敷金礼金なしで家賃が安い物件を契約…初めて一人暮らしをした女性に起きたトラブル【前編】

文・塚田牧夫 — 2024.3.11
この春に、今までとは違う場所で新生活をスタートさせた人もいるでしょう。茉奈さん(仮名・26歳)もある年の春、転勤により東京に引っ越し、憧れの一人暮らしを始めました。ところが、一人暮らしを始めてから間もなくして、思いがけないトラブルに次々と見舞われてしまったと言います。いったい何があったのか、彼女に詳しい話をうかがいました。

憧れの一人暮らし

「私は大学を卒業後、地元で保険会社に就職しました。就職を機に一人暮らしを始めたかったんですが、親の許しが得られず、ずっと実家で過ごしていたんです。でも、それが本当に窮屈で…。

そこで私は密かに、会社に異動願いを出しました。実績が足りなかったため異動の希望は通らないかも…と思っていたんですが、なんと受理されて、入社4年目の春から東京本社へ転勤することが決定。

とりあえず住む場所を決めようと思い、ネットでいくつか目ぼしい物件を見つけ、不動産屋に連絡して見学できるように手配をしました」

好物件に巡り合い

「引っ越し先を決めるために、1度東京へ。何件か見て回ったものの、どれも家賃が想像以上に高くて決められず…。

そんなときに不動産屋におすすめされた最後の物件が、とてもよかったんです。そこは賃貸マンションで建物自体は古かったんですが、都心の主要駅から徒歩10分のところにありました。

他の条件も良く、バストイレ別で二階の角部屋。しかも、家賃は相場より2万円以上安かったんです! 

難点を挙げるとすれば、そこまで日当りが良くないこと。あとは、坂道の上にあることでした。でも、日当たりに関してはまったく陽が射さないわけではなかったですし、私は高校時代にソフトボール部で足腰を鍛えていたので、坂道の上にあることもそこまで大きな問題ではありませんでした。

そこでさらに、不動産屋さんから“敷金はいらない”という条件を出され、その場でこの物件を契約することに決めたんです」

引っ越しで早速トラブル発生

「3月末に引っ越しをすることになりましたが、そこで最初の問題が…。建物が坂の上にあり、しかも道幅も狭いため、“トラックが近くに止められない”と引っ越し業者から連絡が来ました。

その場合、人員を増やす必要があるため、“追加料金をもらうことになる”と言われ…。せっかく敷金なしで予算が抑えられたのに、違うところでお金がかかってしまったんです。それでもなんとか引っ越しを終え、新生活がスタートしました。

ところが、1週間ほどしてまた問題が発生。マンションの外壁工事が始まったんです。建物の周りに足場が組まれ、シートが張られた結果、ただでさえ日当りが悪いのに、完全に太陽からシャットアウトされる状態に。洗濯物も外に干せなくなりました」

カラダにも異変が…

「窓を閉め切った状態での生活となり、私のカラダに異変が起き始めました。喉が痛くなり、咳が出るようになったんです。十分な換気ができなかったせいか、ハウスダストのアレルギー症状が出てしまいました。

また、慣れない一人暮らしで疲れも溜まっていたのでしょう。最終的に、風邪を引いてしまったんです。

でも薬や飲み物などを買いに行くにしても、コンビニやスーパーは駅の近くにあるため、10分ほど歩く必要があり…。さらに、そこに行くまでに坂の上り下りをする必要があります。まさかこんなところで苦労するとは思っておらず、誤算でしたね。

最終的に配達サービスを利用しましたが、まぁまぁお金がかかってしまいました」

トラブルはこれだけに収まらず…

「引っ越しして1か月ほどが経った頃。部屋で休んでいたら、ジュポジュポという音が浴室から聞こえてきたので、何事かと思って見に行ったんです。

すると、浴槽にある排水口から水が逆流していて、黒く汚れた水が浴槽に溜まっていました。とはいえ、逆流した水の量もそこまでではなく、1分間くらいでその現象も収まったので、ひとまず気にしないことにしたんです。

しかし、そのあとも度々同じ現象が起きるうえに、今度はキッチンの排水口でも同じことが起き…。さすがにおかしいと思った私は、大家さんに連絡。その際に紹介してもらった水道屋さんに見てもらうことにしました。

ただ、その現象は不定期に起こるために、水道屋さんが訪れた際にはその現象が起きず…。仕方なくその現象を撮っておいた動画を見せて事情を説明したものの、詰まりも見られないし、原因がわからないと言われる始末。

結局、その後もその現象が収まることはなかったため、怖くなった私は浴槽に入れないようになりました。正直、住み始めて1か月しか経っていないのに次から次へとトラブルが起きていたため、早くも違うところに引っ越したくなっていましたね」


茉奈さんが驚愕した「賃貸マンション退去時の条件」とは… 後編に続きます



“初めての一人暮らしで多くのトラブルに遭遇した女性の告白”をご紹介しました。

一見すると好物件でも、実際に住んでみると“思っていたのと違う…”と、不安や悩みを抱えてしまうケースもあるようです。住んでみないとわからないこともあるものの、色々な人の話を聞くなどして事前にきちんとリサーチをしてから契約するようにすると、そのような事態を未然に防ぐことができるのかもしれませんね。

©monzenmachi/gettyimages
©Westend61/gettyimages

※ 2022年4月8日作成