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アスペルガー症候群当事者から見た恋人への思い

文・七海 — 2017.5.26
私はアスペルガー症候群当事者であり、複数の精神疾患を併発しています。「面倒くさそう」。そう思われるかもしれません。私は発達障害を持っており、精神疾患を抱えている–。だけど、恋人はいましたし、今もいます。恋人の思いと、それを見た私の思い。それは決して単純なものではないと思うのです。

”恋愛依存症” である私。
「面倒くさそう」と思われるのはわかっていたけれど

昔から友達を作るのが苦手でした。知人と友達の境界線がわからなかったからです。「友達を作れない」と私が言うと、周囲は口をそろえてこう言います。「友達は作るものではなく、自然となっているものだ」と。友達は、相手ありきのもの。私が友達だと思っていても、相手がそう思っていなかったら。それは友達としては成り立たないのではないかと思うのです。どこまでが知人で、どこからが友達なの?  私は今でもそれに明確な答えを出すことができません。

いっぽう、恋人は単純でした。「付き合おう」。そのひと言で双方の合意が取れるのです。恋人は、口約束でありながらもその境界線を作ることができます。初めて恋人ができた高校生のとき、それに気付きました。そしてこう思ったのです。「友達を ”作る” より、恋人を ”作る” ほうが簡単だ」と。それから私は、常に恋人を作るようになっていきました。”簡単に”、”自然に”、友達を作っていく周囲に劣等感を抱きながら、その劣等感を埋めるように。

相手が私を発達障害者・精神疾患者だとわかっていても

「付き合おう」。こうして ”契約” を交わすわけですが、その ”契約” を結ぶ前には必ず私が発達障害者・精神疾患者であることを明かします。診断が降りていなかったときも、心のうちは明かすようにしていました。そのうえで、「付き合おう」と合意が取れた人と付き合うようにしていたのです。

恋人だった人は、「俺が良くするから大丈夫」と言う人が大半でした。でも、実際に付き合うと、悲しみにくれる彼らをよく見てきました。自傷癖がある私。どうしようもない衝動に駆り立てられて、カッターナイフで腕を切り刻むこともしばしば。彼がいないときに私は自傷をし、帰宅した彼は皮下脂肪が見える私の腕を見て、泣いていました。精神状態が安定しないときは寝たきりになることもあります。そんなとき、悲しそうな顔をしながら「大丈夫、大丈夫」と言い続けてくれるのです。解離性同一性障害(いわゆる多重人格)も持っており、別人格が出てしまったときは彼のほうがふさぎ込んでしまいました。そして、向精神薬を飲む量で一喜一憂する彼。

そんな悲しそうな顔をする恋人を見ても、私はどうすることもできませんでした。

「恋人が喜ぶから」では治せない症状。
私はひとりで生きていくべきなのか

「こうすると恋人が喜ぶ」「恋人のために」。そういった思いだけで症状が軽くなるのであれば、私は苦労していないと思います。インフルエンザを気合いで治せないのと似ているような気がするのです。できることなら、私と「付き合おう」と言ってくれた彼を悲しませたくない。喜んでほしい。そういった思いはあるのです。だけど。そもそもアスペルガー症候群は ”治す” ものではないし、精神疾患も気合いで治るものではないのです。私の精神状態が安定しない病気のひとつに躁うつ病があると思うのですが、これは現在「治らない病気」といわれています。

友達を作るのが難しかった私。それから恋人を作ることに依存してしまった私。その経緯は、なんとも ”不純” だな、と自分でも思います。私は面倒くさい人間だとわかっているから。友達も、恋人も作らずひとりで生きていくべきなのかな、と思うことがよくあります。でも、人間がひとりで社会生活を送るのも不可能なのかな、ということもわかっています。誰とも交際せず、引きこもっていたら、多分私は自分を保てなくなるでしょう。その ”代償” を恋人に負わせるのも身勝手だと思います。

“健常者” 社会において、アスペルガー症候群当事者として生まれた私。”健常者” 社会は、あまりにもなじめなかった。精神疾患を併発してしまった。「面倒くさそう」と思われるかもしれない。「友達も恋人も作るな」と言われるかもしれない。

それだったら、私はなぜ生きているのでしょう。あなたと同じように、命を持っているはずなのに。そんなことを思いながら、悲しそうな顔をした恋人の顔を思い浮かべ、胸が痛くなるのです。

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