“慰謝料を払うなら離婚しない”… 30代妻を苦しめた「不倫夫が迎えた地獄の結末」【後編】

文・並木まき — 2022.8.21
夫との離婚協議中に、夫の浮気を知ったという30代の絵里さん(仮名)。モラハラや浪費癖を理由に夫との離婚を望んでいましたが、浮気を知ってしまった以上は慰謝料を請求したいと、改めて夫と離婚条件を詰めることにしたそうです。しかし誠意のない夫の対応に苦しめられ、離婚協議はドロ沼へと向かってしまったのだとか。メンタル心理カウンセラーの並木まきが離婚協議がドロ沼に向かった女性のエピソードをご紹介します。

「慰謝料を払うなら離婚しない」と開き直る夫

夫の浮気を知った絵里さんは、夫に対して「慰謝料も支払ってもらいたい」と請求したものの夫は拒否。さらには「慰謝料を払って離婚するくらいなら、離婚はしない」と開き直り、これまで進んでいた離婚協議の内容もすべて白紙に戻ってしまいました。

「ただでさえモラハラ、浪費癖がイヤで離婚したいと思っていた相手ですから、浮気まで知ってしまった私は、もはやどうにかして早く離婚したいという気持ちでしたね。それでも夫が慰謝料を渋って支払おうとしないので、仕方がないので浮気の証拠を集めなくてはならなくなったんです」

協議離婚で済ませたかった絵里さんですが、夫が慰謝料の支払いを渋ったことにより話し合いが難航したため、一人で対処するには限界だと思い弁護士に相談。すると弁護士からは「調停や裁判となれば証拠が必要なので、浮気の証拠は早めに集めておいてください」と言われたそうです。しかし、すでに絵里さんは夫に「浮気を知っている」と告げてしまっていたので、夫も証拠を残さないようにしており、この時点では浮気の証拠を集めるのも一苦労だったと振り返ります。

弁護士費用に探偵への支払い… お金がどんどん減っていく

「当初は夫婦間の協議離婚で終わらせられるはずが、浮気発覚後は夫が慰謝料を渋ったせいで、こちら側の出費が増えました。弁護士費用に数十万、さらに浮気の証拠をとるために探偵を依頼しなくてはならなくなり、そこにも数十万円。
浮気によって請求できる慰謝料が150万円くらいと見ていたので、出費が増えるほど何のためにやっているのかわからなくなることもありました」

それでも、浮気の慰謝料をゼロにしたくない心情から戦い続けたという絵里さん。最終的には探偵が撮影した浮気の証拠写真が夫を観念させたようで、調停や裁判へと進むことなく協議離婚が成立しました。最初の離婚の話し合いから1年2か月もの時間がかかったとのことでした。

「離婚の話し合いを始めた当初は、まさかこんなに時間がかかるなんて思ってもみなかったです。しかし浮気をされていた悔しさもあり、慰謝料をもらわないで別れるという選択肢は私にはありませんでした。手間もお金もかかりましたけど、私を裏切り続けていた夫への制裁になったと思っていますし、今ではきちんと離婚も成立したのでホッとしています。
離婚の話を始める前に、夫が浮気をしていないか念のため調べておけばよかったという点は今でも悔やみますね。最初から浮気を知っていれば、もっと計画的に話し合いを進めることができたと思うし、余計な労力もかからなくてすんだのではないかと思っています」


離婚協議中明らかになった「夫の隠していた真実」とは… 前編に続きます



離婚協議中に浮気が判明するなどの新たな事情が加われば、そこから話し合いが難航してしまうこともあるのでしょう。ドロ沼の離婚協議は、心も体も疲弊します。一度は夫婦になった縁のある二人ですから、できれば離婚のときにも相手を尊重した話し合いができればいいのですが、現実にはそうはいかない例が多いのかもしれません。

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