単なる “苦手” と思っていた…私の「学習障害」が発覚するまで

文・七海 — 2018.4.11
幼い頃から生きづらさを感じてきました。私はアスペルガー症候群。診断が降りたのは大人になってからでした。アスペルガー症候群だとわかってから半年ほど経った頃でしょうか。学習障害も併発していることが発覚しました。それがわかったとき、ストンと腑に落ちるような、そんな感覚になったのを覚えています。

違和感を覚えた小学生の頃。見落とされた障害

他人とコミュニケーションを図るのは、昔から苦手でした。ただ、学校での勉強は比較的できたほうだと思います。「詰め込み教育」だったことも相まってか、教科書を丸覚えすればテストで良い点が取れたのです。良い点を取ると、先生にも両親にも褒められました。「賢いね」と言われるたび、良い点数を取ることが良いことなのだと思ってきました。

ただ、苦手だった教科がひとつだけありました。それが算数です。小学校中学年くらいまではさほど気にならなかったのですが、a(アール)とha(ヘクタール)が出てきた頃から苦手意識が生まれてきたのです。概念としての単位がどうしても理解できず、そのまま中学、高校と進学していきました。

数学が苦手だったので文系を選びましたが、数学Ⅱ・Bは必須科目です。その頃には全くと言ってよいほど数学ができなくなっていたので、万年赤点でした。ひどいときは、全国模試で偏差値28だったこともあります。

その当時は発達障害も知らなかったですし、学習障害の存在も知りませんでした。ほかの科目で苦手なものが特になかったので、合計すると偏差値もあまり悪くなく、数学だけ極端に苦手なのだと考えていました。

社会に出てから困ったこと。算数は日常に転がっている

比較的有名な国立大学に進学し、在学中にはアルバイトを始めました。初めて社会と触れ合ったとき、計算ができない自分がそこにいました。ひと桁の足し算ですら指を使って計算していたので、レジ打ちをする際に暗算ができません。釣り銭を間違えると大変だと思い、慎重を期すことに徹しました。そんな私を見て、店長は首をかしげます。でも、どうしても周りの人のように暗算することができませんでした。

社会人になると、計算する機会が増えました。予算を立てたり収支を考えたり。経理職ではありませんでしたが、数字に触れる場面は少なからずあったのです。学校のテストとは違って電卓は使って良いものの、間違っているかもしれないという強い不安感から何度も何度も同じ箇所を計算し直しました。

アルバイトをしていたときもそうですが、会社員になっても同じような言葉を投げかけられました。「本当にあの大学を卒業しているの?」と。悪い意味で学歴がついてきてしまうのです。私は社会で役に立たない人間なんだ、と感じました。

学習障害の発覚。私以外にも苦しんでいる人はいる

躁うつ病を患い、ある朝突然動けなくなりました。私はそのまま会社を辞め、療養することに。そのときに初めて発達障害の検査をきちんと受け、診断が降りました。それからアスペルガー症候群であることを前提の治療が始まったのですが、学習障害だとは診断されませんでした。生きづらさの原因はアスペルガー症候群であるところにあったのかと、ある種の安堵感があり、それ以上の疑問は持っていませんでした。

治療は学歴に基づいたものだったのですが、私にはそれが非常に苦痛で、長く続けることができませんでした。そんなとき、カウンセラーとのふとした会話の中で、学習障害かもしれないと言われたのです。それは、小学生の頃から算数が苦手だという内容です。結局、総合的・表面的な判断では学習障害が見えなかったという診断でした。

学習障害という言葉を知り、同じように辛い思いをしている人がいることも知りました。計算だけでなく、読み書きが苦手という特徴がある人もいるそうで、現れ方や程度の差もさまざまです。極端に苦手意識を持ち、自信をなくしてしまう人もいるでしょう。「勉強を怠けている」と学生時代に言われてしまうこともあり得るのではないかと思います。

私自身がそうでしたが、学習障害であることを見落とされることがあります。そうすると、原因がわからないままに生きづらさを感じてしまう可能性があると思うのです。思い当たる節があれば、専門機関で相談してみるのも良いかもしれません。

読み書きや計算などは、社会を生きていくうえで必要なもの。あまり問題ないのに過度に心配するのは良くないと思いますが、そういった特性があると知っていると対処しやすくなります。私の場合、経理関係がほとんど完全に分離している会社に再就職したり、どうしても計算しなくてはいけないときはチェックをお願いしたりしていました。

違和感は、あなた自身が抱えている場合も、あなたが周囲の人に抱えている場合もあります。「できない自分が悪い」「怠けているからできない」と自分や他人を責めず、あらゆる人がいることを当事者や周囲が受け入れられる、優しい社会になればと望んでいます。



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