不動産会社の経営者が教える! 家を買う前に「絶対やってはいけないこと」4選

文・高倉優子 — 2023.3.11 — Page 1/2
家を買うと決めたとき、深く考えずにやってしまったことや過去の行動のせいで、いい物件を逃してしまう可能性があります。最良の物件を見つけるためにも、家を買う準備段階で「やってはいけないこと」を絶対に知っておくべき! 『持ち家女子はじめます』(飛鳥新社)の著書であり、5000人超の女性たちの「幸せになれる家選び」をサポートしてきた「ことり不動産」代表の石岡茜さんに、アドバイスしてもらいました。

1. スペック重視で探してはいけない

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家を買うと決めた人が真っ先にやること。それは「○○平米以上」「駅徒歩○分」「○○区」「○○住宅(有名住宅メーカー)」といったスペックやブランドを重視して検索することだと思います。ですがあえて私は「スペック重視はやめてください」とお伝えしたいです。家探しは「自分探し」と同じ。一般的に人気のスペックより、自分にとっての優先順位を明確にすることが大切なのです。まず、自分がその家でどんな過ごし方をしているのか、何をしているときが幸せだと思うのか想像することから始めましょう。

たとえばヨガインストラクターをしている、あるお客様は「ヨガレッスンを撮影して配信できる家」というのがご希望でした。「動画を撮影するために広く開放的なリビングが必要」というのが最優先事項。そのためなら「寝室は狭くてもいい」「動画に映り込まないようにカウンターキッチンは不要」「駅から多少離れていてもいい」など、おのずと妥協点が見つかり、最終的に理想的な物件と出合うことができました。スペックのいい家が自分にとって最適な家とは限りません。ライフスタイル、職業、趣味などによって「いい家」の条件は変わるのです。

2. すぐに新築モデルルームを見に行かない

これも「家の購入あるある」なのですが、何気なく新築マンションのモデルルームへ内見に行き、「素敵!」と舞い上がって即決してしまう方がじつはとても多いのです。モデルルームは、リビング、バスルーム、キッチン、ベランダに至るまでオプションをつけた高級仕様に変更されていたり、ブランド家具や観葉植物などで飾られていたりとホテルのようなラクジュアリーな雰囲気になっています。「こんな豪華な部屋が手に入るんだ」と勘違いしてはいけません。そのまま買えるわけではないのです。

またモデルルームを見て即購入したけれど、通勤や帰省に不便な場所だったり、土地に対する権利が借地である「一般定期借地権」だったりと、不利な条件であることも。予算や住みたい街、家に求める優先順位が決まらないうちに、見切り発車でモデルルームの内見に行かないように気をつけてください。

3. 諸経費のパーセンテージを知らずにいること

家を買うときにかかる諸経費について知らないと損をします。たとえば新婚のご夫婦など、ふたりで暮らすのにちょうどいい50平米の家を買ったものの、お子さんが生まれて手狭になり70平米の家に買い替えるというのはよくある話です。人が引っ越したい、住み替えたいと考えるは「広さの確保」が最大の理由なのです。

ただし物件を買うときは購入額の約5~7%、売る時は販売額の約4~5%の諸経費が必要となるため、短期間で買い替えるのは非常にもったいないです。たかが数%と侮るなかれ。金額が高い分、損失も大きくなるのです。予算を組むときは諸経費のことも頭に入れておいてほしいですね。

4. 他のローンを組まないこと

過去に組んだローンのせいで家が買えなくなってしまうことがあります。たとえば若い女性に多いのがワンルーム投資です。「賃料収入があれば将来、安心ですよ」という言葉に惑わされ、知識がないのに手を出してしまうのは絶対にNGです。住宅ローンを借りるためには、年収から算出される「融資上限金額(借入可能額)」というものがあります。投資用不動産を買うために上限まで借りてしまっている場合、住居用の家が買いたいと思ってもそれ以上の借入はできないため諦めることになってしまうのです。

また賃料や、クレジットや金融機関等の契約、奨学金の返済などを滞納したことでブラックリストに載ってしまい、ローンの審査に落ちてしまう方がとても多いです。「たったそれだけのことで?」と思うかもしれませんが、現実は厳しいのです。さらに盲点となるのは、夫婦名義の家を買う場合。ご夫婦のどちらか一人でもブラックリストに載っているとローンが組めなくなる可能性があり、夫婦関係にヒビが入ってしまう原因にもなりかねません。

こういったことを避けるためにも、簡単に他のローンを組まないこと、支払い等を延滞しないことを心がけてほしいですね。また、自分がブラックリストに載っているかどうかは、各信用情報機関の本人開示制度を利用して調べることができるので、心配な方はチェックしておくといいでしょう。

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教えてくれた人
石岡茜さん。2013年に「女性のための不動産会社を作りたい」と、東京・学芸大学に「ことり不動産」を設立。女性ならではの細やかな視点と「幸せな家選び」をモットーに、物件選びをサポートしている。宅地建物取引士。著書に『持ち家女子はじめます』(飛鳥新社)がある。
https://www.cotorire.com/

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