川口春奈と横浜流星が出会うには理由があって!『着飾る恋には理由があって』#1
SNSに振り回される“着飾る女”
香子(夏川結衣)の飼い犬、こうじをよく散歩させている駿(横浜流星)。こうじかわいい!(2話より)©TBS
主人公は、若者に人気のインテリアメーカー「el Arco Iris」(虹を意味するスペイン語)で広報を担当する真柴くるみ(川口春奈)。移動中でもスマホとPCを手放せず、自社のSNSと、個人で開設しているSNSに画像や動画を投稿するのに必死。この日も投稿をしながら仕事先の最寄り駅に着いた……と思いきや駅を間違えてしまいます。タクシー乗り場で焦るくるみの前に現れたのは、先ほどのバスで一緒に乗り合わせていた藤野駿(横浜流星)。自分のキッチンカー(色こそ黒だけど、『MIU404』のメロンパン号にそっくり!)にくるみを乗せ、現場まで送ってくれます。
SNSに振り回される描写は極端ではあるけれど、多かれ少なかれ今や誰もが持っている要素でもあります。スマホに夢中になって電車を乗り過ごすくらいのことは多くの人が経験しているでしょうし、彼女はそれが仕事でもあるのだからなおのこと。そもそも個人SNSも仕事の一環で始めたもののようで、インフルエンサーとして注目される一方で厳しいコメントも少なくないようです。
シーンごとに変わるくるみ(川口春奈)の衣装も気になるところ(2話より)。©TBS
映え=見た目と味=中身の対立
マンションの契約更新を忘れて家を追い出されてしまうくるみ。そんな彼女に「うちに住む?」と言ってくれたのが人気フードスタイリストの早乙女香子(夏川結衣)。表参道の広くてきれいなマンションには、自分の好きな仕事しかしないミニマリストの料理人・駿、駿のはとこでオンラインカウンセラーの仕事をしている寺井陽人(丸山隆平)、アーティストの卵である羽瀬彩夏(中村アン)が住んでいました。
イベントに出店するケータリング業者が1店予約できておらず、駿に頼み込むくるみ。寺井のアシストもあって駿が試作を作るところまではいきますが、その料理が“映え”ていないことから二人は口論になり、結局駿は「自分の嫌な仕事はしない」と仕事を降りてしまいます。
くるみと駿、二人の価値観が真っ向からぶつかる描写。くるみはイベントのコンセプトであるSNS映えする料理を大事にしたい、駿は見た目よりもおいしさという本質の部分を守りたいという対立。その危機を救った香子の料理を見れば、自分の色を出しながら要求に応えるという道もあるように思えますが……。
くるみにも会社にもいろんなことが起こるなか、ずん飯尾扮する松下広報課長は癒やしの存在(2話より)。©TBS
SNSには悪い面も、いい面もある
新店舗の開店に向けていつにも増して忙しくするくるみ。くるみがここまで仕事を頑張っているのは、密かに想いを寄せる社長・葉山祥吾(向井理)のため。就職して7年、社長のことならなんでも知っているくるみですが、「無事に開店イベントが終わったら一緒に桜を見に行くか」と初めて誘われます。しかし、そのイベント前日、葉山は役員によって社長の座を降ろされてしまい、姿を消しますーー。
自分を支えてきた存在が消えてしまった悲しみを癒やすのは、フォロワー10万人突破を祝うコメント。今作は「着飾る」くるみが鎧を脱ぎ捨て自分を見つけていくストーリーですが、SNSも決して悪いことばかりではないという一方的過ぎない描写があると、今後が楽しみになります。弱ったくるみを助けたのはもうひとつ、駿のおいしいカレー。駿もくるみがSNSに縛られているのは「わからない」としながらも、「でもがんばってるのはわかるから」と歩み寄る姿勢が見えました。
驚いたのは、ドラマのエンディング数分で二人が決定的に出会う瞬間の裏側が描かれるという構成。くるみはとても急いでいるのに、タクシーが来るたび子ども連れやおばあさんを優先させていたのです。全く価値観の違う二人が出会う理由、駿が声をかける理由がちゃんとここでわかります。
傷心のくるみを元気づけるために駿がある約束をするなか、くるみが全力かけていたSNSが停止になったり、くるみと寺井の距離が縮まるかも? など波乱の予感の2話は今夜10時です。
文・釣木文恵
ライター。名古屋出身。演劇、お笑いなどを中心にインタビューやレビューを執筆。
https://youtu.be/U7E5_w1bZeY
Information
脚本:金子ありさ
演出:塚原あゆ子、棚澤孝義、府川亮介
出演:川口春奈、横浜流星、丸山隆平、中村アン・向井理、夏川結衣 他
放送日:TBS系毎週火曜日夜10時〜