見ると、人は1日平均10回前後のおならをしているそうで、臭いの強さなどから腸の健康状態を知ることもできる大切なバロメーターになっています。
そんな「おなら」も、実は略語。さて、いったい何の略でしょう?
おなら、もともとは…?
おならは、「おならし」の略でした!
『日本国語大辞典』によると、「おなら」は「ならす(鳴)」の連用形の名詞化した「ならし」に接頭語「お」のついたものから転じた語、とのこと。
「屁(へ)」を婉曲的にいったもので、もとは女房詞(にょうぼうことば)でした。
令和にも残っている! 女房詞いろいろ
「女房詞」とは、室町時代初期ごろ、御所に仕えていた女房たちによってつくられた隠語のようなもの。宮中で使われる上品で優雅な言葉として、次第に一般の女性たちも使うようになり、現代でも一部が残っています。
女房詞は、言葉の頭に「お」をつけたり、語尾に「もじ」をつけたりしてつくられます。
例えば、水のことを「おひや」といいますが、これも今に残る女房詞のひとつ。
ほかに、おむすび、おかか、おかき、おはぎなども女房詞です。
ちなみに、「おかき」は欠き餅、「おはぎ」は萩餅(はぎのもち)の略に「お」をつけたものです。
また、語尾に「もじ」をつけるバージョンの例は、「しゃもじ」。もともとは「杓子(しゃくし)」を略した「しゃ」に「もじ」をつけた女房詞です。
ほかにも「おすもじ」という女房詞がありますが、この意味はわかりますか?
正解は、「鮨(すし)」を丁寧にした言葉。今ではほとんど知られていませんが、川端康成の小説などでも使われていました。
おならは略語でした!
おならは「おならし」の略でした。言葉の由来を調べると、室町のころから使われていたこともわかりました。
確かに、今でも「屁」というより、「おなら」のほうが上品ですよね。宮中のご婦人が使っていたと思うと、「おなら」という言葉もちょっとセレブな感じがしますね。
意外な略語はほかにもあります。次回もお楽しみに!
参考資料
・『日本大百科全書(ニッポニカ)』(小学館)
・『日本国語大辞典』(小学館)