記憶のない性的奔放…躁うつ病に怯える私が感じること

文・七海 — 2018.9.12
学生の頃から、体調が悪く起き上がれない日が続くことがありました。あるとき心療内科に行き、うつ病だと診断されました。しかしその後、双極性障害(いわゆる躁うつ病)だったことが発覚。うつ状態にも躁状態にも怯える毎日が始まりました。そんな私が日々感じることを綴ります。

抜け落ちた記憶。躁うつ病が発覚したとき

1日中ベッドから起き上がれない日々が続き、おかしいな、と思うことはありました。心療内科の受診をすすめられ、そこでうつ病の診断が降りました。精神疾患と向き合い始めたのは、この時期からです。処方された抗うつ剤はよく効き、地に落ちるような気分も何とか持ち上げられる気がして、私は薬を飲み続けました。

しかし、あるときから不審なことを感じ始めました。異性の友人から、かなり踏み込んだセクシュアルな発言を受ける。朝気づくと知らない男性が隣で寝ている、など。記憶にないこと、特に性に関するものでそういったことが起こるようになったのです。

そういった事態は徐々に悪化していき、曖昧なまま知らない男性と過ごしている夜が出てきました。相手が友人であることもありました。私はそのとき寝ていなかったようで、眠らないまま、毎日そういった日を過ごしていたのだと思います。そんなときの記憶で強く残っている感覚は、全能感です。なんだか空でも飛べそうな、そんな高揚感がありました。

ある日、突然体が動かなくなりました。ベッドから起き上がろうとしても起き上がれない。気分はとても落ち込み、全能感に浸っていた自分を責めるようになりました。そして、断片にある男性との記憶も、とても責めました。自分が何をしていたのかわからず、でも取り返しのつかないことをしてしまったと思ったのです。

ベッドから動けるようになったとき、私は病院に行きました。そこで診断されたのは双極性障害。うつ病とは別物だったのです。抗うつ剤が躁状態を引き起こす場合もあると聞き、薬を切り替えました。

うつ病と診断された後に躁うつ病が発覚するケースも稀ではないようで、私はまさにそれでした。躁うつ病は再発することが多く、薬ともうまく付き合わなければならない、と言われました。

躁状態も怖い、うつ状態も怖い。当事者としての心境

躁うつ病の中でも、さまざまな症状が出るそうです。例えば躁状態の際、買い物をたくさんしてしまったり、ギャンブルをしてしまったりするケース。私の場合顕著だったのは、性的奔放です。こうしたものから、人間関係を壊してしまうこともあるそうです。実際、私にも経験があります。

躁状態の後に訪れるのはうつ状態です。経験則上、大きく躁転(躁状態になること)するほど、後に大きなうつがやってきます。躁状態の自分を責めるのも含めて、非常に落ち込んだ気分になります。絶えず自殺念慮がよぎり、自分の存在価値を見出せなくなります。

私自身の、当事者の観点からだけでいうと、根拠のない全能感も怖いです。性的奔放も怖いです。人間関係を壊すのも怖いです。そして、その後で訪れる大きなうつも怖いです。

躁うつ病患者は自殺率が高くなるともいわれています。私にはそれがわかるような気がするのです。感覚的なものなので、全ての人に当てはまるわけではないと思いますが、私の場合は酷いうつ状態の後が一番危険だと感じます。躁状態のときはとにかく何でもできる気がします。その後のうつで激しく自分を責めます。しかし、起き上がれない状態であることが多い。起き上がれる程度まで回復したとき、死への決意が固まっているような、そんな感覚があるのです。

私が一生この病気と付き合うとしたら

再発率が高いため、躁うつ病が完治するのは難しいといわれています。私はこの病気と一生付き合っていかなければならないのだと覚悟しています。

現在は躁状態とうつ状態、どちらも抑える薬を服用しており、酷い状態は避けられています。だけど、薬を飲んでいても、恐怖心が大きいです。躁うつ病だから性的奔放が倫理的に許されるかといえば、そうではないことは理解しています。躁うつ病だから人間関係を壊して良いわけでもありません。私はいろいろな人に、多くの迷惑をかけながら生きているのだと自覚しています。

だからこそ、私は私自身が怖くて、私自身を否定してしまいます。どうして私なんだろう。どうしてこの病気なんだろう。そう考えたこともあります。それでも、生きている限り、私は私と向き合わなければならないのだと思います。

毎日、躁状態への恐怖が心のどこかにあります。だけど、きちんと向き合って生きることにしました。過去の自分は責めてしまいますが、未来の自分は今から作っていける。例え理性の及ばないところにそれがあったとしても、幸いにも自分に合っている薬がある。危ないな、と感じたら家族に「監視」してもらっています。迷惑をかけながら、助けを借りながら生きているけれど、病気と向き合いながら、未来を作っていきたい。それが、今の私の思いです。



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