誰かによりそうことが自分を育てる。トルコ、ウクライナの今と、私たちが知りたいこと、できること。

文:田代わこ PR:日本赤十字社 — 2023.4.24〔PR〕
身の回りに、世界中に、助けを求めている人がいるのはわかっていても、行動に移せない人がほとんどではないでしょうか。社会貢献したいのに、一歩が踏み出せない。でも、ちょっとひっかかっている。気になっているトルコ・シリアのこと、ウクライナのこと…まずは知ることで、少しモヤモヤを晴らすことができるかも。現場に行った日本赤十字社の方にお話をうかがいました。

私たちが知りたいこと、できること

いろいろと忙しい毎日、世の中のニュースは気になりつつも、スルーしてきた人も多いはず。でも、見て見ぬふりをすると、なにかモヤモヤが残ります。本当は何かしたい。誰かを助けたい。社会の役に立つことで自分を成長させたい。だけど、日々の生活で手一杯だから無理だよね、とあきらめていたみなさん、今の私たちにできることを探してみませんか? 
まずは、社会を見つめ、国内外で起きていることを知るのが第一歩。今、気になるトピックスについて、最前線で活動する日本赤十字社の方にお聞きしました!


日本赤十字社とは?

日本赤十字社とは、国内外における災害救護をはじめ、献血者の受け入れや赤十字病院の運営など、「苦しんでいる人を救うため」に365日動き続けています。


今私たちが気になること その1:トルコ・シリア地震

倒壊した家屋近くに並べられたアルバムや本 (C) トルコ赤新月社

倒壊した家屋近くに並べられたアルバムや本 ©トルコ赤新月社


まずは、2023年2月6日に発生したトルコ・シリア地震について、日本赤十字社 国際部のツジタさんとホウバラさんにお聞きしました。

―――最新の被災地の様子を教えてください。

ツジタさん まだ多くの方が厳しい避難生活をしています。その理由は、多くの建物が倒れてしまったので、住めない状態が続いているからなのです。強い余震も起きているため、崩れてくるという不安もあります。また、街の機能やインフラシステムが崩壊しているので、店も十分になく、水も食べ物もなく、生活が再建できない状態です。

避難所の形も日本とは違い、規模が小さくご近所同士が数世帯で集まっているところも多くあります。耐震構造が弱く、大きな施設が壊れてしまったため、日本の体育館のような安全な場所が少ないのです。

また、シリアは12年も内戦が続き、地震の前からインフラが壊され、病院の50パーセントが機能していません。内戦に加えて地震が起きたので、復興に向けて難しい現状があります。全力で支援をしていますが、残念ながら政治的に中立な赤十字(シリア赤新月社)でも入れない地域がシリアにはあります。

――ホウバラさんは、トルコで1か月ほど支援活動をされたそうですが、現地はどんな状況でしたか?

ホウバラさん 最初に被災地を訪れたのは、地震発生から2週間ほどのころで、まだ粉塵が舞い、被災者の方々もテントで生活されていました。現地では、トルコ赤新月社(トルコの赤十字)のスタッフとボランティアと一緒に支援活動をしましたが、彼ら・彼女らのなかにも、家族や友人など身近な方々が被害にあっている人もいて、みな心を痛めながら活動をしていました。

――anan読者と同世代の若い女性たちは、どんな生活をされていますか?

ホウバラさん ひとつ驚いたのは、トルコ全土から、若い女性の方々がボランティア活動に加わりたいと被災地に入ってきたことです。彼女たちは、「女性だからわかることもあると思うし、何かしたかった」と話していました。

巡回診療で山間部の村に訪問したとき、すごく若い女性のドクターや看護師さんが活動されていました。山間部では、20代で子どもを育てている女性も多いのですが、小児科の女性ドクターが、被災して苦しんでいる若いお母さんたちの相談にのり、母子のケアをしていたのです。女性同士だから助け合えることもあると思います。


被災者へ食事を提供するトルコ赤新月社 (C) トルコ赤新月社

被災者へ食事を提供するトルコ赤新月社 ©トルコ赤新月社


――大きな災害時には治安が乱れることもありますが、ホウバラさんは女性スタッフとして活動されて、危険な思いはされませんでしたか?

ホウバラさん 現地では、女性がひとりで活動する形ではなく、チームになって動いていますし、安全は確保されていました。また、日本とトルコは歴史的に長い接点があり、親日家の方も多くいます。同じ災害大国としても親近感をもたれていて、災害対応など日本から学びたいと声をかけてくれる方もいました。

――今、現地では何が必要とされていますか?

ホウバラさん 被災直後は、モノの支援が必要でしたが、だんだん現金での支援を必要としている状況に変わってきています。被災者のなかには、被災地域から都心部に避難されている方もいますが、物価が高く、アパートを借りるにしても費用がかかります。また、被災地にとどまる方も、震災で仕事がなくなり、当面の間の生活を維持するための現金給付が必要になってきています。

――私たちは今、トルコ・シリアのために何ができますか?

ホウバラさん 被災者をサポートする私たちの活動は、日本のみなさんからいただいた寄付で成り立っています。日本での報道は、少なくなってきていますが、被災者の生活は続いています。必要な人々が支援を受けられるよう、みなさんにも関心を持ち続けて、思いを寄せていただければと思います。


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今私たちが気になること その2:ウクライナ人道危機

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街灯がついていない夜道 ©日本赤十字社


続いて、日本赤十字社 国際部のヤタさんに、ウクライナ人道危機についてうかがいました。

――ヤタさんも女性スタッフとしてウクライナで活動されていたそうですが、現在の現地の様子を教えていただけますか。

ヤタさん 私は2022年の5月から6月と、2023年の1月から2月まで、ウクライナに滞在しました。現在もなお戦闘状態が続き、多くの人たちが避難している状況です。

2月に行ったときは、インフラが攻撃されて停電が発生し、夕方5時半なのに真っ暗で、外に出るのも危ない状況でした。雪が降り、気温がマイナス20度になっても電気や暖房もなく、多くの方が非常に厳しい状況のなかで暮らしていました。

――ロシアの軍事侵攻から1年がたちましたが、現地の人はどんな様子でしたか?

ヤタさん 現地の方々は、今後に対する不安を抱えながらも、日々懸命に生きなければならない状況です。戦闘がいつまで続くかわからないなかでも、住む場所や仕事、学校をどうするか、決めなければなりません。心が今にも壊れそうな状態で、人々は選択を迫られているのです。


避難所内で実施する巡回診療の様子

避難所内で実施する巡回診療の様子 ©日本赤十字社


――アラサー世代の女性たちは、どんな生活をしているのですか?

ヤタさん 避難民の9割は女性や子どもで、生後間もない赤ちゃんを連れて見知らぬ土地に逃げている女性も多くいます。

また、恋愛や結婚ですら、武力紛争によって大きな決断を迫られています。

現地で一緒に働いていたウクライナ赤十字社の若い男性スタッフが、あるとき「明日、結婚する」というので、おめでたい話と思ったら、実はそれだけではありませんでした。徴兵されるかもしれないので、もし亡くなっても、財産や家を彼女に残せるよう籍を入れた、というのです。非常にショッキングでした。

――今、現地では何が必要とされていますか?

ヤタさん 今もなお、物資や食料支援、現金給付など、基本的な人道支援は必要です。また、心のケアも重要で、この先、中長期的に心と体の健康を取り戻していく支援が必要になってくると思います。

日本赤十字社は、みなさんからいただいた寄付を、国際赤十字を通じた多岐にわたる支援活動と、日本赤十字社とウクライナ赤十字社が協力して実施していく事業にあてています。特に日本赤十字社は病院を持っていることから、強みをもつ保健医療の分野でも、中長期的支援をしています。

――日本に住む私たちは、今、ウクライナのために何ができますか?

ヤタさん 日本では関心が薄くなっていると感じています。でも、ウクライナはまだ武力紛争が続き、人道危機が存在しています。そこをまず忘れないでいただきたいです。ウクライナにも、anan読者のみなさんと同じ世代の女性たちが暮らしていて、一人ひとり恋人や家族がいて、ストーリーがあります。ぜひ、そこに思いをはせていただけたらうれしいです。


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今私たちが気になること その3:災害への備え

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救護班要員研修の様子 ©日本赤十字社


続いて、日本赤十字社 救護・福祉部のワタナベさんと、ドヒさんに災害への備えについて教えていただきました。

――普段、災害に備えて日本赤十字社ではどんな活動をされていますか?

ワタナベさん 大きく3つあり、1つ目が救護班要員等の研修・訓練です。災害発生時に救護活動が迅速に実施できるよう、医師や看護師などの医療職や事務職を対象に養成をしています。

2つ目は、被災者へ配布するための毛布などの救援物資の備蓄及び救護資機材の整備。3つ目は、災害発生時に連携した救護活動が実施できるよう行政や企業、NGOなどとの関係の構築に取り組んでいます。

――救援物資を備蓄する倉庫もあるそうですが、どんなものが備蓄されていますか? 

ワタナベさん 毛布のほかにマット、アイマスク、枕などが入った安眠セットや、歯ブラシ、スリッパ、懐中電灯などの入った緊急セットを全社的な救援物資として本社や各都道府県支部の救護倉庫に備蓄しています。この他に、下着セットやブルーシートなども各都道府県支部の判断で備蓄しています。

――常に災害の危険性がある国と言われている日本ですが、「災害への備え」として、個人が日頃からしておくべきことは何ですか?

ドヒさん 「自助」と「共助」を高めることが大切です。

自助で一番簡単にイメージしやすいことは、備蓄ではないでしょうか。生理用品のように必要なものは自分で備えるのが重要です。

避難所では感染対策も必要なので、消毒剤やマスクも備えておくと安心です。非常用持ち出し袋は、いつも見える場所に置きましょう。

また、寝ているとき地震にあう可能性も考えた家の安全対策をしましょう。「ベッドのそばに倒れるタンスがないか」のように具体的な危険をイメージすれば、対策しやすいですね。


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非常持ち出し品の準備リスト ©日本赤十字社


――「共助」はどうすればよいですか? 例えば、一人暮らしの若い女性は、地域の人と接点を持ちづらいと思います。

ドヒさん 例を挙げますと、避難した住民同士が協力して炊き出しをしたことがあります。この取り組みのきっかけは、今の皆さんと同じように「できることを探す」というような自発的な気持ちではないでしょうか。ただ、いきなり災害時に地域で助け合うのは難しいので、日ごろのコミュニケーションが必要です。まずは、隣にどんな人が住んでいるのか、お互いを知ることから始めてはいかがでしょうか。


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今私たちが気になること その4:ボランティア活動

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熊本県支部所属ボランティアによる防災教育の様子(青年赤十字奉仕団、地域赤十字奉仕団)©日本赤十字社


最後に、日本赤十字社 パートナーシップ推進部のイシグロさんに、ボランティア活動についてお聞きしました。

――日本赤十字社のボランティア活動について、教えていただけますか。

イシグロさん 国内では約114万人が登録し、奉仕団(グループ)や個人で活動しています。anan読者と同世代の方たちが多く活動しているのは、青年赤十字奉仕団や特殊赤十字奉仕団、また個人ボランティアの方々ですね。

――具体的に、どんな活動をされていますか?

イシグロさん 例えば、特殊赤十字奉仕団は、英語や写真撮影、救急法等の技術や知識を生かして活動していて、年代は様々です。

赤十字ボランティアは皆さん、研修を受けた後、周囲のお困りごとに対して活動したり、血液事業や救急法講習等の赤十字の事業にちなんだ活動をするなど様々な活動を行っています。例えば、先ほどの「災害への備え」であれば、日常における地域の防災訓練での炊き出しや子どもに対する防災教育、災害時であれば避難所運営支援や泥かき、ボランティア支援等の活動をしています。

様々な活動がありますが、どれも赤十字の理念に沿った活動です。


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世界の赤十字社との国際交流の際は、赤十字語学奉仕団が活躍している ©日本赤十字社


――ボランティアに興味があっても、忙しくて時間をとれない人がいると思います。スキマ時間に活動することもできますか?

イシグロさん もちろんです。anan読者世代の奉仕団員のなかには、子育てや仕事で忙しい方もいます。そんな方は、各都道府県にある日赤の支部や奉仕団の仲間と相談し、無理のない活動を続けています。仕事や家事のスキマ時間にできるからこそ、継続できてやりがいや生きがいにつながると思います。

――赤十字社のボランティア活動は、出会いがあったり仲間ができたりしますか?

イシグロさん ボランティアは、職場でも家庭でもないところで同じ興味関心をもった仲間と一緒に楽しく活動するのが醍醐味。どの活動に参加しても、きっと自分の考え方にフィットした仲間が得られると思います。

また、ボーダレスな活動もできます。赤十字は世界各地にあり、イベントも企画しているので、世界の赤十字ボランティアとつながる機会もありますし、大きな災害や紛争などに対して、海外救援金の協力を呼び掛ける等、日本国内にいながら海外を支援する活動にも参加できます。

――ボランティアに参加したい場合、どうすればよいですか?

イシグロさん お住いの都道府県にある支部にご連絡いただければ、担当者が相談にのります。また、一部の奉仕団ではSNSでもコンタクトがとれます。ぜひ、anan読者のみなさまに、参加していただきたいです。


誰かのために動いて自分も幸せに!

慌ただしい毎日でも、ちょっと社会を見つめてアクションすることはできるはず。誰かのために動くと、自分の心も満たされ、ハッピーな気分になれます。私たちが今できること、探してみませんか。


日本赤十字社の活動をもっと知るなら!「SAVE365Magazine」

日本赤十字社の活動をもっと知るなら! byマガジンハウス

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