「成功を治める」は間違い?! 正解できたらスゴい漢字4選

文・田代わこ — 2022.3.27
「おさめる」の漢字は、「収める」、「納める」、「治める」、「修める」などがあり、文をつくるときにどれがベスト? と迷います。ちょっと悩ましい異字同訓「おさめる」の使い分けをご紹介!

【漢字クイズ】vol. 13

「成功を治める」は間違い?

では、問題です。「成功を治める」の「治める」は正解? 間違い? どっちでしょう?

正解は、


「成功を収める」が一般的な使い方です!

「収める」の基本イメージは、「中に入る」。そこから、「手に入れる」こと、さらに「良い結果を手に入れる」という場合にも使います。
【例文】
・博物館に収まる(=収蔵する)
・写真をアルバムに収める(=収録する)
・小説を短編集に収める(=収載する)
・利益を収める
・インフレが収まる
・効果を収める
・勝利を収める

「収・納」はむずかしい!?

「収める」のイメージと似ているのが「納める」。国語辞典では「収・納」と一緒に記載されているので、どちらを使えばいいの? とすごく迷います。

文化庁の資料によると、「納める」は「あるべきところに落ち着く・とどめる・引き渡す・終わりにする」という意味。例文は次のようになります。
・税を納める(=納税する)
・取引先に注文品を納める(=納品する)
・胸に納める
・見納め

ふだんよく使う「収納」という言葉も、「収」と「納」に分解してみると「中に入れて、あるべき場所に落ち着かせる」という意味。基本イメージをもとに、使い分けを考えるとよさそうです。

「治める」、「修める」はどう使う?

では、「治める」と「修める」は、どんな場合に使うのでしょう?

「治める」……問題のない、安定した状態になる
【例文】
・大名が領地を治める
・国を治める
・暴動を治める

「修める」……学業や技などを身につける
【例文】
・身を修める
・華道を修める
・ドイツ語を修める

「おさめる」は、使い分けがなかなか微妙です。迷ったときは、「収蔵、納品、統治、修得」など熟語にしてみるとイメージがしやすいかもしれません。それでも自信がないときは、平仮名を使うのがベストです!

以上、4つの「おさめる」でした!


参考資料:
・「異字同訓」の漢字の使い分け例(文化庁 文化審議会国語分科会)
・『広辞苑』(岩波書店)
・『日本国語大辞典』(小学館)

※異字同訓は、時代や書き手により使い分けの基準が異なる場合があります。