“今夜、大丈夫?”と聞いたら… 不妊治療に奮闘する30代妻を苦しめた「夫の残酷な一言」【前編】

文・並木まき — 2021.11.22
二人三脚で、不妊治療に臨んでいる夫婦は少なくありません。結婚と同時に妊活を開始した真夢さん(仮名・当時35歳・女性)も、3歳年上の夫である陽司さん(仮名)と真剣に不妊治療に向き合ってきました。ところが、信頼していた夫との間に、不妊治療を通じてズレが生じることに…。今回はメンタル心理カウンセラーの並木まきが、不妊治療に奮闘した真夢さんに話を聞きました。

お互いに「子どもがほしい!」で始めた不妊治療

Close up. Man and woman hold hands tightly.

「不妊治療を始めたきっかけは、とにかく夫婦ともに“子どもがほしかった”から。夫とは交際段階から授かり婚になっても構わないという気持ちで避妊はしていなかったのですが、結局授かることなく、交際2年で結婚へと至りました。

結婚後に自発的に受けた検査で私は子どもができにくいかもしれないと言われ、そこから本格的に不妊治療をスタート。最初のうちは全面的に協力してくれていた夫でしたが、半年を過ぎた頃から私を避け、治療にも以前ほど協力してくれなくなったんです」

治療を開始してから半年ほど経ったある日、真夢さんがいつものように「今夜、大丈夫?」と聞いたところ、夫の態度が豹変。真夢さんが想像もしていなかった暴言が飛び出しました。

夫婦関係に暗雲が立ち込め、夫からまさかの暴言が…

Standing away from each other

「そのときはタイミングを合わせて妊活をしていたので、いつも通り『今夜だよ』と伝えただけだったのですが、夫が急に怒り出しました。『もうウンザリなんだよ! いい加減にしてくれよ!』って怒鳴られて、さらに『お前のカラダのせいで、このままでは俺がボロボロになってしまうだろ!』とまで言われ…。

すでに半年ほどタイミングを狙っていましたが、結果に繋がらず。私は薄々“私ではなく夫にも原因があるのでは”と思っていたんです。それなのに、夫からまるで私だけのせいで妊娠しないみたいに言われ、さらには『ウンザリ』とまで…。私の心も折れてしまいました」

どんどん冷める夫婦仲

Close up upset woman sitting on couch

その日を境に、妊活は一時中断という結論に至った真夢さん夫婦。子作りに関する話を夫婦間で出すのはタブーのような空気が流れていたと言います。

さらに、この出来事をきっかけに夫婦仲が険悪になり、2か月後には夫婦でほぼ口をきかないような関係にまで悪化していたそうです。

「家庭内別居みたいな空気でしたね。私自身、夫に対して愛情が冷めていたし、夫もおそらくそうだったと思います。

それまでは同じ寝室で寝ていましたが、夫は仕事から帰ってくると客用布団をリビングに敷いて、そこでひとりで寝ていました。もうこのまま夫婦関係も終わるのかな…という予感しかありませんでした」

妊活を諦めただけでなく、夫婦仲が悪化したことで真夢さんのストレスも限界に。ストレスで5キロ痩せただけでなく、夜もあまり眠れず、常に心身の不調を感じる日々だったと振り返ります。

そして「こんな毎日を続けていても意味がない。なんとかして抜け出さなくては」と真夢さんは決意。夫に対して、“ある提案”をすることに決めました。


夫に伝えた“まさかの提案”とは…? 後編に続きます。



夫婦で決めた不妊治療でも、期間が長いと夫婦仲に亀裂が入ってしまうことも珍しくありません。それだけ簡単な問題ではないということですね。

しかし、この治療は夫婦で支え合わなければ、乗り越えることが難しいもの。壊れかけてしまった夫婦仲を修復するためには、再び夫婦の心が通い合う関係を構築する必要があるのでしょう。
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