惜しい!「遅れをとる」は間違いです! 超ミスしやすい漢字3選

文・田代わこ — 2022.3.27
「温かい」と「暖かい」、「暑い」と「熱い」など、使い分けが悩ましい異字同訓。今回は、簡単な漢字だけどミスしやすいパターン3選をご紹介!

【漢字クイズ】vol. 15

「遅れをとる」は間違い?

まずは、ちょっと難易度の高い問題から。「遅れをとる」の「遅れ」は正解? 間違い? どっちでしょう?

正解は、


「後れをとる」です!

ネット記事では「遅れをとる」もけっこう使われているので、誤用と思わないかもしれません。でも、一般的な書き分けルールでの正解は「後れ」。

「後れ」は、ほかのものより後れたり、取り残されたりするときに使います。
【例文】
・医療技術で後れをとる
・後れ毛
・気後れ

いっぽう、「遅れ」は予定時刻より遅れるときなどに使います。
【例文】
・スケジュールの遅れを取り戻す
・電車の遅れが出る
・納期遅れ

「暖かい牛乳」は、間違い?

続いて「暖かい牛乳」の「暖かい」はどうでしょう? 合っていますか?

正解は、


「温かい牛乳」が一般的な使い方です!

「温かい」は、食べ物などの物理的な「あたたかさ」を表したり、人の性格や家庭の雰囲気など抽象的な「あたたかさ」を表したりすることができます。
【例文】
・温かい料理
・スープを温める
・温かみのある人物
・温かい雰囲気の家庭

「暖かい」は、主に気象や気温などに関するものに使われます。
【例文】
・今年の冬は暖かい
・暖かい気候
・暖かいダウンコート
・暖かい布団

例えば、「あたたかい家」は状況によって両方の漢字が使えるので、文脈に合わせて使い分けてくださいね。

区別しづらいときは、反対語を当てはめてイメージするといいかもしれません。
・温かい⇔冷たい
・暖かい⇔寒い・涼しい

「アツい夏」は、「暑い」、「熱い」、どっち?

最後は「暑い」と「熱い」。

例えば、「アツい夏」は、「暑い」、「熱い」、どっちでしょう?

正解は、


「暑い夏」、「熱い夏」どちらも使います!

「暑い」は、気温などが高くて暑く感じるときに使います。
【例】
・暑い部屋
・蒸し暑い梅雨
・暑苦しい

「熱い」は、温度が高いときや、心理的な熱量が高いときにも使えます。
【例】
・熱い湯
・熱々のおでん
・熱々のカップル
・高校球児たちの熱い夏

こちらも区別に迷ったときは、反対語を思い浮かべるとよさそうです。
・暑い⇔寒い
・熱い⇔冷たい

以上、うっかりミスしやすい異字同訓3選でした!

参考資料:
・『広辞苑』(岩波書店)
・『日本国語大辞典』(小学館)

※異字同訓は、時代や書き手により使い分けの基準が異なる場合があります。