もはや病院送り寸前の状態に… 30歳女性が追いつめられた「セクハラ上司の実態」【後編】
「調子に乗りやがって」と職場でイジメを始めた上司
上司にホテルに無理やり連れ込まれそうになったところを、必死で逃げた繭香さん。その日以降、セクハラ上司からは「俺と寝ようぜ」というセクハラに加え、あからさまなイジメも始まったのだそう…。
「その上司はみんなの前でわざと大声で私を怒ってきたり、“枕営業をしている”という噂を前提にして『今日はA社と寝てくるのか?』などという酷い言葉を浴びせてくるようになりました。
もともと私は、職場の人たちとベッタリとした人間関係を築くことを避けてきたこともあり、こういう状況になっても真剣に相談できる相手が社内におらず…。もはや会社に行くのすら嫌になっていましたが、仕事のためと割り切って無理やり出社していました」
不眠、食欲不振、体重減少にめまい… 体が悲鳴を上げ始めた
そんな過酷な環境で仕事をしていたせいで、繭香さんはしばらくして深刻な体調不良を抱えるように。
不眠、食欲不振、体重減少にめまい…と、日常生活を送るのもやっとという状態になってしまったと言います。さらに、その状況に耐えかねて病院へ行くと、「少し休養したほうがいい」と医師に勧められたそうです。
「メンタルも体もボロボロになって、私自身も休養が必要だと判断したので、それからすぐに会社を辞めました。本当はその会社で頑張って、その先には独立することを考えていたので辞めたくなかったのですが、やむを得なかったです。
半年ほどは体調もすぐれませんでしたが、最近になってやっと体重も戻り、夜もしっかり眠れるようになりました」
体調回復後に繭香さんは別の会社に就職。今度の会社では営業職ではなく、経理として採用されたとのことです。
「面接の際に、過去のセクハラとパワハラについて話したんです。すると、転職先の担当者が同情してくれて、本当は営業職で応募していたのですが、しばらくは経理で働いて、心と体が元気になったら営業をやればいいと言ってくれて。
おかげさまで今は毎日楽しく働けていますし、前の職場と違って、何でも話せる風通しのいい環境なので、変な噂や派閥もなく安心して仕事することができています」
繭香さんはセクハラ上司がいた会社を退社して休養後、転職をしたことで、現在は幸せに暮らしているそうです。
なお、セクハラやパワハラをする人は、残念ながらまだ存在するようですが、男女雇用機会均等法で企業はセクハラ対策を行う義務があると定められています。また、会社だけでなく周囲がそういった行為を許さない雰囲気を作ることも大事ですし、思い悩んだときはそこで無理をするのではなく、繭香さんの新しい職場のように風通しのいい環境に移動することも大切でしょう。
さらに、今回のケースのように社内に相談することができない場合は、社外の頼れる人や「全国共通人権相談ダイヤル」、各都道府県労働局&全国の労働基準監督署内などに設置されている「総合労働相談コーナー」などを頼るのも手です。勇気がいることではあるかもしれませんが、当事者や周りの人が我慢をせずに声を上げることが、あらゆるハラスメントを許さない社会を作っていくことにつながるのかもしれません。
そして、セクハラやパワハラを繰り返している人自身も、仮に今は罰が下っていなくても、そのようなことを繰り返していれば、社会が許さないだけでなく、いずれ必ず何らかの形でそれ相応の罰が下るはずでしょう。
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