ラージャマウリ監督、NTR Jr.、ラーム・チャラン、『RRR』巨頭対談が実現…本音がぽろり!

写真・泉山美代子 文・尹 秀姫 — 2022.10.31 — Page 1/2
現在絶賛公開中の映画『RRR』の舞台挨拶のため、S・S・ラージャマウリ監督とビーム役のNTR Jr.さん、ラーマ役のラーム・チャランさんが来日。忙しい舞台挨拶の合間を縫ってインタビューさせていただきました!

監督と主演2名の貴重なインタビューが実現!


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左から、NTR Jr.、ラージャマウリ監督、ラーム・チャラン。


−−舞台挨拶で日本のファンのみなさんとお会いしていかがでしたか? 

ラージャマウリ監督 以前に『バーフバリ』シリーズで来日した時も感じたことなのですが、みなさんの驚くほどの愛と熱量には毎回圧倒されます。本編をご覧になった後のみなさんのリアクションを見ていると、私の映画をよく理解してくださって、とても気に入ってくださったんだろうなというのが感じられてうれしいです。

NTR Jr. 私とチャランさんは日本に来るのは初めてだったので、初めて訪れる国で、それも単に観光で来たのではなく現地のファンの方と会うというのは、正直少し怖いところがありました。けれど、実際にファンの方と対面してみると、監督から話には聞いてはいたのですが、いい意味でショックを受けました。

日本のファンのみなさんの反応が、本当に自分が外国にいるとは思えないくらい熱かったんです。インドのファンと比べて勝るとも劣らない、愛情の大きさは勝っていたかもしれませんが、本当にあたたかくて、謙虚さを感じるものでした。この経験は国に大事に持ち帰って、永遠に語り継ぎたいと思います。


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ラージャマウリ監督


−−舞台挨拶で日本のファンが『RRR』に熱狂する様子を直接、目の当たりにされたということですね。

ラージャマウリ監督 『バーフバリ』シリーズと今回の『RRR』の公開はちょうどコロナ前と後という時期にあたり、作品に求められるものも少し異なっていたのではないかと思います。みなさんが何か大きなアクションを求めていたところ、『RRR』はそういったニーズにまさにぴったりな作品だったんじゃないでしょうか。

私がこの作品のテーマとして掲げていたことは2つあって、1つは世界中で共鳴するであろう友情です。これに関してはおそらく言語を越えて人に伝わるものであって、地域や文化といったものを超えて人々がつながれる、共感をもてることだと思います。

2つ目は、人々を搾取したり抑圧する権力への抵抗です。インドの場合は植民地であったことで長年苦しめられていました。どの国にもそういった権力の下で苦しんだ時期があると思いますし、だからこそ日本でも多くの方に響くのではないかと思います。


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ラーム・チャラン


−−監督は以前にも日本に来られていますが、NTR Jr.さん、ラーム・チャランさんは今回が初来日です。来日中に面白い出来事はありましたか?

ラージャマウリ監督 前回の来日では日本のオーディエンスのみなさんの反応に圧倒されました。『バーフバリ』が世界中で愛され、韓国、ヨーロッパ、アフリカを映画祭などでまわり、もちろんどの国でも受け入れていただきましたけれど、日本での受け入れ方は他とはまったく別格だったんです。

これに関しては説明しても理解されないと思うので、実際に体験してもらうのが一番だと思って、今回はこの2人を日本に連れてきました。舞台挨拶ではファンのみなさんのことも見つつ、ひそかに2人を観察していたのですが、もうあと1~2分ファンのみなさんと過ごす時間が長かったら、絶対に泣いていたでしょうね(笑)。

ラーム・チャラン そうですね。特に川崎チネチッタで前列のほうに座っていらっしゃった方は、マスクをしていても目を押さえていらっしゃるのが見えて、感じるものがありました。私も日本に来る前に『バーフバリ』シリーズで監督が来日された時のことをいろいろ聞いていましたが、やはり自分の目で実際にそういったファンの方の姿を見ると本当に心に響くものがあって、もう少しあの場にいたら、私もきっともらい泣きしていたと思います。


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ラーム・チャラン


−−お2人にとって『RRR』はどんな作品ですか? 印象深いシーンやポイント、撮影中の出来事があれば教えてください。

ラーム・チャラン この映画の中でもっとも美しいと思うのは、ビームとラーマはおたがいの存在なくしては成立しないということです。ラーマはビームがいなければ自分の使命を全うできなかったでしょうし、それはビームにとっても同じことですよね。おたがいに必要不可欠な存在であり、おたがいに補い合うことができるという点が美しいと思います。

NTR Jr. 私にとって『RRR』は作品そのものが本当に思い出深く、それだけ特別な経験だったので、何かひとつを選ぶというのはとても難しいですね。私とラームは実際にも長年の友人で、ラージャマウリ監督ともそれぞれ一緒に長く仕事しています。

俳優という職業はさまざまな調整を必要とするものですが、ラージャマウリ監督はいつも大きな課題を投げかけてくれるので毎回必ず驚かされますし、私としては逆に「次は何が来るのかな?」と楽しみにしているところがあります。試されてるな、という感じですね(笑)。

このビームという役柄は、純真な子どものようである一方、傷つきやすい側面ももっています。自分の領域であるジャングルでは堂々としているけれど、一歩町に出るとどうしていいかわからない、というところがありますよね。今のような時代に、ビームみたいにナイーブで純真な人物はなかなかいないと思うんですよ。

なので、このビームという役を演じるにあたっては監督の色に染まるというか、期待に応えるということを念頭に置きました。そしてラージャマウリ監督は、いつも私たち俳優が役に近づこうとするのを助けてくれる人です。


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NTR Jr.


−−長年の友人であるお2人だけが知っているおたがいのいいところ、ウィークポイントがあれば教えてください。

NTR Jr. チャランさんは共演者としては相手役をサポートしてくれる、本当に素晴らしい俳優だと思いますが、私が演技をしている時はしょっちゅうからかってきて、集中を妨げてきます(笑)。それで監督に文句を言っても、監督は何もしてくれないんですよ!

ラーム・チャラン タラク(NTR Jr.さんの愛称)のいいところは、一緒にインタビューを受けていると僕が答える必要がないところ(笑)。僕と監督への質問も彼が一人で答えてくれるからすごく楽ですね。

NTR Jr. いや、それはだって君が…。

ラーム・チャラン そして先ほど僕に対して言っていた、撮影中に邪魔をするというのは彼こそが僕にやっていることなんですよ。

NTR Jr. これに関しては、どっちが正しいかはラージャマウリ監督に聞いてみたらわかると思いますよ。

ラーム・チャラン ほらね、見たでしょう? 僕への質問なのに、彼が答えようとしていますよね(笑)。


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NTR Jr.と、監督!


−−監督、正しいのはどちらですか?

ラージャマウリ監督 2人とも私の撮影の邪魔をしてました(笑)。

舞台挨拶の合間に行われたせわしないインタビューにも関わらず、お三方ともにこやかに答えてくれました。実際にも長年の友人なだけあって、最後にはおたがいのインタビューの答えに茶々を入れ合い、そんな2人をラージャマウリ監督があたたかく見守る、という構図が印象的。その後も和気あいあいとした雰囲気で撮影が行われ、ananweb恒例のスペシャルショットもバッチリいただきました!


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Information

映画『RRR』
1920年、イギリスの植民地下にあったインドで2人の男が出会う。英国軍にさらわれた少女を救おうとジャングルからやってきたビーム、そして英国政府の警察となり周囲に自分を偽りながら密かに自らの大義を果たそうとするラーマ。2人の男の友情と戦いを、『バーフバリ 伝説誕生』『バーフバリ 王の凱旋』の二部作で世界に旋風を巻き起こしたS・S・ラージャマウリ監督が熱く描く。

監督・脚本:S.S.ラージャマウリ 
原案:V.ヴィジャエーンドラ・プラサード 
音楽:M.M.キーラヴァ―二 
出演:NTR Jr./ラーム・チャラン

原題:RRR/2021年/インド/テルグ語、英語ほか/シネスコ/5.1ch
日本語字幕:藤井美佳/字幕監修:山田桂子 応援:インド大使館 配給:ツイン

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