救急搬送、採卵。結果は…「不妊で体外受精」を選んだ私に吹きまくった嵐 #2
【20代からはじまった不妊治療】vol. 2
認めたくなかった「不妊」
前回の記事はこちらをどうぞ。
医師の宣告に号泣
https://ananweb.jp/anan/152994/
不妊専門の病院で20代で「不妊」のレッテルを貼られた私。医師によっていろいろと考え方はあるようですが、生理周期が35日ということは、排卵日がだいたい生理21日前後と推定され卵子の質がよくないとのことでした。
またホルモン値については、全てにおいてあまりよくなかったのですが、体の中にあとどのくらい卵子が残っているかを示すAMHというホルモンの値がなんと40代半ばの数値でした。女性は生まれながらに卵子の数が決まっていて、加齢とともに減少していくのですが、私の卵子は20代後半にして卵子の数は残りわずかなものでした。どうしてこうなったのか、原因は不明です。
それなのに自分が「不妊」であることを信じられない、認めたくない、という気持ちでいっぱいでした。でも、やっぱり子どもは欲しい。そしてこのモヤモヤした状態から早く抜け出したいと思っていました。
夫婦の決断は「体外受精」
不妊治療は次のような方法があります。
STEP1タイミング法
排卵誘発剤を服用しエコーでタイミングを指導してもらう。費用は1回あたり数千円。レディースクリニック・婦人科等で診察可能。
STEP2人工授精
採精し、排卵しそうなタイミングで体に精子を戻す。費用は1回あたり3万円前後。
STEP3体外受精
採精&採卵し、受精卵になったものを体に戻す。費用は1回あたり数十万円。
このようにステップアップしていきます。徐々に進めてもいいし、STEP1からSTEP3にいってもよいし、いきなりSTEP3にしてもいいのです。私はすでにタイミング法を試しており、人工授精も厳しいと言われていたので体外受精をすることになりました。「とりあえず」と簡単にできる治療ではありません。膨大なお金がかかります。でも子どもを授かるためなら……という思いでチャレンジすることにしました。一刻も早く妊娠することだけが目標でした。
私が行った体外受精のざっくりとした流れは、排卵誘発剤で排卵を誘発し、排卵する前に採卵し、精子と受精させて培養し、その受精卵を再び体に戻す(移植する)というものでした。不安もありましたが、体外受精をすれば妊娠に近づけると心の中では大いに期待をしていました。妊娠してもしなくても膨大な費用がかかるので、ある意味ギャンブルです。
体に異変! 救急車で搬送
しかし、初めての体外受精で使用した排卵誘発剤は今まで服用していたものと異なり、副作用で倒れてしまったのです。朝食後薬を飲んで会社へ行き、業務をこなしていたのですが、夕方ごろ急激にだるくなったのです。軽い貧血かな?と思ったのですが、ちょっと様子がおかしく医務室で休むことにしました。一時間ほど眠り、目が覚めたら心臓が異常にバクバクします。
初めての経験でした。もう少し休んだら治るかな?と思い横になってもバクバクは治らず、救急車で運ばれました。脈拍は130を超え、救急車の中では何度もアラート音がなりました。病院に到着し検査をした結果心臓には異常なく、血液検査で肝臓の数値が異常に高く、排卵誘発剤を服用したことが原因とわかりました。点滴をして、体調が少し落ち着いたところで、迎えに来てくれた主人と家へ帰りました。
初めてトライ。結果は……
Kクリニックに連絡をするとすぐに薬の服用中止が指示されました。このタイミングは諦めて次月に別の排卵誘発剤で体外受精をするという選択肢もありましたが、生理は来ているから排卵はするだろうと夫婦で判断し、そのまま体外受精を進めることにしました。とにかく早く妊娠したかったのです。
そして、いよいよ初めての採卵の日。緊張しながらも、妊娠に一歩近づけるという期待を胸に夫婦で病院に行きました。採卵は膣の中に器具をいれ、卵胞に針をさして卵胞液を吸うという方法です。Kクリニックでは採卵は無麻酔で行われます。10数台ある採卵のための待合ベッドは全てカーテンで閉められ、呼ばれるとひとりずつ歩いて手術室へ向かいます。
手術室の中は薄暗く、その真ん中に内診台のような手術台がありました。手術台に乗ったら足を広げ、動かないようにベルトで巻かれて、消毒、採卵、消毒という流れです。カチャンカチャンという金属機器の音が怖く、採卵の痛みは我慢できるとはいえ体の中を針で刺されているので気持ちが悪い痛みです。採卵数にもよりますがだいたい5分程度。意識があり、嫌な痛みがあるので長く感じます。
初めての採卵後、痛くて辛かったけどまた妊娠に一歩近づけた! 次は移植だ! とベッドで休みながら期待していたら看護師さんがやって来て紙を渡されました。
「今回の採卵数は0です。」
救急車で運ばれて、痛い思いをしたのに採卵数ゼロって……。次に進めるという期待から我慢できていた痛みが我慢できなくなりました。そして、早朝から一緒に来てくれた主人に申し訳ない、どんな顔をあわせれば良いのか、私たちには子どもができるのか……。不安になってきてベッドの上で泣いてしまいました。
意を決して体外受精をすることに決めたものの、その前段階の採卵さえできず、初めての体外受精ではいきなり奈落の底に突き落とされたのでした。
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