花粉で肌荒れ何とかしたい!肌の専門家直伝「肌荒れを防ぐ」ヒント
花粉シーズン本格化!
毎年この時期になると、肌の調子が気になるという方は、花粉による肌への影響や原因、そして防御策については、ぜひ知っておきたいところ。そこで今回は、株式会社資生堂 グローバルイノベーションセンターの研究員・細井純一さんに、花粉による肌への影響や原因、肌を守る方法を教えていただきました。
どうして花粉で肌荒れするの?
――花粉が飛び始めると、なぜか肌荒れが気になるなら、もしかしたら花粉が影響しているのかも。そもそも、花粉で肌荒れはするのでしょうか?
細井さん 花粉症患者は、花粉の時期である花粉症発症期に、肌からの水分蒸発量が増え、肌の水分が低下すること、さらに刺激感覚が高い度合いまで進むことを、資生堂は2001年に発表しています(2001年接触皮膚炎学会)。
そのメカニズムのひとつとして、花粉が、花粉に含まれるたんぱく分解酵素を介して、皮膚の細胞のカルシウム濃度を必要以上に上げることにより、肌のバリア機能が低下することが考えられます(資生堂リサーチセンターが実証)。
肌の水分量が低下すると、肌はあらゆるトラブルの危機にさらされます。さらに肌のバリア機能が低下することで、より刺激を受けやすくなることから、花粉の時期には、特に肌荒れなどの肌トラブルが起こりやすくなると考えられます。
花粉が肌荒れを引き起こす可能性があることは、すでに実証されているのですね。
肌免疫が弱っていると肌に影響が出やすい?
――肌に備わる「肌免疫」が弱っていると花粉の影響を受けやすくなるとのことですが、そもそも「肌免疫」とは?
細井さん 「肌免疫」とは、細菌やウイルス、アレルギー物質などの異物から肌を守る機能のことです。免疫とは、目前に現れた異物を安全なものか、危険なものか一瞬で見わけ、後者のみを攻撃する力。肌において、その免疫システムの司令塔として働くのは『ランゲルハンス細胞』と呼ばれる樹状細胞です。いってみれば“肌のガードマンの役割”を果たしています。
ランゲルハンス細胞は、異物を感知して捕獲、掃除する機能と、異物による刺激反応を沈静化する機能を持ちます。このランゲルハンス細胞の働きを強化し、その数を常に最適な数に保つことで、肌は健康な美しい状態でいられるのです。
――肌の免疫力が弱っていると、どうして花粉による影響を受けやすいのでしょうか?
細井さん 健康な肌なら、危険なものが侵入してきたときに、適切なレベルの排除反応が起こり、用が済んだらすぐに終息します。肌荒れなどのトラブルには発展しません。しかし、肌の免疫力が弱っていると、乾燥や肌荒れ、吹き出物やかゆみを起こすような肌トラブル反応が過剰だったり、長続きしてしまったりします。これが肌バリアの修復を遅らせることにもつながると考えられます。つまり、肌荒れが起こりやすく、またなかなか治りにくくなります。
花粉シーズンに肌トラブルを感じやすい人は、肌免疫を強くするのもひとつの方法かもしれません。
肌免疫を強化するスキンケアと生活習慣
そこで細井さんに、肌免疫を強化するためのスキンケアと生活習慣について教えていただきました。
サンスクリーンや保湿を中心としたスキンケアをする
乾燥や紫外線などの外的刺激に対処するため、サンスクリーンや保湿を中心としたスキンケアを忘れないようにしましょう。丁寧なケアがむずかしい場合は、せめて日焼け止めはしっかり塗る、洗顔後の保湿は欠かさないことを心がけると良いです。そして、自分がもっている、肌が美しくなろうとする力を発揮させましょう。
生活リズムを整える
生活リズムを整え、免疫細胞が必要なときには働いて、不要なときには休めるようにしてあげましょう。免疫力にもエネルギーが必要です。睡眠はとても大切です。忙しくてなかなか睡眠時間が取れない方も、一日最低6~7時間は睡眠を取ることを意識するだけでも変わってきます。
バランスの取れた食事を心がける
偏りない、栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。外食や市販の食事メニューが多い場合も、緑黄色野菜を積極的に取ることを意識するといいです。ニンジンや小松菜、ほうれん草などの緑黄色野菜は、皮膚や粘膜の免疫力のアップが期待できるβカロテンが多く含まれています。野菜ジュースでもいいでしょう。毎食はむずかしくても、「一日一食は肌のための栄養を意識した食事にする」と決めてみてはいかがでしょうか。
ストレスを解消する
ストレスは、肌の免疫力を低下させます。現代のストレス社会において、ストレスをなくすというのはむずかしいことです。大切なのは、ストレスをためこまず、自分が心から楽しく、満足できるストレス解消法をみつけて、その都度解消していくことです。塵も積もれば山となるものです。少しずつでも解消しながら生活できるといいですね。
花粉の時期に肌を守るためにやるべきことは、特別に何かをする、というよりは、基本的な生活習慣を整えて、肌免疫を落とさない根本からの肌対策にあるようです。ぜひ最低限できるところから意識して実践してみてはいかがでしょうか。
Information
株式会社資生堂 グローバルイノベーションセンター研究員 細井純一さん
東京大学医科学研究所で学位取得。皮膚と心、全身との関係について研究を続けている。
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