不倫夫が病におかされ…結婚9年目で妻が下した「冷酷な決断」【後編】

不倫夫が病におかされ…結婚9年目で妻が下した「冷酷な決断」【後編】

文・並木まき — 2023.1.1
2年間の同棲生活と9年間の結婚生活の間、ずっと夫の浮気症に悩んできたという果穂さん(仮名)。夫にもっともダメージを与えられるタイミングでの制裁を考えるようになっていた果穂さんは、39歳のときについに行動に移しました。メンタル心理カウンセラーの並木まきが、30代女性が不倫夫に下した制裁にまつわるエピソードをご紹介します。

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結婚9年目…ついに妻は夫に制裁を下す

「結婚9年目、私が39歳のときに夫が病気になったんです。すぐに命に別状があるほど深刻ではなかったものの、それまでの不摂生な生活がたたったのか、医師からはお酒や夜遊びも控えるように、という指導があったようです。

普段は威勢のいい夫でしたが、自分が体を壊したことでさすがにこたえたのか、パタッと不倫をしなくなりました。それどころか仕事のとき以外はずっと家にいるようになって、なんでも私に頼るような感じになってしまったんです」

これまでずっと夫の不倫に耐えていた果穂さんは、離婚をするなら今じゃないかと行動に移すことに。体を壊し、弱気になっている夫を見捨てることに多少の罪悪感はあったそうですが、それ以上に11年間にわたって浮気や不倫を繰り返し、自分を裏切り続けてきた夫への嫌悪感と憎悪のほうが強かったと振り返ります。

「我ながら、よく行動に移したなって感じでした。これまで家事をひとつもしてこなかった夫は、自分で簡単な料理を作ることもできなければ、洗濯機を回すことすら危うい感じの人。病気で弱気になってからは、健康オタクのように食べ物や生活習慣に気を遣うようになっていましたが、それもほとんどが私任せで、自分は希望を言うだけで動こうとしないから、そういう夫の態度にも苛立ちが募っていましたね。
それで、今私がこの家から去ったら夫に大きなダメージを与えられるだろうなと思い、離婚に向けて動き出すことにしました」

黙って家を出て、弁護士を通じて離婚を申し出た妻

「夫と離婚するのは一筋縄ではいかないとわかっていたので、あらかじめ弁護士にも相談をして進めました。これまでの不倫の証拠も集めていたので、いざとなったらそれを出せば離婚を認められるんじゃないかという弁護士の見解もあり、安心して進めることができましたね。

自分の中で決めていた日に家を出て、全ての話し合いを弁護士に一任し、半年後に離婚が成立しました。もちろん、不倫の慰謝料ももらいましたし、法律に基づいた財産分与もしっかりとやりました」

そして今、果穂さんは不倫夫に苦しめられていた毎日が嘘のように、毎日を晴れ晴れとした気持ちで過ごせているそう。「あのとき、勇気を出して行動して本当によかった。あのときを逃していたら、まだ離婚できずにいたかもしれませんから」と言います。

「私のことを冷たいと言う人もいるかもしれませんが、何年にもわたって夫は私を裏切っていたわけですから。今の夫は昔よりも年齢を重ねていますし、体のこともあるから再婚相手を探すのも難しいでしょうね。

でも、そういうときに彼と別れないと、不倫相手の誰かと簡単に再婚してしまって、私の苦しみを想像する時間すらないんじゃないかと思ったんです。あのタイミングで離婚をしたことに後悔はありません」


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愛情を向けていた相手に裏切られ続ければ憎悪の感情が高まり、離婚へと発展することもあるでしょう。果穂さんのように、時期を見計らって行動に移すことで、不倫したパートナーへの強い制裁になるケースもあるようです。

©aire images/monzenmachi/gettyimages